第十一話 仕事 2
お久し振りです。大変お待たせしました。
こちらもぼちぼち更新していきます。
よろしくお願いします。
「う〜ん」
「また仕事してる」
眼鏡をかけて、真剣な表情で仕事をしてる悠人はかっこ良かった。思わず携帯で撮ったけど、それすらも気づいてない。
「これはこっちに…、いや、やっぱりこれをここにやって…」
あぁでもないこうでもないと悠人は唸っているので、私は邪魔しないように家事をしておく。
「眼鏡してる悠人を初めて見たけど、かっこ良かったな〜」
溜まってた洗濯物や食器を片付けると、掃除をする。
昼食の時間になったのでご飯を作り、悠人を呼ぶ。
「眼鏡かけるなんて知らなかった」
「パソコンを触る時だけかけるんだよ」
「へぇ〜」
「この仕事が終わったら一緒に出かけようか」
「うん!」
「とこんな感じなんですけど」
バソコンで編集作業の途中だが、作品がある程度、形になったので朱里さんに見せる。
「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」
「あぁ、そうですね」
女性目線の意見は助かる。
「一応、これで完成ですかね?」
「あら、納得いってないって顔ね」
目敏く、俺の表情を読み取る。
「何か足りないような…」
完成してるんだが…。
「あっ…」
「何?」
「いえ、何でもないですよ」
「あぁ、この髪飾り、紫に似合いそうね」
図星を指され、思わず咳き込む。
「こんな時まで紫のこと考えるなんてそんなに好きなのね」
「何でわかったんですか?」
「営業を舐めないでくれる?それくらいわかるわ。後で調べてあげましょうか?」
「お願いします」
素直に頭を下げる。
「何が納得いかないのか知らないけど、待てるのは期日までだからね」
「はい」
後でまた見直そう。
「で、紫とはどうなの?」
「どうとは?」
急に話が変わったな。
「紫の小物類が増えてるなって思ったんだけど」
「あぁ、小物類は結構買ってますね。そんなに高いもの買う訳にもいきませんし、そうなると必然と食べ物か小物類、テーマパークになります」
「まぁ、そうよね〜。あの年頃にアクセサリーはいらないものね。指輪とか?」
「ごほっごほっ…急に何を言い出すんですか!?」
飲んでいたコーヒーを吹き出しかけた。
「指輪とかまだ早いでしょう。指のサイズだってだんだん合わなくなりますし」
「いずれあげるつもりではいるんだ?」
「……いずれは」
「ふ〜ん。私は紫の恋を応援してるから悠人君の味方よ?」
「はぁ…」
よくわからないが、とりあえず味方ならしい。
「うわぁ〜…」
辺り一面のひまわり畑に紫は目を輝かせる。
「すごーい!」
駆け出す紫をビデオカメラで追う。
白いワンピースが風で揺れ、飛びそうになる麦わら帽子を押さえる。
「ここはあまり変わらないね」
「そうだな。全然変わってない。懐かしい」
目を細め、眺める景色は前と変わらず、壮大だ。
「紫、はしゃぎすぎて転けるなよ」
「転けないもん!」
そう言って走り出す紫の姿に不安を覚える。
「ならいいんだが」
と俺が呟いてすぐに紫が転けた。
丘を登り、見る景色は最高だった。
「綺麗だね〜」
上から見下ろすひまわり畑は壮観だった。
「さて、サンドイッチを食べるか」
話題のパン屋さんで買ったサンドイッチ、超高かったけど、美味かった。
丘の上にある店でデザートのプリンを買う。
「搾り立て牛乳で作ったプリンがまた食べられるとは…!美味しい〜!」
「相変わらず美味いな」
久しぶりに食べたが、ここのプリンは美味い。この景色の中、食べるからなおさらだ。
紫はご機嫌だ。
腹ごなしにアスレチックで遊び、楽しんだ。
「また来ようね!2人で」
「あぁ、また来よう」
「これで完成です」
ようやく足りなかったものがわかり、完成した。
「へぇ〜、この1カット入れただけでこんなに変わるなんてね」
「はい、足りなかったのはこれでした」
期日まで粘って作った甲斐があった。
「これで仕事は完了です」
ようやく終わる。ここまで長かった。こんなに疲れるとは。
「悠人君、お疲れ様」
最終チェックが終わり、これで朱里さんともお別れだ。
こんなに気の抜けない仕事はもうしばらくの間したくない。
「朱里さんもお疲れ様です」
「ご苦労さん。本当にお前を引き抜いて良かったぜ!水原の初仕事が終わったお祝いに打ち上げでもするか。朱里さんも一緒にどうです?」
「では、せっかくですし、参加しようかしら?」
「本当ですか!?やっぱり、美人さんがいたほうが酒は美味いですからね」
俺はもう帰って寝たいんだけど…。
「無理か…」
主役だし、強制参加だな。
「乾杯!」
乾杯し、一通りお酒も料理も飲み食いした後に朱里さんに尋ねられた。
「どうして悠人君はこの仕事を選んだの?」
「急に何ですか?」
いつも唐突な質問だな。
「いや、気になるじゃない?」
「何でって、才能があったからですかね?」
「それは嘘ではないけど、本心でもないわね」
相変わらず鋭いな〜。
「……撮り続けたいものがあったからですよ」
「ふ〜ん。最初のきっかけって何だったの?」
「小学生の時に父親からビデオカメラとカメラを貰って、色々と撮影し出したのがきっかけですよ。それからはまり出して今に至る訳ですが」
「何でカメラなの?」
「そうですね…。やっぱり、今を切り取れるからですかね?今しかないこの一瞬を記録に残せるってのはカメラの醍醐味ですよ」
彼女がいない5年間は地獄のような日々だった。あの記録があったから俺はこうして何とか生きているのだ。あの記録がなかったら立ち直れなかったし、こんな風に笑えていなかっただろう。
「朱里」
店を出て解散の流れになった時、鋭い声が聞こえた。
「あら、わざわざ迎えに来てくれたの?」
朱里さんが綺麗な人に駆け寄る。
「仕事の帰りに寄れそうだったから」
美男美女のカップルは絵になる。
この人、もしかして…。
「悠人君!」
呼ばれたので朱里さんの方に向かう。
「この子が水原悠人君。で、悠人君。薄々気づいているかもしれないけど、私の旦那の藤原蒼太よ」
「よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
まさかの紫の父親である。最難関のラスボスの登場であった。




