020 こんな上司はイヤだぁぁぁぁ~!
昨日の『復活!! 8時だョ!全員集合』――いやぁ、最高だった。
志村けんと加藤茶のテンポ感、あれはもう芸術。
久々に腹抱えて笑った。
……で、そのテンションのまま、翌朝の出社である。
◇
まだ現場常駐中だが、今日は課会があるので朝イチで帰社。
普段ガラガラのフロアも、この日は珍しく満席に近い。
メールをチェックしていると、
4月にリーダーに昇格したばかりの塚本くんが、緊張した顔でやってきた。
「レイジさん、今ちょっとよろしいですか?」
「うん、どうした?」
「これ、小口案件の見積書なんですけど……
うちの主任が“レイジさんに見てもらえば間違いない”って」
顔を向けると、向こうの席で主任が片手を立てて、ニヤッと「よろしく」。
(……おまえの仕事だろ、それ)
時計を見ると、課会までまだ二十分。
「まぁ、いっか」と受け取って、ペラペラとめくる。
――うん、悪くない。
電卓を弾く――数字も合ってる。
内容も丁寧。
後ろで、塚本が固まったまま立っている。
(おいおい、そんなに緊張せんでも)
……で、つい。
俺の中の“悪戯魂”が、覚醒してしまった。
「はぁぁぁぁぁぁ……」
「……?」
後ろから覗き込む塚本。
「なんだ、これはっ!!」
フロアが一瞬静まり返る。
(周りの社員も、課長も、全員こっち見たやん)
「**だ、だから、**なんだ、これは!!」
塚本、完全にフリーズ。
うちのチームの連中は、クスクス下向いて笑ってる。
そして、ドリフ式ツッコミ炸裂。
「よく出来てるじゃないかっ!!」
――ドッ!!(※脳内で効果音)
周囲が笑い、塚本は安堵、主任は苦笑い。
……が、課長だけはメガネ越しに真顔。
あれ?なんか……空気がさらに重くなってね?
◇
「こことここ、用語統一ね。誤字は修正。
でも金額はこれでOKだよ」
赤ペンで印を付けて渡すと、塚本はホッと笑った。
「あ、ありがとうございます!」
その向こうで、主任がまた小さくペコリ。
俺は心の中で思った。
(ドリフだったら今ごろ全員イスから転げ落ちてんだけどなぁ……)
その時――メール受信音。
開くと、件名「会議資料について」。
送信者:課長。
本文:
レイジくん、それ、時代が違うからね。
……ですよねぇぇぇ!!
ドリフ好きのおじさんには、難しい時代になって来た。
◇
昼休み。給湯室でコーヒーを入れていると、
若手の岸がニヤニヤしながら近づいてきた。
「レイジさん、さっきの“なんだこれは”って……演技っすか?」
「おう。志村けんリスペクトだ」
「……志村けんって誰ですか?」
岸、真顔。
――ガァァァァァァン!!
昭和、撃沈。魂、沈没。
まさか“ドリフ”が通じない時代が来るとは。
(この会社の長い会議より、ドリフのオチのほうが端的で秩序ある気がするが……)
◇
【今日の教訓】
・ドリフのノリを会社でやると、だいたい空気が凍る。
・「なんだこれは!」は声量よりタイミングが命。
・そして――若手に志村けんが通じなかった瞬間、
人はほんとに“昭和の亡霊”になる。
それでは、
ここでみなさんもご一緒に――
「こんな上司はイヤだぁ~~~!!」
はい、ありがとうございました。
【了】




