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異世界転生から始まる僕の学園物語  作者: 柏木ゆずき
第1章
7/10

第7話~学園都市入学編②~

「ふぅー……緊張したぁ……。初対面でしょ?緊張しなかったの?てか今頃に入学ってことは特待生ってことだよね!?得意なことは??」


 いきなりの質問にどう答えようか迷っているといきなりの質問はまずかったと気づいたのか。


「あっごめんごめん。僕の名前はノースって言うんだ。普通にノースってよんでね。」


「僕の名前は亜瑠っていいます。僕も普通によんでください。」


「へぇーアルって言うんだ」


 ノースは行こうかと言って歩き始める。


「久しぶりに見たけどやっぱりあのグリモワール様はおっかないよね」


「おっかない?」


 ノースは驚いたように後ろを向く、階段なのにバランスを崩さないのは鍛えている証拠だろう。


「グリモワール様はあの魔王討伐隊に参加してたんだよ!勇者様と仲が良くて、2人でタッグを組むことが討伐隊の中でトップってほどすごい人なんだ!!あの魔王の道連れにする闇魔法から勇者様を救ったんだ!勇者様はみんなに姿を見せてからいなくなっちゃったけど……」


 この世界のことを知らないから何がすごいかはわからないがいろんな物語で出てくる魔王……それを討伐するための勇者パーティーは精鋭揃いだろう。

 それに入れたってことは確かにすごいことなんだろう。


 魔王、勇者、ミスティア学園、この世界……。


 とにかくいろんなことを学ぶ必要があると思う。


「ねぇノース……」



「なんだい?」



「僕は記憶喪失でこの世界のことをほとんど忘れてしまっているんだ」


 それを聞くとノースは目が飛び出るかというほど目を開いた。


「記憶喪失!?ということは記憶が……?」


 みんないい人すぎて騙すのが嫌になるが1番都合の良い理由だからこれぐらいしか思い浮かばない。

 僕は深く頷き言葉を続ける。


「記憶がないからさノース……僕が受かったら。僕が受かったら色々と、この世界のことを教え直してくれないか?」

 












~サンクワード帝国王の間~






 広い広間で王と謁見している臣下がいる。

 王は頭の黄金に輝く王冠はもとい身体中を金色のもので身を包み、ローブでさえ赤の下地に金の刺繍がこれでもかと入っている。

 また王の威厳は装備品や装飾品などよりも王自身から漂ってきており1国のトップと言われても皆が頷けるだろう。


 しかし目の前の臣下も負けてはいない……金色の甲冑に身を包み腰に携える剣は1目で1兵卒がつけては良いものではないとわかるだろう。


 また王の謁見に剣を帯剣するなどは言語道断なはずなのに横に控える宰相以外はたいして気にしていない。

 女宰相は何かを言いたげにしかしこの空気を壊したくなさそうに何も言わない。





「お父様お久しぶりです」


 自分の父と顔を合わせるのがこんなにも緊張することはそうそうないだろう。

 王は名前だけと思われがちだがサンクワード帝国現国主サンクワード・ヴィ・ガイレス……私の父は自ら前線にたって兵を率い、この大陸の5分の2割をもぎ取ったと聞いている。

 弱小国だったこの国を1大帝国にした裁量はどの国の王にも優っている……しかも今年で45歳なのだが30代に見えてしまうのは闘志がまだ熱く残っているからだろうか?


「よく戻った……セレスティーナよ首尾は?」


 父が求めるのは常に結果だ。女でも使えると思ったのならば武を教える、男でも武がダメなら知を政を……。


「無事にフォルガ森林公園にいた男を学園都市に連れていきました。でもあの男になぜですか?目にかける必要なんて」


「俺の言うことは絶対だ!」


 国王の目が開かれる目の奥の強い眼光から過去の話は偽りではないとまじまじと感じさせられる。

 しかし次の瞬間にはその光を収め子供の頃から見てきた顔に戻る。


「とまぁそれは嘘だ、いつも通りのお告げだ……神の……世界の」


 突然並んでいた幹部の1人が倒れる。

 するとそれまで耐えていたかのように他の幹部達が1斉に笑いだす。

 


(もうか)



「静まれぃ!!」


 宰相が声を荒らげるが王が手を伸ばし宰相を抑える。




 私は知っている……みんな頑張って演技をしていたことを


 父は厳格な王を真似ていたのだ。



 倒れていた幹部が起き上がる。

 宰相は倒れた男を非難するために近づく。

「カルバース卿!!」

 カルバース卿と呼ばれた男は40代ぐらいの優秀な幹部だ。

 優秀ゆえに毒が強いらしいが……カルバース卿はけだるそうに起きると

「だってながいやん」と言う。

肩をすくめると

「寝てもうたわ」と悪気もない顔でひょうひょうと言い放つ。


 見ていた他の幹部も宰相に声をかける


「今更ガイレスさんに王をやれって言ってもむりですよぉー、ってか俺の言うことは絶対だって……クスクス」


 笑いながら言う子供はタスリー卿だ。10代で領主に就き領地をまとめあげると国力を強固なものにする1端に加わったことで賢主と名高い。

 実は魔法も得意らしく領主をやめたら筆頭宮廷魔術師に迎えることが出来ると国王からのお墨付きをもらっている。


「タスリー卿!!!ガイレスさんとはなんですかっ!!様でしょうが!様っ!」


 黙って見ていた国王が口を開く。


「やめろやめろレイモンド。あいつらのことは1番俺が知ってんだ」


「ですが国王……このまま他の国と会合を行っては確実に舐められてしまいます。大国の王としての威厳をみせる練習なのですからしっかりとやってもらわないと!」


 王は何かを考えるとこう言った。


「カルバース!タスリー!スルート!アモス!…………飯に行くぞ!」


「「「「はっ!!」」」」


「セレスティーナも行くか?」


「レイモンド……?」


 セレスティーナはいつも通りの光景だがいちようレイモンドの許可を得ようとレイモンドを見て首を傾げる。

 レイモンドは頭を痛そうに抑えると「セレスティーナ様行ってくだされ」と言うとその場に崩れる。

 セレスティーナは嬉しそうに笑顔になる。


「行きます!」


 レイモンドは王が幹部達を「見つけたー」と言いながら嬉しそうにしていたのを思い出す。王が国力をつけることができたのは彼が見つけた幹部達の力が大きく関与していると知っているから。王にも幹部にも強くなにも言えない。

 みんなが1斉に並んで歩く後ろ姿を見ているとガイレスが後ろを向いてウインクをしてくる……レイモンドは呟く。


(私も見つけていただいた1人だし……宰相って幹部でもトップだよね……?)



「こんなところで王の威厳を見せられてもぉ……私も行きますー!!」




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