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リメイク  作者: 春木
第八章 冥界の国編
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48話 最後の仙人

 民家には、黒髪の日本人顔の少年が出てきた。


「人間か……珍しいな」


 やっぱり、人の訪問は珍しいんだな……。


「えっと……僕たち闇の神に会いたいんですけど、どこにいるか分かりますか……?」


 すると、男性は少し黙って答えた。


「分かる。教えてやってもいい。だが……」


 腰に携えていた刀を高速で僕の首に当てた。


()()()()()()()()()()()


 あ、カエンさんの言う通り変な人だった……。


「カエンさん……ちょっと代われませんか……?」


 とても情けないことだが、僕はカエンさんとのタイマンに勝てる気もしないし、まだこの冥界の国に恐怖すら感じている為、通常運転のカエンさんに勝負を代わってもらおうとしたのだが……。


「ダメだ、()()だ」


 と言って、全員が少年と戦うことになった。

 一番手は、カエンさん。


「わあ! カエンさんの戦い久々に見るなあ!」


 ルークさんは何やら楽しそうだった。


「お手柔らかにお願いします」


 そう言うと、少年に片手を掲げた。

 あの構え……守護の国で僕たちやリオラさんを()()()()()()()()()()()()()やつ……。未だ理解不能な技の一つ……。

 しかし、


「ナメてるのか?」

「なるほど……」


 カエンさんの技は不発したのか、一瞬で首元に刀を突きつけられてしまい、敗北となった。


「彼にはどうやら、()()()()()()()()()()()()()()()みたいですね」


 と、試合終わりのカエンさんは告げてきた。

 確かに、アゲルの時間を止めるオーバーも龍族には効かなかったり、今回の子供化も僕やホクトには効果はなかった。

 この少年も、何か特殊なのだろうか……?

 次の試合はルーク改め、ルーフさん。魔法攻撃が効かないとなると……厄介そうだ。


「光魔法・ゲート……」


 詠唱と共に、ルーフさんは姿を消した。

 僕たちを何度もコケにしてきた瞬間移動……!

 そして、少年の背後に回る。

 これなら……!

 しかし、直様背面に刀を突き付けられ、敗北した。


「光魔法なのに完全に見切られてたよ……」


 ルーフさんはトボトボと帰ってきた。

 どうやら、少年には()()()()()()()()()()()()()()()()らしい……。

 そして、僕の番が早々に回ってきた。

 まずは、遠距離から様子を伺おう……。

 相手のことが未知数すぎて、近距離戦だと二人の二の舞になりかねない。


 -水魔法・アクアガン-


 僕は少年に向かって水撃を放った。予想通りではあるが、少年は簡単に避けた。

 しかし、避けると言うことは効果あるのか……?


 -水神魔法・アクアランズ-


 今度は避けられた水撃を背面から狙う……!


「これなら……!」


 しかし、やはり少年は後ろを見ずに、後ろに目でもあるかのように再び簡単に避けてしまった。

 そう言えば、守護の国一の生徒と戦った時も、()()()()()()()()()()()()とか言ってたな……。死角は無いと考えた方がいいかも知れない……。

 今度は少年が僕に向かって駆けてくる。移動速度自体は大したことはない。

 少年は刀を大きく振るい上げる。


 -岩魔法・ブレイク-


 眼前の岩も、少し削れ、ガードに成功した。

 次は……


 -雷魔法・サンランド-


 少年は僕の放った雷の拘束内に閉じ込まれた。


「よし……ここで終わって欲しいが……」


 しかし、やはり少年は、刀で拘束を掻き消した。

 これで分かったことがある。雷魔法の拘束を切れると言うことは……。


「オラァ!!」


 あの刀は()()()()()()()()()だ……! と言うことは()()()()()()……!

 僕は少年に向けて光剣を振り翳した。


「あれ……?」


 しかし、久々に光剣はスカッと刀を通り過ぎた。そして、少年の刀は僕の首元に当てられた。


「なんだその剣は……止めてなければ首が落ちたぞ……」


 刀は闇魔法で作られていなかった……。

 こうして、僕も少年に敗北してしまった。


「これでは闇の神の居場所は教えられない」

「どうしてですか! 僕たち、急いで闇の神に会わないといけないのに……」


 少年はスルリと刀を抜いた。


「それで闇の神に会っても……()()()()だからだ」

「で、でも……会わないと帰れないから……」


 そして、少年は刀を仕舞う。


「何か誤解しているようだが、俺は()()()()()()()()()。お前たちに、()()()()()()()を教えた後、ちゃんと教えるつもりだぞ」

「え……?」


 少年は、ただのいい人だった。

 僕たちは、少年の案内で家に入れさせてもらい、懐かしい味のする緑茶を注いでもらった。


「俺の名前は九条悟(クジョウ サトル)。日本から来た()()()()だ」


 ・・・!?


「に、()()()!?」


 しかも九条って……まんま日本の苗字だ……。


「ぼ、僕も日本人なんです……!!」

「あれ? エイレスくんも地球出身だったのですか? 私も()()()()()()ですよ」


 ここに来て、カエンさんの爆弾発言。

 まさかここに、地球人が三人いるなんて……。


「やっぱり日本のお茶は美味しいですね」


 そして、やはりどこか呑気なカエンさん……。

 龍長と聞いて対峙した時はあんなに恐ろしかったのに、なんだか悪い人のように思えなくなっていた。


「それで、魔法の見切り方なんですけど……」

「ああ。少し待て。姉の帰宅を待つ。姉がいなければ会わせたい人に会わせられないんだ」


 ()()()()()()……?

 そして、僕たちは、話に入って来られないルーフさんを差し置いて、地球トークに花を咲かせていた。暫くすると、ガラリと戸が開かれる。


「また連れてきたのか。絶対に無理だぞ」


 似たような雰囲気を醸し出すお姉さんらしき人は、唐突に「無理」だと断言していた。


「まあやってみなきゃ分からない。俺の双子の姉、九条凛(クジョウ リン)だ。今からお前たちを()()に会わせる」


 仙人……!

 空間移動のガロウさん、時空移動のディムさん。そして、()()()()()()()()()()()()()()()……。もしかして、この人たちが異世界にいるのって……。

 連れて行かれた先は、少しご近所の民家だった。

 い……威厳がない……。

 コンコンと戸を叩くと「ふぁ〜い」と、気の抜けるような声が聞こえてきた。


「仙人様、九条姉弟です」

「おー、入れ入れ」


 中に入ると、コタツにゴロンと寝転がり、怠惰に漫画を読んでいる女の人がいた。流石のカエンさんも苦笑いを浮かべている。


「今度はソイツらで試すのかー?」

「はい、是非見てやってください」


 すると、横目で僕たちを観察する。


「お前ダメ、お前ダメ……」


 ルーフさんとカエンさんは一刀両断された。


「ん……お前は可能性あるな」


 そして、僕にはご指名のサインが下された。二人がダメで僕が大丈夫な理由も不明で、少しだけ恐ろしい自分がいる。


「お前、()()()()()()()()を使えるな」

「は、はい……」

「アイツも可能性はあったが、()()()()()()()()を会得して使用している。だからダメなんだ」


 カエンさんを指差しながら話す。この国に送られる前、ディムさんも何か言ってたな。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……と言うことか……。


「まあ、その様子を見る限り、他二人の仙人たちには既に会ったようだな。それなら話が早い。私は酉の仙人 ナーガと言う。仙術魔法で()()()()ができる」


 やはりそうだ。前にディムさんが『儂らは自分たちの力でこの異世界へと来た』と話していた。

 次元移動……即ち、()()()()()()()()()……。


「よし、じゃあお前に仙術魔法を教える」


 急な展開に困惑しつつも、次元移動が出来る仙人が最後の一人なことは予想していた為、飲み込みは早かった。

 しかし、やはり仙術魔法には恐れがある。アレコレ考えつつも、闇の神には会わなければならないし、僕たちは仙人 ナーガさんに着いて行き、黒い岩壁に覆われた滝までやって来た。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(主人公):風・炎・水・岩・雷・神威/光剣・グローブ

カエン(龍長):神螺

ルーク:光・水


〇冥界の国


九条悟:闇/刀

九条凛

ナーガ:酉の仙人/仙術魔法(次元移動)

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