表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リメイク  作者: 春木
第三章 自由の国編
21/78

19話 神の怒り

 ドレイクは、ヤマトとセーカに抑え付けられた後、自由の国の王城内へ逃げ込んでいた。


「よぉ! 博士長ドレイクじゃないか! またこの国の為にいい発明でもしてくれたのか?」


 ドレイクに話し掛けたのは、国王 キングだった。


「えぇ、国王様。とても良い兆候ですよ」

「ハッハッハ! それは何よりだ! 今後とも励んでくれたまえ!」


 キングは腕を組み背を向ける。

 その瞬間、


 -雷魔法・ジャック-


 ドレイクはキングに触れ、魔法を唱えた。

 一方、自由の国のアイドルたちは、いつか自身の演奏をちゃんと聴いて欲しいと願い、練習に励んでいた。


「わっ! またスティック折れちゃった!」

「レレちゃんは一人で練習しすぎだよー」

「ララちゃん、コード進行固まったから、あの曲のメロディに沿って少しBPM落として歌える?」

「ほい来た! 任せなさい!」


 そこに、国王 キングが現れる。


「ありゃ? 国王様? どうかしましたか?」

「ロロ、次回の公演についての話だ。着いて来てくれ」


 ロロは「は、はい……」と頷いた。


 二人が出て行った後、


「ロロちゃん大丈夫かな……」

「国王様、いつもロロちゃんのことチラチラ目で追ってたもんね。絶対好きだよあれー!」

「でも公演の話でしょ? また演出家さんたちと一緒に打ち合わせでしょ? 考えすぎだよ」


 コツコツ、と、二人の足音が響き渡る。


「あ、あの……いつも打ち合わせしてる部屋……通り過ぎちゃいましたけど……」


 キングは、黙って足を運ばせる。


「あ、あの……」

「ロロ」


 そして、キングは立ち止まり、ロロを見つめる。


「な、なんでしょうか……?」

「相変わらず、小芝居に興じるのが好きですね……()()()()()。もうとっくに気付いているでしょう?」


 ロロはニヤッと笑みを浮かべる。


「ドレイク、時間を厳守し過ぎだ。君がここにいると言うことは、()()()()は上手く行かなかったんだろ? 臨機応変さが欠けているんだよ」

「それは申し訳ない。天使族が思ったよりもキレ者でしてねぇ……。ただ、愉しめましたよ。貴方の言う通り」


 すると、ロロの姿は徐々に緑髪の男性は変貌する。


「やっと君にも伝わってくれたか。そう、この世は愉しむ為に作られている! 僕が演技に興じるのも、幻影魔法と言うものを最大限に愉しむ為なのだよ!」


 そして、キングの姿もまた、ドレイクに変わった。


「まあいい。敗因は何だ。端的に答えろ」


 不敵な笑みを浮かべていたガンマは、突如、顔付きも口調も変わってしまった。


「手筈通り、パーティを削った上で仙人の元へ行かせ、異郷者を洗脳に掛けるところまでは成功しました。しかし、異郷者を洗脳に掛ける魔力がかなりのもので、私自身の攻撃魔法が封じられてしまった。そこを突かれ、天使族の光魔法により救援が来て押し負けました。仙人の元にも一人、防御魔法の特殊な者にも加担されました」

「天使族もかなり魔法制限が解けてきた……と言うところか。ふふふ……それは実に愉しい光景だっただろう」


 すると、ガンマは再び不敵な笑みを溢す。


「成熟した果実を捻り潰すのが愉しいんだ」

「仰る通りでしたね。私が早く潰した方がと、急ぎすぎてしまっていたかも知れません。異郷者も、まだまだ強くなりそうだ……」


 ガンマはドレイクに背を向ける。


「どこへ?」

「ふふ……ちょっとした遊戯だ。ドレイク、先に長の元へ向かっていていいぞ。この国の幻影も解く」

「分かりました」


 ガンマは、国の中心である噴水公園へ行くと、大きく右手を挙げ、指揮者の様に思い切り手を握った。その瞬間、国内にいる全ての人間が倒れた。

 その時である。ラーチに信号が渡った。


「さて、これでお気楽の水の神にも伝わっただろう。見せてくれ……()()()()を……」


 そう言うと、ガンマは影となり光の底に消えた。


   *

 

 ラーチがヤマトの【仙術魔法・神威】で孤島へ辿り着くと、ラーチは真っ先に足を進めた。向かった先には、地下へと続く階段が広がった。


「この奥だね」


 ラーチの目は血走っている。その怒りを微塵も隠せない程、怒っていた。

 コツコツ、と、薄暗い階段を下って行く。すると、昏睡状態で魔法封じの札が両手に貼られたロロと、それらを警備する者たちの姿があった。


「なんだ? このガキは?」

「ここをどこか分かってるのか? さっさと消えろ!」


 警備兵たちは、全員が黒い甲冑を身に付けていた。


「僕は子供だ。本来であれば、君たちの親玉を聞き出したり、君たちを拷問に掛けるべきだろう……」

「は? 何を言ってんだ?」

「でも、僕は子供。()()()()()()()()()()んだ。だから、感情のままに行動するよ、バベル……」


   *

 

()()()? 何それ、バベル!」

「いや、ライチ。果物の名前なんだ」

「ライチ? どんな果物なの?」

「うーん、果物だから甘くて……感触としては少し固いかな……。皮はゴツゴツしてて、中身はプリっとしてるんだ! ライチ自体も美味しいけど、飲み物に混ぜたり、色んなものと一緒に合わせられる! ()()()()()()()()()()()()()()()()()だと思うんだ!」


 バベルは楽しそうに話す。しかし、ラーチはご納得行かない様子を浮かべる。


「うーん。ライチだと、なんだかイチー!って、歯を食いしばって言い辛いよ。ラーチって伸ばさない?」

「ははっ! いいぞ、じゃあ君の名前はラーチだ! ()()()()()()()()()()が作れるといいな!」

「ありがとう! バベル!」


    *


 ラーチは、昔の記憶を巡らせながら片手を上げる。


「強制発動 水神加護魔法・スコール」


 すると、水の守護神 ロロの加護の魔法が勝手に発動され、ロロの身体は液化して水となってしまった。

 そして、ラーチは両手を大きく広げた。


「水神魔法」


 目は大きく開かれ、ラーチの全身からは青いオーラに包まれ、少しの風が吹き荒れる。


「レイニー=デスマーチ」

 

 詠唱と同時に、ラーチの背後には雨雲が出現する。雨雲から、人体をも突き刺す速度で豪雨が放たれる。


 【水神魔法・レイニー=デスマーチ】は、発動者以外の全ての生体反応を、


「うわああああ!!」

「なんっ……」

「ギャアアアアアアアア!!」


 刺殺する。

 ザーザーと横向きに流れ落ちる豪雨の中で、ラーチはそっと呟いた。


「全然楽しくないよ……バベル……」


 暫くし、警備兵全員を殺したラーチは、液状化したロロに話し掛ける。


「ロロちゃん、終わったよ!」

「ラーチ様……助けて頂きありがとうございます……」

「んーん! 僕が自由すぎたんだ。ごめんね」


 そう言うと、元の姿に戻ったロロを連れて外に出た。


「水神魔法……恐ろしい力だ。流石は神の魔法か……」


 影からゆったりとガンマの姿が現れる。


「僕に攻撃が来なかった点を見る限り、()()()()()()()()()()()()()()()かな? 最後の一人が殺されたら自然と魔法攻撃は終わったみたいだしね……」


 ニヤリと笑うと、また影の中に消えて行った。


「水神の力は凡そ分かった。僕の仕事はこれにて終了。僕も長の元へ向かおうか……」


 龍族の一味 研究者。

 闇龍の加護を受けた最初の一味メンバー。闇魔法 幻影を駆使する龍族 ガンマ。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(主人公):光剣/左手にグローブ型の盾

 ◇風魔法 フラッシュ:暴風を放出

 ◇風神魔法 ウィングストーム:目線の場所に高速移動

 ◇炎魔法 ラグマ:武器に炎を付与

 ◇炎神魔法 ラグマゴア:全ての魔法を蒸発させる

 ◇水魔法 アクアガン:水の遠距離魔法を放つ

 ◇水神魔法 アクアランズ:水の遠距離魔法を空中上で操作する

 ◇仙術魔法 神威:想像した場所へ空間移動をする

アゲル(大天使ミカエル):光属性

 ◇光魔法 オーバー:対象を三秒間停止させる

 ◇光魔法 スルース:互いに同じことを念じると遠距離で交信ができる

カナン:炎属性+爆破/弓

 ◇炎魔法×爆破

セーカ:雷属性/拳

 ◇雷魔法 ビライト:拳から多量の雷を放出。それによる跳躍、高速移動も可能


〇自由の国

 孤島の中で、外部との一切を遮断した、神の存在がない、国王が統治する唯一の国。争いもなければ、祭りなどの祭典で別国からの観光者も受け入れておらず、居住区が土地のほぼ全てを占める。

 発明が盛んで、科学者や発明家が多く、戦いの為の魔法、というよりも、生活を向上させる為の魔法技術として研究が成され、外の国に売り込んで国が成り立っている。


ラーチ(自由の国の神):水魔法

ロロ(守護神/アイドル):雷魔法

キング(自由の国の国王)

ララ/リリ/ルル/レレ(アイドル)

アズマ:水属性/治癒・手に触れた魔法を発動前に戻す

ガロウ(仙人):仙術魔法・風・炎・水


●龍族の一味

ドレイク:雷属性/洗脳魔法

ガンマ:闇属性/幻影魔法

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ