第三話 再会
大学生編です。
ヒロイン登場です!ここからキーワード通りの展開になります。
高校を卒業して、大学に入学しても俺はあまり代わり映えしない日常を送っていた。
唯一、変わったことは一人暮らしを始めたことだろうか。引っ越しの荷物の大半が彼女との思い出の品々で、俺の荷物より多かったのには笑えた。
大学はすごく楽しく、今まで趣味でしかなかったものを本格的に勉強し出して、自分がいかに未熟だったのかがよくわかる。
そんな日々を送って、あっという間に二年が過ぎた。
俺はその日、買い物にショッピングセンターに来ていた。
食材と洗剤、ついでにビデオカメラやカメラを覗こうと思っていた。
「まず電気屋から行くか」
その道中で俺はふとある女の子が目に入った。その子が振り向き、目が合った。お互い目を見開いているのがわかった。
「紫…」
向こうも俺の名前を呟いたように見えた。
次の瞬間、鳩尾にすごい衝撃が走った。
声にならない悲鳴を噛み殺し、そのぶつかって来たものを抱き締めた。
「泣き止んだか?」
俺は泣き出した彼女を連れ、喫茶店でパフェを奢っていた。
「悠人が大きい。何かむかつく」
彼女は頬を膨らませる。可愛い。
「お前が小さいんだろ。で両親は?はぐれたのか?」
「はぐれたというか、自由行動をしていたから今は別行動中というか…」
「つまり、はぐれたんだな」
「はい…」
「携帯は?」
「持ってない」
「まぁ、そうだよな」
今の彼女は小さい。
「今、何歳だ?」
「4歳。今年で5歳。と言っても早生まれだから正確には今年じゃないけどね」
「泣いてた姿だけは歳相応だったな」
その瞬間、足を蹴られた。しかも脛。超痛いんだけど!
「お前な…」
「うるさい」
あまりの痛みに悶絶するも一蹴された。横暴である。
「今の私は藤原紫。誕生日は前と一緒。兄弟はいない。一人っ子。他に質問は?」
「どこまで覚えてる?」
桐生紫だった時の記憶を。
「全部。多分が付くけど」
「そうか。なら最期の言葉は?」
それを聞いた彼女は顔を真っ赤にさせて叫んだ。
「そんなの覚えて…!」
「静かに。ここ、公共の場だからな」
紫はぐっと黙り込む。
「その余裕綽々な態度がむかつくんだけど」
紫は口を尖らせるが、可愛らしい。
「大人だからな」
「嫌な大人」
ぐさっと心に刺さる。
「また俺に恋をしてくれるか?」
余裕?そんなものある訳ない。たった数分で俺はもう彼女を手放せそうにないのだから。
俺の言葉に顔を上げた彼女は俺があまりにも情けない顔をしていたからか、笑った。
「もうしてる」
その言葉を聞いた俺は泣きそうになった。
「すぐに悠人だってわかった。ねぇ、私は生まれ変わって悠人に会いに来たよ。そして、またあなたに恋をしている」
「あぁ、俺もだ。一目でお前だとわかった。生まれ変わっても俺に会いに来てくれてありがとう。そして、また俺に恋をしてくれてありがとう。今でも俺はお前に恋をしてるよ」
パフェを堪能してる紫を持っていたカメラで撮り、ようやく食べ終わった紫とお互い、今までのことを話した。
彼女が携帯を持ってなかったので住所を書いた紙を渡した。
「手紙ぐらいは書けるだろう?」
「うん。すぐ手紙書くね」
彼女は嬉しそうな笑顔で紙を眺めていた。
ここからヒロインとの甘々です。少しシリアスも入りますが、基本ラブラブです。