第3話~学園都市~
景色が目まぐるしく変わっていく。時速何キロだろうか?連続で走っても大丈夫なのだろうか?ふと考える。
僕は今、鎧を金ピカに揃えた女性の背中にしがみついていて女性はセレナさんという名前で。なんでこんなことになったかというと…
「うわぁ!」
「すまんすまん、ちゃんとつかんでいろよっ!」
おほん…なったかというと。
ミスティア学園なる新入生か?と聞かれた僕は。瞬時に2つのことを考えた。
1つ目はせっかく新しい命を貰ったのなら自分を変えていきたいということ
2つ目は学校ならこの世界について知ることができるということ
だからセレナさんに馬で中立都市ミスティア学園というところに連れて行ってもらっている。話の最中僕は記憶喪失になってしまったと言ってこの世界の簡単な事を教えてもらいながら時間を潰した。
「記憶喪失だと!?」
はいそうです…。
「なぜ名前が言えるんだ!?」
なんででしょうか…?
「それは大変じゃないか!」
嘘だけどね…。
まさか信じてくれたセレナさんに申し訳ないと思いつつ
「何か話したら記憶が戻るかも知れません。」と言う。
「そうか…」
セレナさんは んー と何か考えたあとに話し始めた。
この世界の国は6つほどに分かれているらしい。
昔は戦争ばかりしていたが100年ほど前から魔物が西に突然現れ先代の王様たちが戦争を辞め、お互いに手を取り合ったそうだ。
そして作ったものがミスティア学園だ。
どの国にも属さずに正しい国の情勢を学び知恵をつけ、戦争を起こさないようにしていくというのが目的らしい。
そして僕だけど学園長先生と会い試験を受け、合格するに値すれば特別に入れて貰えるかもしれないそうだ実際の所、学校の順位はそこそこ良かったから座学については自信しかない!
国の歴史とか聞かれたら終わるけど……。
剣技とか魔法って言われても終わるけど……。
アニメとかの知識でどうにかなるかな?
………むっちゃ不安やん……
考えてなかったけど受からなかったらどうするんだろう?
まさか野宿になる可能性もある……
日本だったらありえない……?
……。
やだなぁ帰りたい……。
……そんな事言っていたらいつものままだから受かると信じて切り替えていこう!
「お尻は痛くなりませんか?」
彼女は表情は見えないが首を横に振り
「慣れてしまえばなんてことない!」と後ろから見ても堂々としながら言った。
見られてると思って姿勢でも伸ばしたのだろうか?
金ピカな鎧はとてもツルツルしていて何度も手が滑り落ちそうになる。
「おっ落ちるっ!」
「頑張れっ!もうすぐだ」
この会話が4回ほど続いた後……30分ぐらいだろうかぼんやりと見えていた黒い塊が徐々に鮮明を帯び視界いっぱいまでに広がりお尻と体力が限界に達したその時。
「着いたぞ!」
流石に長い時間馬に乗るのは疲れるのか少し声に疲れをにじませながらセレナさんは言った。
「ふぅー。疲れた」
崩れ落ちるように馬から降りる。
今までほとんどが鎧で隠れていて見えなかったけど降りてみて気づく。
とてつもなく大きな城壁だ。
高さはわからないけど横幅はここからじゃ見えないぐらいに長く伸びている。
材質は大理石のような石で日の光を浴び絶え間なく輝きを放っている。
開け放たれた城門からは人や違う種族の方たちが絶え間なく行き来している。
「ここが…ミスティア学園だ!」
……えっ?
「ここが?この城門の中すべてが?」
「もちろん、城門の中すべてが」
明らかに規模がおかしい、学校という大きさじゃない。
学園都市なんて大層な名前をしてると思ったけど都市なんて言葉は間違いじゃない。
自分は本当にどこに来てしまったのだろうか?
「入るぞ」
セレナさんについていく。
いろんな人が珍しげに見てくるがたぶん目の前の目に悪い鎧を着ている人のせいだろう。
「通行証の提示をお願いします」
やっぱりそういうの必要ですよねー。
巨大な門には4人の兵士らしき人が立っていて通行証を確かめて人を流していた。
僕の所にきた兵士はタレ目で口元は笑っていて鉄?の鎧を頭以外に着けていた。
ないものはないから返答に困っているとセレナさんがタレ目の兵士に
「ここは私の顔に免じて通してやってくれないか?彼は孤児で戸籍を取りに行くところなんだ」
門番の兵士はタレ目いっぱいにセレナさんの顔を凝視した後
「セレスティーナ様!!申し訳ありませんでした!どうぞ」
「いやこちらこそすまんな、お務めご苦労」
と会話すると通してくれた。
僕も軽く会釈して門をくぐる。
「セレスティーナ?」
門番の急な態度の変化が気になり原因だと思われる言葉で聞いてみる?
彼女は静かに首を横に振り「聞き間違えだ」と言った。
疑問に思いながらも門をくぐるとそこには街があった