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デベソイカのへそ〈2〉
別にイヤな夢ではなかったが、
旅立ちの日を変えたほうがいいのか?
しばらくイカなんて食べてないし、
なんだか奇妙な予感。
今日旅立ったら、
自分的奇妙な女に会いそうな気がした。
――
――――――・・・
幼馴染兼いいなすけだった、アミノ。
死んでしまったその子は、
自分を許して、と最後に言った。
同い年のアミノが死んだのは、
六歳の時。
友達であり、小さな恋人同士だった。
俺現在、二十歳。
アミノの命日である今日、
勇者候補を止めた俺は
物書きとして
里を旅立つ予定だ。
アミノを忘れる旅。
そんな言い方をされて、
以来誰とも、あまり精神的に喋っていない。
陽気にふるまってみることが
年を重ねるごとに
増えてるだけかもしれない。
昔の俺と、今の俺は違う。
まだまだ変わらないと
いけないんだと思う。
――――――
――
旅立つ前に、
父と
何か会話をしておくか。
確率の問題的に、
朝ごはんはイカではないだろう。
デベソイカのへその話をしてみよう。