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リメイク  作者: 春木
第九章 天使の国編
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59話 復活

 仲間を連れた僕たちは、天使の国王城に足を踏み入れていた。天使族の人たちで賑わっていると思っていたが、村にも城にも人の気配は全くなかった。


「この方向で合ってるのか……? その、()()()()()()()()ってのは……」


 そう、僕たちはバベルを復活させに来たのだ。アゲル……いや、大天使ミカエルを救う為には、彼の力を借りるしかないと踏んだからだ。

 そして僕には何故か、場所が分かるような気がした。ミカエルが残してくれた記憶なのか、想いの道標なのか分からないが、頭の片隅が道案内をしてくれた。


「多分……ここの扉の奥だと思う……」


 僕たちは、王城の最奥にある、大きな扉の前へと辿り着いた。

 遂に、唯一神バベルに会うのだ……。


「ヤマトくん、無事だったようですね」


 そこに現れたのは、先程別れたカエンさん率いる皆さんだった。


「おや、()()()()も一緒とは……。ふふ、転機はこちらに味方しているのかも知れませんね……」


 やっぱり、カエンさんも四方守神のことを知っている。

 この四人の正体は……一体何者なんだろう……。

 しかし、僕たちには最後の最後で難題が残されていた。


「この扉……()()()()()()()()()()ね……」


 バベルを封印したのはカエンさんのはずだが、カエンさんの話では、この扉には鍵穴があったらしい。

 しかし、鍵はおろか、取っ手すら付いていなかった。


「封印を厳重にする為、ミカエルに何かされたのか……?」


 みんなが唸り声を上げる中、僕は何をしたらいいのか、なんとなく分かっていた。

 最初に魔法を使った時の感覚、最初から知っていたかのような、不思議な感覚に陥っていた。


「ヤ、ヤマトくん……?」

「風魔法・フラッシュ!!」


 バゴン!!  と、僕はその扉を吹き飛ばした。


「ヤマトくん!? 分からないからって壊しちゃダメでしょ!? バベルが封印されてるんだよ!?」

「待って、ルーク。よく見てみなさい。この大切な封印の扉が簡単に壊れるはずがない。この扉は、()()()()()()()()吹き飛んだのです」


 扉の先にあったものは、


()()……? この奥にあるのかな……?」


 岩に覆われた洞窟が真っ直ぐに広がっていた。


「炎魔法・ラグマ!!」


 僕は、装着していた甲の鎧で地面をラグマで破壊した。

 すると、メキメキと地面は裂かれていく。


「どう……なってるんだ……?」


 すると、次は地面にマグマのような獄炎が現れた。


「や、やっぱ違うんだよ! 仕掛けだよコレ絶対! 罠!!」

「ルーク、ヤマトくんを信じてみましょう」

「水魔法・アクアガン!!」


 獄炎の中に、僕はアクアガンを放出。

 すると、ゴロゴロと獄炎は流れ落ち、次第に光の玉が無数にふわふわと浮かび上がってきた。


「岩魔法・ブレイク!!」


 上空に岩盤を出現させ影を作ると、光の玉は一つだけになった。


「他の玉はフェイクだったってこと……?」

「どうやら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に改造されているようですね……」

「雷魔法・サンランド!!」


 僕は光の玉を雷の拘束魔法で捕らえる。


「闇魔法・グラヴド!!」


 そして、闇魔法の重力変化で光の玉を落とした。

 ふわふわ浮いていた光の玉は、卵のようにパックリと割れ、中からは鍵が出現した。


「本当に鍵が出て来ちゃった……」

「行きましょう」


 僕は率先してマグマのあった道を突き進み、落とした鍵を拾って更に奥へと突き進んだ。


「また扉だ……」


 そして、最悪にはまたしても扉が出現した。その扉には、鍵穴と、()()()()()が空いていた。


「その鍵をここに使うのは分かるけど、こっちの縦穴は何を入れればいいんだ……?」

「大丈夫ですよ、ルークさん。もう、()()()()()()()()()()から」


 そして僕は目を瞑る。うん、感じる……()()()()()()()だ。


 -()()()・スルース-


 僕はその手に、光剣を翻した。


「それは……光剣……! そう言うことか!!」


 ミカエルは僕に、『どんな魔法が発現するかは僕の願い次第』なんて言っていたけど、思い返してみれば、正義の国で雷魔法を使う時に、アイツは僕にどんな魔法が発現するか分かっていた。

 一番最初の自然の国から、()()()()()()()()()()()()()()んだ。

 僕はザクッと、その穴に光剣を突き刺した。


「眩しっ……!」


 ピカッ! と神々しく光り、大きな扉が開かれた。


「すごいな……! 本当に開いた! この世界の創造主に会えるんだ! 早速行こう……」


 大興奮のルークを、静かにカエンさんは静止した。


「カエンさん……?」

「ここは、彼らに任せよう」


 僕と、カナン、セーカ、アズマ、ホクトの五人は、その扉の奥へと突き進んだ。


   *

 

 ここは……ただただ真っ白な空間……。記憶の中で、バベルが最初に目覚めた場所だ……。


「お、おい……。バベルはここにいるんだよな……?」

「どこにも姿なんか見えないじゃない……」


 二人も動揺を示している。


「ヤマト! こっち! こっち!」


 すると、カナンは僕の服を引っ張った。


「カナン……場所が分かるのか……?」

()()!」


 そして、久しぶりに聞いたカナンの予知。

 カナンに引かれて着いて行くと、そこには……


「なんだこれ……()……?」


 茶色い椅子の上には、脳が置かれていた。模型のように見えて、あまり気持ち悪くは感じない。


「さ、触っていいのかな……」


 バチっ!!


 脳に触ろうとしても、何かが邪魔して触れなかった。


「それは()()()()。恐らくはミカエルのもの。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「はは……そうか。()()()……。なるほどな……」


 僕は、一人でに笑ってしまった。アゲル……いや、ミカエルは本当にニクイ奴だ。


 -光神魔法・()()()()-


「光神魔法!? いつの間に光の神に会ったんだ!?」

「最初だよ。僕の旅の一番最初に、光の神の想いを託されていたんだ。エイレス……。()()()()()()()()()()、か……」


 そして、遂にその時が訪れる。


「バベルを……復活させるぞ……」

「お、おう……。どんな奴が出てくるんだろうな……」


 僕は知っている。

 白髪を靡かせた、白装束の男のはずだ……。少しだけ緊張する……。でも、僕の旅はこれで終わりじゃない……。ミカエルを助け出すんだ……!

 そして僕は、結界を解いたその脳に手を触れた。


 !!!!


 僕の眼前にブワッと光が収束して行く。そして、様々な情報が脳裏に絶え間なく巡った。


「嘘……だろ…………」

「ヤマト……お前…………!」


 アズマが言わんとしていることは分かっている。


「なんで……髪が白くなってるんだ…………?」


 もう、全てを思い出してしまったから。


「僕が、()()()()()()…………()()だったんだ」


 記憶が戻ったのだ。あまり驚きはしない。ヤマトとして過ごした記憶もある。

 この四人のことも、思い出した――――。


「アズマは、記憶喪失って言ってたよね」

「そ、そうだけど……」

「セーカも、ドレイクに改ざんされた記憶以外はない。つまりはアズマと同じ記憶がないと言える」

「ま、まあ……。あまり気にしないようにしてたけど……」


 僕は、オドオドしている二人と向き合う。


()()()()()()()()()()()()だ」

「な、なんでヤマトが……そんなこと……!」

「それを、()()()()()()()()だ」

「だ、だったら、思い出させてくれよ!! バベルに消されたっつー記憶……! 消した本人がヤマトだって言うなら、蘇らせられるだろ!!」


 動揺するアズマに、少し息を溢し、手を掲げる。


「覚悟はいいかな…………」


 二人は、ゴクリと唾液を飲み込んだ。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(唯一神バベル):風・炎・水・岩・雷・闇・光・神威・神無/光剣・グローブ

カナン:炎/弓+爆破

セーカ:雷・炎/グローブ・弓

アズマ:水・岩/治癒・光槌

ホクト:氷/大剣


〇別動隊

カエン(龍長):神螺

ルーク:光・水

グレイス:自然の国、荒野地帯で兵士長を務めていた男。フーリンによって殺される。

フーリン:風(防御魔法)

ガロウ(仙人):神威

アゲル(闇神):闇

ドール(闇神の守護神):闇(幻覚)

リューダ(風龍)

ライト(光龍)


〇天使の国


ミカエル(光神):ヤマトを召喚した天使族。闇以外の全属性を扱える。

ルシフェル:堕天使。光・闇

ガンマ:ダークスライム。闇龍の加護で強力な幻影を扱える。闇・雷

ルイン(悪魔):闇/冥界の国で魂の管理をする者。

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