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桃太郎~きび団子なしver~  作者: タラバガニ
4/5

雉編

「我は雉の草原ボス、雉原キージだクエ」


雉の草原に入るなりまたしても急にボスが出てきた。やっぱ人間だ。

ボスなら最後で待ち構えておいてくれよ。


「俺は桃太郎。ごめんだけどここを通してはくれねぇか?」

「奇妙なことを言うクエ」


お前の語尾の方がよっぽど奇妙だよ。


「ここを通るということは鬼ヶ島に行くということクエ」

「そうだ。俺は鬼退治に来た」

「それならば我にその力を示してみろクエ」


そう言い、キージは懐から鋭利なくちばしで出来た剣を出す。

なんでこうなるかなぁ。

なぜ誰も素直に通してくれないんだ。


「仕方ねぇなあ」


対する俺の武器は伝家の宝刀・『鬼狩り』、受け継がれし楯・『浄化の木版』だ。

楯がある分こっちが有利とみた!


「待てクエ」

「忙しいやつだな」

「その鎌と洗濯板は何だクエ?」

「決まってんだろ」


そう言い放ち、俺はキージに向かって鎌を投げつける!


「俺の最強の武器だ!」


しかしその鎌はあっさりキージの剣の露と化す。

俺も決してその一撃で勝負が決まるなんて思っちゃいない。


「そこだぁ!!」


キージが鎌を対処する一瞬のすきをついて俺はキージの目の前まで一蹴りで移動した。

洗濯板で殴りつける!キージは虚をつかれて一瞬ひるんだ。


「おらぁあ!!」


そこからの勝負は一方的だった。

鈍い音が連続的に聞こえ、ついには血しぶきが舞う。

10回くらい殴りつけた時、勝負はついた。

俺の負けだ。


「痛っ!その剣痛っ!」


腕を刺されて草原でのたうち回る。


「私はそろそろ行くワン」

「茶番はここまでで十分だウキ」


そう言い、2人は戦力を引き連れて鬼ヶ島に向かう。


「ちょっ!待てよ」


俺達仲間じゃなかったのかよ!

体面上はいがみ合っても食欲という絆で結ばれた仲間じゃなかったのかよ!


「くそぉ腹減ったぁ・・・」

「よくそんなんで鬼退治に行こうとしたクエ」

「行かせてくれよぉ。なんで駄目なんだ」

「無駄に命を失わせたくないんだクエ」


あらやだイケメン。

でもこのままじゃ餓死するのはどうしましょ。

こんな時、きび団子があったら・・・


「そうだ、ならお前達が鬼退治を手伝ってくれよ」

「我らとてそんなに暇ではないクエ」

「とても暇そう」

「こう見えて、続く食料不足でかなり厳しいのだ。鬼からの援助で成り立っているようなもんだクエ」


お、鬼からの援助!?

俺を止める理由、そっちが本物だろ。俺の純情返せ。

しかし思った通り食糧難だったな。

獣たちは皆食べ物のことしか考えてないって最近分かってきた。


「まぁ、人の命を奪う鬼に頭を下げるのはさすがに屈辱だがなクエ」


ここだ!


「ならば俺達に協力したら一生分のきび団子をプレゼントしよう」

「き、きび団子とは!?クエ」

「極上の食材だ。あの猿の大将はそれが目当ててで命を賭けてるレベル」


キージの顔が驚愕の色に包まれる。

同時に口からヨダレがあふれ出る。


「い、いやしかし、だが、クエ」

「なんだ?乗らないのか?ならいいよ」

「待つクエ!」


よし、かかった。


「もし嘘だったら、殺すクエよ」

「命を無駄に失うのが辛いんじゃなかったっけ!?」


・・・まぁいいだろう。

あとは婆ちゃんの力量次第だな。

婆ちゃん・・・大仕事が待ってるぜ。


「味は約束する。口の中で甘く弾む極上のきび団子を用意しよう」

「雉、総勢1000匹!!」


ギョエェーー!!という鳴き声と共にどこからともなく雉が上空に集まる。

お、多いな。


「鬼ヶ島に向けて出発クエーーーーー!!!」


雉が俺を背中に乗せて飛ぶ。

これで海を渡れということらしい。

不本意だが犬と猿の軍団も途中で乗せてやった。


「っしゃぁ!待ってろよ鬼!」






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