FILE14
「・・・う・・・・ょう・・・・・りょう・・・・りょう・・・・」
《な、なんだ、誰かが俺を呼んでるのか・・・・・》
俺は、意識を確かめ、目を開ける。
「りょう・・・・・凌・・・凌!!」
俺は目を開けた。
「け・・・い?」
「どうしたの?なんだか、苦しみだしたし、泣いてるみたいだし・・・・どうかしたの?」
俺は慶が言っていることが何なのかわからなかった。
「?誰が?」
慶に聞いてみる。
「凌!貴方よ!」
「お、俺?」
俺は、手で頬を触ってみる。そこは、濡れていた。
「濡れてる・・・・・これは、涙か・・・それにしても・・・何で俺涙なんか・・・・・」
俺はつぶやく。
「知らないわよ。それより、もうすぐ時間だから起きなさい」
俺は慶に言われて自分がどんな常態か気付く。そして、すぐさま起き上がった。
「え!・・あれ?・・・俺・・・膝枕・・・慶の・・・・」
俺は、顔を真っ赤にして、なぜ自分があんな状態なのかと、記憶を整理していた。
そして、整理がつくと、慶に謝った。
「ご、ごめん、膝枕してもらった上に寝てしまって・・・」
俺が、謝ると慶が、少しあせったのか、俺に事実を述べた。
「いえ・・私が無理やり寝かしたんだから・・・そんな謝んないでよ・・・」
「え!?そうなの?慶が俺を寝かしたのか・・・そうか・・・・」
俺がつぶやくと、慶は思い出したかのように、話し始めた。
「それより、凌!時間!決勝の時間!」
俺は、慶の言葉に時間を確認する。確認すると残り、5分ほどで、試合が始まる。俺達は、ステージ前にいないといけないので、ぎりぎり間に合うか、間に合わないかの時間だった。
「え!ほ、本当だ!急がないと!」
そして、俺達は、走り出した。
「ハァハァ・・・・ハァハァハァハァ・・・うんっ・・・ハァハァ」
俺達は、走って、ステージ前まで来た。時間はぎりぎりだった。
「ハァハァ・・・け・・いは何とも・・・ハァハァ・・ないの・・ハァハァ・・」
「ええ、ぜんぜん大丈夫よ。それより凌の方こそ大丈夫?」
俺が慶のことを心配すると、逆に慶に心配された。
「ハァハァ・・・お・・れ・・・は・・ハァハァ・・・だい・・・ハァハァ・・・じょうぶ・・・ハァハァ・・・」
「そう・・・」
俺達が話していると、対戦相手が話しかけてきた。
「よう、慶!」
慶は、名前が呼ばれたほうに振り向き、相手に返事を返した。
「あら!啓介じゃない、どうしたの?」
《うわ!こいつかよ・・・こいつなんだかな・・・気に食わない・・・》
「どうしたの?じゃないよ、決勝の対戦相手だ、俺達は!」
「あら?そうなの?知らなかったわ、それじゃ、お互い精一杯がんばりましょう」
慶は、そういって啓介という人物を威圧感たっぷりで相手をみた。
「おー怖い、怖い。まぁ俺達は始めっから、本気だぞ。そっちのぶすっとした1年もヨロシクな。」
啓介はおちゃれけた感じで、慶の威圧を流した、そして俺に挨拶をして、握手を求めた。
どうやら、俺は、ムカムカしていたのが、顔に出ていて、ぶすっとしていたみたいだった。
俺は握手を求められたので、返した。
「どうも。それと、1年じゃなくて、瀬戸 凌 です!」
俺はなぜかムカムカしていて、啓介と呼ばれる人に突っかかった。
「ハハハ、そうか。すまん、すまん。俺は、2年の徳川 啓介だ。」
俺は、握手している手を強く握った。しかし、徳川は、全然痛そうにしていなかった。
俺は、驚き相手の顔をみた。
徳川は、笑って俺を見ていた。俺は気味が悪くなり、握手をといた。
そして、徳川は思い出したように、紹介した。
「あ!こっちの人は、僕のパートナーで、朝比奈さん」
隣にいた、朝比奈さんが挨拶をする。
「どうも、朝比奈 桜です。よろしくお願いします」
朝比奈さんは、優雅に一礼をした。
俺は、その動作に見惚れていた。だかすぐに気を取り直し、挨拶を仕返す。
「こっちこそ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
俺の後に慶も続いて挨拶をした。
俺達が挨拶をし終わると、江崎先生が来た。
「こんにちは」
「「「「こんにちは」」」」
江崎先生の挨拶に俺たち4人は声をそろえて挨拶を返した。
「それじゃ、決勝戦を始めるわよ。お互いに悔いの残らないように戦ってくださいね。それじゃ、じっとしてね」
江崎先生は呪文を唱えた。
「空間を管理するものよ、かのものたちを誘いたまえ! 複数転移」
俺達の体が光、出した、視界は次第に薄れていった。次の瞬間、視界が変わって、俺は、ステージ上にいた。隣には、慶がいて、正面に、徳川と朝比奈さんがいた。
『ただいまより、決勝戦を始めます。ルールは、相手を気絶させるか、ギブアップを言わせるかのどちらかです、危険がある場合のみ、教師が止めに入ります。それでは、決勝戦を始めます。始めてください』
放送が終わると
ビー!!
試合開始のブザーがなった。