009 明るいナンバープレートパクられ日記
【緊急事態】
――ある日、俺の車からナンバープレートが消えた。
これは、その時の一連の出来事を、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、
むりやり笑顔を作って描いた、明るい、明るい『しょうも日記』である。
◆ 当日 ◆
1.買い物行こうと駐車場へ。
――な、なんじゃこりゃぁぁ!!
俺のユーノスコスモの前後のナンバーが、きれいさっぱり消えてるやん。
……慌ててスマホで「110」ポチ。
2.30分後。サングラス姿の警察官が2人登場。
おぉ、完全に刑事ドラマのワンシーン。
3.被害届の作成。
なんかの書類を書いてくれと、ボールペンを渡される。
そこで、――
「ぼ、ぼく、ショックで手が震えて字がミミズになるんですぅ……」とか、
最後にちっさい「ぅ」つけて、指プルプルしながら言っとけば、
優しいおまわりさんが、全部書いてくれる。
あとは、最後に 名前・住所・ハンコ するだけw
4.次は「デカい耳かき」みたいな器具で銀粉をぬりぬり――指紋採取開始。
……でも出てきたのは軍手みたいな布目ばっかり。
――終わって、1人のおまわりさんが言った。
「この粉はね、早く拭かないと落ちなくなるよ」
「こないだ木目に入り込んで取れなくて大変だったんだから」
――いやいや、おまわりさん、冷静に何言ってんの?? ><
5.後で電話で被害届の「受理番号」が伝えられるので、これはメモメモ。
◆ 翌日 ◆ (※金額は昔のものです)
役所で仮ナンバー(750円)をもらってダッシュボードに置き、
陸運局へルンルン♬ドライブ。
「わー、楽しいなぁ~♡」
……って到着して車止めて、窓口に行くと――書類が山盛り。(汗)
「これ全部書くの?」
「はい、ここはエンピツで、あとはボールペンで」
なんか、怖いおばちゃん。
「ぅわ、メンドくせぇ……。
ボク、無力で、可哀そうな被害者なんですけど、書いてもらえ……」
「そういう人は、外に代書屋が並んでますから、そちらへ」
「え!?それって楽?」
「はい、全部やってくれますから」
――おっしゃーーー!!!
即決100%! 代書屋さんに丸投げ決定!!
(ちなみに、自分で書けば30円、頼むと1,600円)
被害者の財布にも、二重被害w
◆ ナンバー取り付け ◆
手続きを終えて、新ナンバーを受け取る。(ネジ4コ付きで1,400円)
「……ん? これ自分でつけるの? 手ぇ汚れるやん」
「ええ、ネジをしめ終わったら、
ボンネットを開けて待っててください。
最後に係の者が封印しますので」
「あの、ボク被害者でして、心臓も、ネジ回すと呼吸困難に、……代行屋とか……」
「……」
――あ、完全に睨まれたw
(はいはい、自分でやりますよ!涙)
◆ フゥ~イ~ンマン爆誕! ◆
ボンネットを開けて待っていると――
係のおっちゃんがやって来て、
「フゥ~イ~ン!」
って叫びながら、最後に封印の丸いのをカチッっと。
……係りの人っていっても、ただのきったねぇ~オッチャン。
しかもその声が――
隣の車でも、遠くの車でも、ずーっと……
「――フゥ~イ~ン!――フゥ~イ~ン!」
オマイ、キョンシー退治の祈祷師かw
で、結局――
新しいナンバーをつけた俺も運転しながら、
「フゥ~イ~~ン!」
……って叫んでしまった。
(もちろん嘘ですw)
◆ エンディング ◆
こうして俺の一日は幕を閉じた。
「わーい、今日も有意義な1日で、楽しかったなぁ~!」
……って、やっぱ泣いてんじゃん!
【 教訓】
ナンバープレートは盗まれても、心まで盗まれるな。
でも被害届と代書屋代で財布は確実に盗まれる。
そして今も耳に残る――「フゥ~イ~~ン!」の声。
【了】