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大会 後編

呆然としてテレビを眺めていると、コン、コンとノックが聞こえた。

「入ってもいいでしょうか?」

「あいあい、どうぞー」

無気力そうに俺は答えた。

「僕は業火です。あなたが双大剣を使っている姿を見てかっこいいなと思って53までずっとやってきた片手剣を双大剣に変えたんですよ・・ていうか両手太刀って攻撃判定がおかしくありませんか?」

「そのうち慣れると思う。質問なんだが、長い間やってた片手剣をなんで変えたんだ?熟練度が0に戻るだろ。」

「いいじゃありませんか。これはしょせんゲームなんですし。」

「ここで死んだら現実でも死ぬんだぞ?本気でやらないと死ぬかもしれないんだぞ?」

どんな人間でも“死”を恐れるのは当たり前のはずだ。

「ここはゲームです。ゲームなんですから思い切り遊ぶのは当たり前でしょう。」

死ぬことを恐れていないのか?常人か?こいつ・・

「そろそろ出番ですよ。あなたの活躍を楽しみにしています。だからって負ける気はありませんけどね。」

「じゃあな。本番ではぶっとばしてやる。」

本番であったらこいつの神経を矯正してやる!

ピロピロリン♪と無機質な音が鳴り、一瞬で歓声でうるさいバトルフィールドにやってきた。

司会は叫ぶ。

「てめぇら!!今日はAブロックの決勝、タッグマッチっていうことで特別に司会は俺!ギンジ様が務めるぜぇ!!!!いま引っ込めとか言ったやつ顔覚えたかんな!大会終ったら32階層で待っとけ!」

かなりうるさいが我慢し、続きを聞く。

「今回は一つ目のタッグは!無名の剣士!クロキリとぉ!殴り一筋300年!初回大会三位の!ゴルーグだ!」

……………素手らしい。

「2つ目のタッグはぁ!PKギルドのギルドマスターァ!グラブとぉ!速さが命!相手を振り切り後ろから殺す!疾風の刃だぁ!」

PKギルド…この際にPKギルドのマスターにも顔を合わせておくとするか。

「あと三秒だぁ!一!二!三!バトルスタートォ!」

開始直後に俺は瞬間転移で近くの岩陰に隠れる。前を見たところ岩しかないフィールドだった。正式名称は岩石高原というステージらしい。

「おぉ!お前がタッグか!宜しくな!」

こいつがタッグか…

「よろしく頼むよ。」

「片方は帰還銃を持っている。狙撃距離は100mだ。気を抜いていたら狙撃されるし、遠くに離れても意味がない。隠れながら進んで相手が銃を撃ってきたらジグザグに移動しよう。そいつは疾風のほうだ。ある程度近づいたら銃を捨てて短剣に変えて突っ込んでくる。そうなったら瞬間転移でここまで戻ってくる。相手は当然探すと思う。だいぶ近くなったら相手の後に回り込んで斬る。それでいいな。」

「あぁ」

「グラブは転移系のスキルを大量に持っている。その中には俺たちの知らないスキルもあるはずだ。消えたらすぐに身を隠せ。それでも危険だからできるだけ防御の体制に移せよ。俺も疾風を倒したらすぐに向かう。それまでは持ちこたえてくれ。」

二対一であれば多少は有利になるはずだ。

「「行くぞ!」」

ヒュン!と風の音がして、俺は前の岩まで来た。

それを繰り返し目の前に疾風がいるその時、

「隠れているのはわかっている。さぁ、出てきてくれ。」

索敵系のスキルか。これじゃあ隠れようもない。

「ははっ、なんでもお見通しってか。」

「そうなるのかな。銃弾装填。」

カシャカシャカシャ!と音が聞こえる。

「じゃあ、試合の始まりだね。武器分割、ダンシングバレット、武器接着。」

バババババババババ!!!!機関銃が発射された。

「瞬間転移!ウィンドスライス!」

ヒュンヒュンヒュンヒュン!と風が切れる音が聞こえて、それと同時に弾がすべて切り落とされる。

「そのくらいじゃあ俺には傷なんてつかないぜ。」

「そりゃあねぇ。これは下級スキルだからね。次は中級くらいかな。ディストレクションストリーム!」

ババン!ババババ!ババッバッババ!銃弾が大量に撃たれる。規則性がないので

よけるのが難しいし、ウィンドスライスでは切り裂けない。

「オーバーレイスラッシュ!吹っ飛べ!」

ブワァァァァ!!!!と音が鳴り、銃弾がすべて飛ばされる。スキルレベルが上がっているので、象とかなら吹き飛ばせる。

「次はいちばん強いよ~トルネードバレット!」

ドドドドドドドドドドドドド!!!銃弾が上に下にと縦横無尽飛び交う。だがすべて最後は俺に向かってくる。そんな時に俺のシステムウィンドウが開いた。

スキル「護る力」を習得しました。

効果 チーム、タッグなどを組んでいると、自分の防御が40%アップ!尚、このスキルは故意に発動することはできません。

スキル「自己犠牲」を習得しました。

効果 自分がスキル「護る力」が発動しているとき、一定以下のダメージではダメージは受けません。

そしてまた一つ。

「護る力」を使用しました。

「自己犠牲」を使用しました。

「俺は…避けない!」

この力に賭ける!!

「もう諦めたのか。面白くないねぇ。じゃあ早速、死んでもらおうかな。これで終わりだよ。」

「HPバーが減っていない!?なんでだ!?」

「これが俺の力だ。じゃあな。月影斬。」

「短剣があるよ!」

一瞬で抜き、後ろに刺す。

ブスッ!と嫌な音が鳴り、俺の親指が切り落とされる。傷口から血が噴き出している。

「いてぇんだよ!」

だが俺の月影斬は止まらない。背中を貫通したが、一瞬で回復した。

「これが僕のユニークスキル。瞬間回復だ。」

チッ!でも何度も使えるわけではないはずだ。

その時、後ろから誰かに刺された。

「ぐあぁぁッ!?」

「背中が空いてんだよ!雑魚が!」

グラブかよ…

「最悪の状況だな…」

システムウィンドウが開く。

スキル「覚悟」を習得しました。

効果 自分のHPが30パーセント以下、チームメンバーが一人死亡状態で発動することができます。攻撃力40%アップ。」

スキル「暴れる」を習得しました。

効果 スキル「覚悟」を使用した状態で自動発動。

自分のダメージが一定よりも少なければ、2倍になる。


スキル 「暴走」を習得しました。

●●●●の時、●●●●●●●●●●●●の状態で自動使用。

使用条件が全く分からないが一応入れてみるか。

その暴走がスキルスロットに入った時。

そして俺は、黒く角の生えた姿になる。それと共に新しいスキルが入る。

「何だあいつ!姿が変わりやがった!速く殺すぞ!」

「了解」

「潰れろ。壊れろ。消滅しろ。砕けろ。」

動け。動け動け動け動け動け動け動け動け。どれだけ手を動かそうと黒く赤みがかかった後ろに向かって生えている棘だらけの腕は動かない。それどころか疾風たちのほうに一瞬で近づき、殺した。それは一撃だった。俺が腕を振り上げ、グラブを殴る。

「ぐあああぁぁぁぁぁッ!」

30m近く吹き飛び、岩に当たり、ずり落ちる。そしてそのHPバーには、かなりの勢いでゲージが減って、一瞬で死んだ。多少は手負いだったようだが、3割ほどしか削れていなかったはずだ。それなのに。一瞬でバーが削れる。

「なんでだよッ!クロススライス!」

スパスパッ!と俺の胴体に二つの切れ目ができる。そして見えないくらい少なくHPバーが削れる。

その瞬間にHPバーが全快する。それと同時に傷もなくなる。そして正拳突きを繰り出し、疾風はまたもや何十メートルも吹っ飛ぶ。そしてまた同じように岩に当たってHPバーがすべてなくなる。そしてポリゴン粒子になって消える。

観客席から「ウソだろ…」「ありえねぇ…」などといった声が聞こえてくる。

「うああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

叫んだ。そのはずだった。声にならない悲鳴はだれにも聞こえない。

「デストロイディスペル」

俺ではない何かはスキル名を口にし、俺の剣で空気を薙ぐ。そしてその横なぎをした範囲のスプーンで削られたかのようにすり減る。普通にステータスを振っているならばこんな威力は出ない。

「お前は何がしたい。」

誰がしゃべったのだろうか?司会はもういない。観客は驚きで声が出せずにいる。

「こっちだ。」

司会席の中にかなりの重装備の騎士らしき人物が目に入る。

それに対して俺じゃない何かは俺が出せるような声じゃない重くトーンがかかった声で言う。

「目的?そんなものはない。俺は破壊者。すべてを破壊するだけだ。」

「何か」はそう言い、またもやデストロイディスペルを発動する。さっきと同じようにスプーンですくったように地面が抉れる。

「騎士の鉄壁!」

騎士の誰かは前に見えない壁のような物を作り俺に突っ込んでくる。

「フローズンブレイク」

俺の前で下から上へ剣が振られる。デストロイディスペルのように地面が抉れて、その部分が代わりに凍る。その中からとがった氷片が大量に出てきて、すべてが騎士のほうへ行く。

「グランドウォール!」

地面から壁が出てくる。氷片はそれに当たり砕け散る。

「ぐああああぁぁぁぁぁあぁぁぁッ!!!!!」

「何か」は唐突に悲鳴を上げて倒れる。それと同時に俺も意識がなくなる。

次に起きたところは控室だった。

「夢…じゃないよな。」

まだ剣を握っている感覚がある。掲示板を確認すると死帝というあだ名が速攻で着いたようだ。

「次は準決勝か。業火は負けたみたいだが。」

大口叩いてたのにな。まぁあいつの性格から言うとわざとかもしれないが。

で、次の試合はバトルロイヤルらしい。

「もうそろそろ試合が始まるかな。」

飲んでいた缶コーヒーを一気に飲み干し、ごみ箱に捨てる。

「さぁ、行きますか。」

所変わって決勝待合室。

「じゃあ暇だし自己紹介でもしてみようか。私はルシア。二つ名は雷光。魔術師だよ。」

「俺はレン。大剣持ちのバトラーだ。二つ名は壊し屋。」

「私はルディア。二つ名は消える姫。ルシアさんと同じで魔術師だ。」

最後は俺。

「俺はクロキリ。不本意ながら二つ名は死帝。双大剣持ちのベルセルク。」

「えっ!?」

「マジか!?」

「本当か!?」

「えっと…なんでみんな驚いてんの?」

「「「双大剣ってゴミ「だよね!?」「だろ?」「だ。」

トッププレイヤー三名からゴミスキル使ってるって言われた…

「うーんそうなのか?」

「まず一つ。動きが遅くなる。」

「それはAGIにある程度振ってるから大丈夫だと思う。」

「二つ目な。必要筋力が高い。」

「うーん誰でも装備できる奴使ってるからなぁ…結構強いと思うし。」

「三つ目。攻撃力が低い。」

「えっ!?」

「何だそんなことも知らないのか。今装備している剣は攻撃力がどれくらいだ?」

「344」

「レンとやら。お前の剣の攻撃力は?」

「621」

「これで自分がいかに低下力だったかわかったか。そろそろ試合だ。行くぞ。」

「陽輪に勧められたのに・・嘘ついたかあいつ。」

そしてスタジアムに着く。観客が一人もいないのは集中するためだろうか。

「試合を開始するまで3分です。」

バキバキバキッ!と地面から何かが生えてくる。

「おぅゎ!!!???」

「何だ急に驚いて」

「地面からなんか生えてる。」

「ちっ。追尾魔法のグランドランスか。片づけるぞ。」

「試合の前に準備体操がいるしね!。」

「行くぞ。いっせーのーでっ!」

一気に走りだし、各々が武器を構え、敵を殲滅する。殲滅といっても10体くらいしかいないが。

「おい!ぼさっと突っ立ってないで攻撃しろ!結構固いんだぞ!こいつ。」

「へいへい。了解!」

固いらしいのでスキルを使おうかな。

「デストロイディスペル!」

木の槍が抉れて中にいる魔物が顔を出す。

「フローズンブレイク!」

中の魔物を凍らせて何度も何度も刺す。

「やっと片付いたな。」

「やっとってほどでもないけどね。」

「あと10秒で試合が始まります!10.9.8.7.6.5.4.3.2.1.0!」

さぁ。試合が始まる。













大剣なのに攻撃力が低い…

改変しました。分割するべきか迷ったんですが…そしてちょっと増えてると思います。

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