第二話 高校生活 2
前話の続きです。
高校生編はこれで終わりです。
それからの私は積極的に話しかけ、仲良くなるために頑張った。
水原君がまた入賞したので部員全員でお祝いした。
学校祭での時間と場所の割り振りではまた水原君と同じグループになった。
友達と遊んで、部活で喋って、水原君に恋してと忙しい学校生活だった。
水原君と仲良くなっても、私はまだ告白できずにいた。
「そういえば、進路調査に何書いた?」
「私は普通に文系の大学って書いたよ」
「だよね。私もそう書いた」
「私は専門学校」
「私は短大」
みんなバラバラな進路。
水原君は何と書いたんだろう?
「文系の大学か専門学校かな?」
「そうなんだ。どの学科か決まってるの?」
「そうだな〜。今は歴史学科か民俗学科を考えてるよ」
「専門学校は?」
「あぁ、写真をちゃんと勉強したいなって思ってね、そっちも考えてる」
「すごいね。そこまで決まってるんだ。私なんかまだ全然だよ」
「それが普通だろ。俺の場合はやりたいことが決まっているからな」
「やりたいこと?」
「興味がある分野を学びたいってことだよ」
少しずつ距離を縮めて行く度に思う。水原君はある一定の距離までは気安いけど、あるラインまでは踏み込ませない。
彼は自分の恋愛話を嫌がるのだ。
彼は告白されても断っていた。理由は君とは付き合えないから、好きな人がいるから、の2つだ。
彼は時々、ここじゃないどこかを見ている。今にも消えそうな儚い表情で。
彼はあの映像の彼女に囚われているんじゃないか?と思うようになった。だけど、尋ねられなかった。それは多分、水原君の鬼門だ。
私と水原君と仲がいいのは彼が嫌がることをしないからだと思う。それは表面的な会話をしているだけで、これ以上の関係を望むなら踏み込まなくてはいけない。だけど、私はその勇気が持てなかった。その話題になると彼が無意識に拒絶するだろうとわかっているから。
高校二年の夏。
水原君は進路を決め、私は告白することに決めた。
恒例の夏合宿。
水原君は学校をビデオカメラで撮影していた。
「俺の高校生活を記録に残しておこうと思って」
そう笑って、水原君は撮影していた。
私には誰かのために撮影しているように見えた。それはきっとあの彼女のためだろう。
私は合宿の最後の日に告白した。結果はダメだった。
振られるとわかっていても涙は止まらず、悲しかった。友達と失恋パーティーをした。
振られた私だけど、水原君とは友達として付き合ってる。
彼は高校卒業後、見事希望していた映像学部がある大学に合格し、入学した。
水原君は私の高校生活の青春だった。卒業してから私は思う。彼は今でも彼女のことを想っているのだろうか?いつか彼は誰かを好きになって、幸せになる日がくるのだろうか?
そんな日がくることを私は祈っている。
次は大学生編です。
ヒロインが登場します。なので、シリアスは減ります。