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異世界転生から始まる僕の学園物語  作者: 柏木ゆずき
第1章
6/10

第6話~学園都市入学編①~

 馬は城門付近で預けてきたので徒歩で都市の真ん中にそびえ立っている城に向かう。

 市役所を出てから明らかに会話が少なくなった。



 中心部に向かっているからか人の数も次第と増えてゆく。

 出店も多いがそれよりも儲かっているからかお店を構えている立派な建物がよく目に付く。

 耳が尖っているのはエルフの子供だろうか?そして一緒に遊んでいるのは身長が低く足が人間よりも少し短いからドワーフ?異種族間では憎みあっているって印象があるから少し以外だなぁ。


 相変わらず金色の甲冑は目立っている。

 でも眉を潜めたり、さっきみたく嫌味を込めて話しかけられることがないから安心して横を歩いて行ける。

 さっきの子供たちがこっちをキラキラと輝いた目で見つめながら指をこっちにさして声高らかに何かを叫んでいて聞こえないが「騎士になってやるー」って感じではないだろうか?

 確かにセレナさんの甲冑高そうだからみんなの羨望の的だろうな。


 



………




…………




………………




 むぐぅぅ気まずい。

 さっきからキョロキョロして気を紛らわしていたけどやっぱり話さないと気が持たない!



……。



「セレナさんはどうしてここまでしてくれるんです?」


「……何がだ?」


 よかったぁ返事してくれないかと思った。

 そんな人じゃないと知ってたけど。


「僕に色々と教えてくれたり、戸籍を作ってくれたり。お金だってそうだし……」




 近づく城を薄目で見つめてから僕の目を見る。




 そこにはさっきのような羨望も弱さも見て取れなかった。



「困っている人を見ると助けたくなってしまうんだ」



 強い決意の目だ。


 セレナさんの過去に何があったのだろうか……。




 また城を見たセレナさんがニコッと笑う。


「……というのは建前だ」


「えっ!?」


「私もミスティア学園の新入生なんだ」


「えっ!?」


「友達というものが欲しくてな」



 途中にこやかな笑顔が苦笑に見えたこともないのだが……


 つまり寝ていた僕を彼女はミスティア学園の生徒だと推測して友達になるために声をかけたが目測ははずれ、そこで終わるのが普通だが記憶喪失と言う住所不明の男の戸籍を作りお金を出したというのか……?


 なんてええ人や。

 でも体が持たないでしょ……やめさせないと。



 すると彼女は今度は歩速を早め僕の前にくる


「というのも建前かな?」


 と言う。


「えー!?」



「魔力が高い身元がわからない奴が倒れていたら誰でも警戒するだろう?それがミスティア学園について知りたいって言ったんだ。知り合いになっておくのも悪くない」



「結局それって友達が欲しいっていう建前じゃないですか」



「そうなるな」



 またしばらく無言になる……何か話題がないか探していると……



 セレナさんが体の向きをぐるっと僕の方に向ける。


「頑張って新入生になってくれ。同じ学校の生徒となって話そう」


 そう言って半身をずらすと城門が構えていた。


 いつの間にか城についていたようだが……相変わらずスケールが違う。




「入るぞ」



 

 頑丈そうな鉄の門を潜り抜け、練兵場のような広場やとてつもなく広いグラウンドのようなものが視界に入ってくる……が迷いなくそびえ立つ城に入って行く。


 授業中なのだろうか?人が1人もいない。


 

 階段を登って、登って、登って、登って、登り終えると小さな広間にでた。



 ここが最上階らしい、奥には両開きの扉が堂々と置かれている。


 扉までの数10歩を重い足取りで歩んでいると突然セレナさんが足を止める。


 「ここからは1人で頼む」

 

 ……。


 せめて、せめてノックして部屋の中まで入ってきて欲しかった……。高望みはしないけど僕の紹介ぐらいはして欲しかった……。


 と歪んだ顔を見て察したのかセレナさんが慌てて付け加える。


「こっ、これから家の用事があるから帰らなければならないから帰るだけだ!」


 ここまで言うと今度は慎重な面持ちになる。


「学園長はとても恐ろしい方だ。各国の国王も頭が上がらないほどにな。賢者に1番近い方と言われているくらいだ」


「賢者とは?」


「それも含めてすべてを教えてくださるだろう」



 僕が近づくと呼応するかのように扉が徐々に開き始める。

 吸い込まれるかのように足が交互に繰り出される。


 まるでそこに甘美の果実があるかのように、そこにゆけばすべてがわかるかのように……


 扉をこえると1人の人がいた……




 それはどこか懐かしいような、初めて見たような顔だ。

 あの白い髪の毛で遊んだ記憶かあるような気がする……あの帽子は何回か被ったことがある。

 シワによって衰えた口から出た見た目とは裏腹な力強い言葉で支えられたことがあるような気が……



 

 しない。



 地球であんな人とあったことはないし物理的に会うことはできないから多分気のせいだろう初対面だ。




 そこにいたのは80歳くらいの白髪でローブを被ったおじいさんだった。



「失礼します、上井亜瑠と申します」



 その荘厳とした雰囲気に思わず名乗ってしまう。



「グリモワールじゃ……」



「話は聞いておる……」



「災難だったのぉ……」



 1瞬驚いたような顔をした後にすべてを悟った顔をして上を向いた。


 厳しさを纏う顔の中に優しさを見つける。


 恐ろしいって聞いていたよりもそんなに恐ろしくないな。


 

「あのっ!」



「わかっておる。試験じゃな……。試験官を待たせておる、今1人の生徒を呼んでおるから場所や服装について聞くがよい」



 言おうとしていることを先読みされていてとても居心地が悪い。



 途方もない重圧からかなにも言えない僕をまじまじとグリモワール学園長が見てくる。

 

 「……生命神…………」ポツリと呟いた


 どっかで聞いたことがある気が……?

 ステータス画面で書いてあった!わからなかった単語、生命神の加護のことだろうか?

 わからないことを聞けると内心喜んだが

 口を開くよりも先に扉をノックした音が部屋に響いた。


「許可する」



 扉が開かれて全身を制服らしき格好で揃えた男子学生が1人入ってくる。

 


「お呼びでしょうか?」



 声の高さから女が来たのかと思ったが制服も男ものだし胸もないので男なのだろう。


「うむよく来たのぉ、そこの者を試験場に連れて行っておくれ。服装のことなども教えてやりなさい」


 

 可愛い顔だ……こいつはほんとに男?なのだろうか?。

 彼は僕を上から下までジロジロと見たあとに「了解しました」と言った。


「着いてきて」

 

 僕は彼に連れ出されて部屋から出た。

 部屋から出る時に学園長の「よかった」と言った声が聞こえた気がした。

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