日常
小説書くのすごく難しいですね。
薄暗く何か腐ったような匂いが立ち込める路地裏に白い短めの髪に黒基調とした服を着た青年は立っていた。
左右の壁には蜘蛛の巣のようなヒビが入りこの重苦しい雰囲気をさらに重くしている。
「まったく、手間をとらせるなよな…」
そう呟いた青年は路地の奥に歩みを進めた。
30歩ばかり進んだ場所にはボロを纏った10才ばかりの少年が水をたっぷりと含みグチョグチョになった地面にうずくまっている。
一瞬青年は、死んでいるのでは?と思ったがそれは杞憂に終わった。
「ガバッ!ゴホッゴホッ!」
少年は激しく咳き込むとその場から逃げようともがきはじめた。
しかし、青年はそんな少年の頭を随分と使い込まれた皮のブーツで容赦なく踏みつけた。
「おいクソガキこれ以上面倒を掛けさせるな。」
そう言いながら青年は少年の懐から拳くらいの大きさの皮袋を取り出す。
すると突然少年は人が変わったかのように叫んだ。
「返せっ!それは僕のだ!手をはな、グハッ!」
「はぁ、人様から奪った金を自分のとはねぇ…」
青年はまったく表情変えず、喚く少年の腹を蹴りあげた。
「おい、ガキ。今回は見逃してやる。だが次に人の金に手を出したら殺す。」
そう言うと青年は少年に背を向け立ち去ろうとした。が、その背中に向かって少年は叫んだ。
「ま、待って!お願いします!薬が必要なんだ!少しでいいからお金を恵んでください!じゃないと弟が…弟が死んでしまう!」
「それがなんだ?別に誰が死のうと関係ない。それに、そんな事はここじゃ普通だ。」
そう。
ここでは人が死ぬなんて当たり前。
そんな異常が正常な町で俺は暮らしている。
いつからだろう?それを異常と認識しなくなったのは。
そう、そんな事が当たり前過ぎていつしかそれが日常になってしまったのだ。
ここは王都の城壁の外側にある。この街にいるのは大概が難民か犯罪者か奴隷だ。一部例外もいるかもしれないがそんな奴等も此処へくれば大概は犯罪を犯して仲間入りだ。
しかし、こんな街でもある程度の秩序はある。
2つの大きな組織が街を統括しているのだ。その組織は国から街の自治を実質任されている状態である。俺はその片方の組織に雇われて今回は金を取り返しにきている。
金は取り返したので用はもうここにはない。
もう夜は開けている。早めに戻って寝るとしよう。
こうして元来た道を引き返していくのだった。
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