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リメイク  作者: 春木
第三章 自由の国編
24/78

閑話 時空旅行 ~楽園の国~

 僕たちが戻ると、アゲルの【光魔法・オーバー】はとっくに解かれており、セーカが怒った顔で詰めてきた。


「ねえ! 二人だけで旅して来たって聞いたよ! ズルい! なら私もゴーエンたちに会いたい!」


 既に事情を聞いたらしいセーカも、カナンのような我儘を僕にぶつけてくる。


「アゲル、まだ三十分経ってないだろ……」

「すみません、()()()()()()()()使()()だったので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ようですね……」


 そう言うと頭を掻きながらヘラヘラ笑った。


「準備にはもう少し時間が掛かりそうですし、セーカさんも楽園の国に連れて行ってあげたらどうですか?」

「えぇ……」

「何よ! えぇ……って! 行きなさいよ!」

「分かったよぉ……」


 そして、ウキウキとした表情を見せるセーカは、僕の腕を掴んだ。


「それじゃあ行くぞー」


 -仙術魔法・神威-


 僕らが辿り着いたのは、炎の神 ゴーエンの演説が印象的だったステージ前の港だった。

 あぁ……、ここでゴーエンに無理やり喧嘩祭りの参加を言い渡されたんだよなぁ……。


「わあ! すごい! 本当に楽園の国じゃない!」


 セーカは喜びを露わに街をぐるぐる見ていた。


「あっれれ? ヤマトくん?」


 僕らの背後から突如話し掛けて来たこの声……。


「ヤバい……! 緊急事態だ……!!」

『ど、どうしたんですか……?』


 その声の主は、


「龍族の一味、()()()()()がいるんだよ!!」


 そう、楽園の国で最初に出会った龍族の一味。龍族のことや様々なことを語り、僕の旅を更に危険なものだと悟らせた張本人だ。


「なんでルークさんが……、ゴーエンに顔は覚えたって言われてたはずなのに……」


 すると、ルークさんは運んでいた荷物を下ろし、僕らに近寄って来た。


「ああ、俺の顔は覚えられてなかったからね」


 そうして、ヘラヘラと笑ってみせた。


「それに、覚えてない? 俺はヴォルフが暴走した際に、守護神の前で、()()()()()()()()()()()()()()()と布石を打っておいた。だから手助けをしたんじゃないか」


 喧嘩祭り準決勝戦、僕は炎の神 ゴーエンの一番弟子、グランさんに敗退し、その後、ヴォルフは暴走を始め、ルール違反をしてダンさんを負かし、それから暴走が止められなくなって大変な決勝戦を迎えた。


「今も戦う意志はない。僕は商売人だからね。さ、労働に戻らないと怒られちゃうから、行くね!」


 そう言うと、足早にルークさんは去って行った。すぐに、暫く街の方に駆けて行っていたセーカが戻って来た。

 だから逃げたのか……。


『なんともないようで安心しました。まあ、あの人も商売の為には、まだ僕らと戦闘にはなりたくないでしょう』

「さっきの金髪の人、知り合い?」


 現場に居なかったセーカは知らないのだ。


「うーんと、龍族の一味……」

「はぁ!? 龍族!? 急いでとっちめないと!」


 すると、セーカは脚の装備をバチバチ光らせた。


「ちょ、ちょっと待って、セーカ! 龍族の一味ではあるんだけど、あの人は取り敢えず大丈夫なんだ!」


 セーカを制した後、僕はルークさんのことを話した。


「なるほどね……。私の装備の雷魔法で飛べば一瞬で捕えられたのにな〜!」

「そう言えば、装備を介してみんな移動速度を早めてるけど、それは魔法ではないの?」

「そうね、これは()()()()()()()()()()()よ。アズマの治癒もそんな感じでしょ? まあ普通は、素手であんな魔力放出も出来ないんだけど」

「そう言えば、セーカって両手両足にグランさんみたいに装備付けてるけど、それは魔力放出させてるだけってこと?」

「そうね。私の場合、()()()()()()()()()()()()()()()()()にしてるけど、私の魔法名は【雷魔法・ビライト】ってちゃんと名前があるの。ずっとゴーエンと修行してたから素手の近距離戦闘が主軸だけど、もしかしたら武器を持ったらトンでもない魔法かも知れないわよ!」

「ほぉ? 武器を持たせたら結局、暴発させた小娘がよく言うぜ!」


 そこに現れたのは、炎の神 ゴーエンさんとその守護神 ダンさんだった。


「わあ! ゴーエンにダン!」

「お前ら、自由の国へ行ってまだ二日しか経ってないけど、どうしてここにいるんだ……?」


 目を丸くしているダンさんたちに、僕は新たな【仙術魔法・神威】についての説明をした。


「へ〜。神の私も知らないな。仙人ってのがいて、ソイツから七属性のどれでもない仙術魔法ってのを使えるようになったのか」


 ゴーエンは普段はまともだが、ゴーエンの【炎神魔法・シャイニングブロウ】は、海をパックリと割り、島を破壊してしまうほどの威力がある。


「ああっ! セーカ様! こんなに直ぐに出会えるなんて奇跡ですか! 運命ですか!!」


 そこに現れたのは、自由の国へ向かう途中に寄った孤島の、崩落した遺跡にいた研究者だった。


「セーカ……様……?」


 ドン引きした顔で研究者を見遣るセーカ。


「ちょっとゴーエン! どうしてこんな奴、国に滞在させたままなのよ! さっさと追放してよ!」

「私も考えたんだ。狼村(おおかみむら)の小僧に祭りをめちゃくちゃにされて、今までは私やダンが国を守っていればいいと思ってた。でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()って気付いたんだ。だからコイツはムカつくが技術力は相当なものだし、研究者として無賃金で雇って、国のセキュリティの為に発明に励ませているんだぜ」


 そうか……確かに、国の外で魔物の任務が入ったら、守護神のダンさんだけが出向いてたらしい。最初は、すごい! と思ったけど、よくよく考えてみれば、ルークさんたちみたいな侵入者は入り放題だし、ダンさん一人じゃどうしても荷が重すぎる。


「それで、どんな発明される予定なんですか?」

「ああ、まずは他の国みたいに、喧嘩祭りに出場できるくらいの実力者を門兵に雇って、()()()()()()()()()()()ことにしたんだ。発明に関してはまだ追々ではあるが、船を大改造するつもりだ」


 そう言うと、ゴーエンはニッシッシと笑った。

 でも、楽園の国が本当の意味で楽園に変わるまで、もうじきのように思えた。


「じゃあセーカ、そろそろ戻ろう」

「分かったわ! じゃあね、みんな!」


 -仙術魔法・神威-


 僕たちが戻ると、アズマとガロウさんは、既に洞窟前で待ってくれていた。


「すみません、お待たせしましたか……?」

「いや、今さっき出て来たところだ。それより、その様子だとセーカはご満足しているようだな」


 満足気な顔に、アズマも微笑ましそうに見た。


「お疲れ様でした、ヤマト」

「もう頭の中で会話しなくていいだろ!!」

「いえ、ラーチと別れる時に話した内容、僕なりに考えてみたのですが……」


 そう、最初に自由の国へ行った時、国王 キングに偉そうな態度を取られ、国王が向かった先には、自由の国 水の神 守護神 ロロを含んだアイドルたちがいた。しかし、あの時のロロは龍族の一味が幻影魔法により成り代わっており、龍の加護の力で、水の神であるラーチすらをも欺いていたのだ。


「最初、国王のキングさんが、ロロの魔法で外音制御や演奏を聴かせている、と言っていました。改めてラーチに確認したら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とか」

「成り変わって、魔法もそっくりそのまま全国民を幻影で惑わしていた……」

「そう言うことになります」

 

 それから、龍族の一味でセーカの兄、自由の国 博士長に成り済ましていたドレイクと出会って、デタラメだった『悪鬼討伐任務』に参加して、アズマや仙人 ガロウさんと出会ったんだ。

 ドレイクも、【雷魔法・ジャック】による洗脳で、僕も思い通りに操られてしまった。

 みんなとの戦いになって、本当に申し訳なかった……。


『まあ、アレはヤマトだけのせいではないですよ』

「だから頭の中はもういいって!!」


 そして、ガロウさんは僕らに近寄った。


「そろそろ、行こうか」


 僕たちは揃って返事をした。


「「はい!」」


 次の目的地は、岩の神がいる守護の国だ。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(主人公):光剣/左手にグローブ型の盾

 ◇風魔法 フラッシュ:暴風を放出

 ◇風神魔法 ウィングストーム:目線の場所に高速移動

 ◇炎魔法 ラグマ:武器に炎を付与

 ◇炎神魔法 ラグマゴア:全ての魔法を蒸発させる

 ◇水魔法 アクアガン:水の遠距離魔法を放つ

 ◇水神魔法 アクアランズ:水の遠距離魔法を空中上で操作する

 ◇仙術魔法 神威:想像した場所へ空間移動をする

アゲル(大天使ミカエル):光属性

 ◇光魔法 オーバー:対象を三秒間停止させる

 ◇光魔法 スルース:互いに同じことを念じると遠距離で交信ができる

カナン:炎属性+爆破/弓

 ◇炎魔法×爆破

セーカ:雷属性/拳

 ◇雷魔法 ビライト:拳から多量の雷を放出。それによる跳躍、高速移動も可能

アズマ:水属性/治癒

 ◇漏れ出ている水魔力で治癒・魔法防御が可能


〇楽園の国

 年中お祭り騒ぎで、観光客が後を絶たない国。神の方針から神を「様付け」で呼ぶことを禁止しており、皆呼び捨てでその名を呼ぶ。

 主に漁を盛んに行い、モンスター退治などは極小数精鋭で行う。牢などはなく、罪人は追放という処置を取る。


ゴーエン(楽園の国の神)

 ◇炎神魔法 シャイニング=ブロウ:超パワーの炎パンチ

ダン(守護神):岩属性/棍棒

 ◇岩魔法 ダダンラッシュ:強力な岩魔法の範囲攻撃を振るう

グラン:岩属性/拳


〇自由の国

 孤島の中で、外部との一切を遮断した、神の存在がない、国王が統治する唯一の国。争いもなければ、祭りなどの祭典で別国からの観光者も受け入れておらず、居住区が土地のほぼ全てを占める。

 発明が盛んで、科学者や発明家が多く、戦いの為の魔法、というよりも、生活を向上させる為の魔法技術として研究が成され、外の国に売り込んで国が成り立っている。


ラーチ(自由の国の神):水魔法

ロロ(守護神/アイドル):雷魔法

キング(自由の国の国王)

ララ/リリ/ルル/レレ(アイドル)

ガロウ(仙人):仙術魔法・風・炎・水


●龍族の一味

ルーク:商売人。ヤマトたちに近付いた最初の龍族の一味。敵意は示さない。

ヴォルフ:水属性。最後に龍の加護を得た。戦闘を好む。

ドレイク:雷属性/洗脳魔法

ガンマ:闇属性/幻影魔法

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