FILE9
ビー!!
ブザーが鳴っているときに、俺たちの体が光、視界が変わった。
ステージから出た後に、放送が入った。
『54試合の試合は、1年瀬戸、2年黒木 ペアの勝利です。試合時間は、10分17秒です』
「おつかれ」
俺は、慶にねぎらいの声をかけた。
「凌こそ、おつかれさま」
「これで、準決勝だな。あと2回か・・・まだ残ってるんだな・・・」
「どうしたの?」
「いや、面倒だなと、思って・・」
「そうかな?」
「うん。まぁ、相手が強くなるから、楽しめるのは楽しめるけど、面倒なんだよね」
「まぁ、がんばってよね、賞品もらって、遊園地とかのチケットなら、行きましょうね」
「うん、まぁいいけど」
俺たちは、賞品が何かという話をしながら、中央モニターまで歩いていた。
「慶!」
いきなり慶を呼ぶ声が聞こえた。
俺と慶は、その声がした方に向く。
そこには、2人の男女がいた。
「あら、啓介じゃない、どうしたの?」
どうやら、男の方は啓介という名前らしい、しかも、慶と親しそうだ。
慶も笑っていた。
俺は、慶が啓介と言う人と喋って笑っているのを見て、なぜかムカムカしていた。
「いや、俺たち、これから準決勝なんだよ」
「あら、そうなの」
「ああ、だから、もう少しで、慶たちと試合ができるぞ、楽しみだ」
「そう、がんばってね」
「ああ、それじゃ、行って来るわ」
慶は、啓介という人に手を振って見送った。
俺は、さっきのは誰かと慶に聞くと、
「クラスメイトよ、クラスメイト。それがどうかしたの?」
俺は、クラスメイトという言葉を聴いたとき、ほっとした。
《あれ・・・・どうして俺・・・・・ムカムカしたり、ほっとしたりしてるんだ・・・・》
「い、いや、別に何もないけど、ただ気になっただけ」
「そう」
慶は、俺が答えるとなぜか、悲しそうな感じで答えた。
俺は、そんな慶が気になったが、すぐに悲しそうな感じはなくなったので、勘違いだと思い気にしないことにした。
「それより慶、早く中央モニターまで行きましょ!」
「そうね、行きましょうか」
俺は、慶にそういうと、少し急ぎ足で中央モニターまでむかった。
向かうと、そこには、かなりの生徒がいた。
「うわー、多いな・・・・」
俺が人の多さに圧倒されて、つぶやくと
「それは、優勝する人が見たいからと、試合を観て、戦い方を研究したりと、さまざまな人がいますからね、それで多いのでしょ、後は、交流を深めるためにいる人もいますし、本当に色々な人がいますね」
慶が答えた。
「へー、そうなんですか、なら俺たちは、準決勝に進出してるから、かなり、有名になってるんじゃ・・・・」
慶は、しばらく考えて答えた。
「うーん・・・・そうですね・・・確かに有名になってるかもです。私は、ともかく、凌は、かなり、有名になってるね」
「そうですか・・・・」
俺はうなだれた。
俺がうなだれると慶が心配したのか、どうしたのかと尋ねてきた。
「そりゃ、ね。いつか俺の両親のことが、ばれるんじゃないかと・・・・」
「そうだけれど・・・・凌はどうして、ご両親のこと隠すの?」
俺は、慶の質問に答えが詰まった。
「・・・・・・」
しばらく慶は黙っていた。そして口を開く。
「どうして?ご両親の事を隠すの?皆から恐怖の眼差しで見られるから?」
慶は、一気にまくしたて、俺に問い詰め、俺の答えを待っていた。
「・・・・・俺が隠す理由は・・・・・怖がられることもある・・・・ほかに、俺を利用して、両親に危害を加えるものがいるって言うのも、理由です。俺は、両親に感謝しているから、できるだけ、迷惑は掛けたくない。だから、両親のことを知らなければ、利用できない、と思って・・・・・」
俺はそこまで答えて、また黙った。
すると、慶がまた話始めた。
「あなたを利用する人がいることは、認めるわ。けれど怖がる人がいるのは、しかたのないことだと思うの、だってね、人なんですもの、人は常に恐怖の対象がどこかにあるわ。だから仕方のないことだと思いなさい。それに、あなたのこと自身なんだから、怖がられていても、いつかは、あなたのことがわかって、怖がらないと思うわ、私も、強い力を持った人って、人が変わるって知っていたから、はじめは、あなたが、少し怖かった。けど、あなたと話して、怖くなくなったのよ、あなたは面白くて、カッコ良くて、強くてね。だから大丈夫よ」
俺は、慶の話を聞いて、感動して、涙ぐんだ。
「そうだよ。大丈夫だよな。ありがとうございます。おかげで悩みがすっきりしました」
俺は慶にお礼を言った。
「いえいえ、気にしないで」
慶は、俺のお礼に、少し照れくさそうに答えた。
俺は、そんな慶を見ていた。
《や、やばい!何だ?かなりドキドキしてる。しかも、慶が、綺麗で可愛く見える。何でだ。こんな気持ち初めてだ》
俺がそんなことを考えていると、放送がなった。
『ただいまより、59試合をはじめます。試合は、1年瀬戸、2年黒木 VS 1年杉本、2年平野の試合を始めます。両者、手前左のステージに集合してください』
「行きましょうか」
「ええ」
俺たちは、すぐに、ステージに向かった。




