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それから
行為は行われた。
模範的生徒である世故コウゾウは、教授を頼んだ。
平田里見は、わからないと答えた。
ことは、済んだ。
ただ、ゆっくりと時間が流れていた。
コウゾウは、アルバイトに出かけた。
里見は、そこにある漫画を自由に読んでから、彼にラブレターを書いた。
しかしそれはチャートの様になっていて、世故には読めなかった。
一生懸命書いた手紙は、いつしか失われた。
世故は眠りについた。
平田は、眠れず、ごそごそとしていた。
まるで小動物のように。
闇の中で、コウゾウは片目を開いた。
コウゾウには、物を片目で見る癖が在った。
里見は、そうすればいいのね、と得心した。