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リメイク  作者: 春木
第三章 自由の国編
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18話 幻影魔法

 僕らは一度、国王に任務の報告をしに戻ることにした。次の国へは、ガロウさんが、もう一人の仙人が守護の国近郊に住んでいるらしく、全員を【仙術魔法・神威】で空間移動させてくれることになった。僕にもそんな能力があるのかと思ったら、仙人ほどの力は使えないらしく、一緒に行けても一人が限界らしい。

 そして、洞窟を出た瞬間、異変が起こる。


「ああ……全部理解した……ごめん……ごめんよ……」


 お子様な様で、なんだかんだ空気を読んで沈黙を極めていた水の神 ラーチは、突然震え出した。


「ど、どうしたんだ……? ラーチ……」


 すると、目を大きく見開いて僕に向き合う。


「今から僕の言う通りの想像をして、僕をその仙術魔法ってやつで一緒に連れて行って貰えるかな?」


 ラーチからは異常なまでの憤りを感じた。僕は黙って素直に指示に従った。


 -仙術魔法・神威-


 見たところ、小さな島国で、草木も生えない孤島。


「こ、こんなところに何の用が……?」

「後で説明するよ。一度戻っていいよ。と言うか、戻らないと……ヤマトくん、死ぬよ。五分後に戻って来て」


 僕はその迫力にビビってしまい、何も言わず指示に従った。


「あ、ヤマト。ラーチさんはどうしたんです?」

「いや、僕にもよく分からない……。小さな孤島へ行ったかと思えば、僕を直ぐに引き返させて、また五分後に戻って来てくれ……とだけ言われたんだ」


 全員が俯く中で、アゲルは微笑み掛ける。


「やれやれ、皆さん。揃ってお暗いですね。龍族の一味も追い払い、ヤマトは新魔法を得たと言うのに!」

「いやだって……緊急事態っぽいし……」

「考えても仕方のないことを考えるのはやめましょう! 特に、ヤマトは新しく知ることばかりなのですから!」


 誰のせいだよ、とツッコミたいが、今はその明るい空気が少しだけありがたく感じた。


「そうね、暗くなりすぎてても仕方ないわよね。私、昨日ヤマトから色んな話を聞いて、カナンちゃんとホテルで過ごしてた時に、カナンちゃんから沢山元気を貰った。ドレイクのことも色々知った……。洞窟でもすごい話をしてて、私には場違いな場所なのかもとも思った……。でも、ヤマトがちゃんと話してくれたから。みんながよければ、私はこれからもこのパーティで旅をしたい……!」


 セーカは、カナンからどんな元気を貰ったのか気になるところだが、昨日のことは吹っ切っれたらしい。

 精神面もとても強い女の子だ。


「僕の方こそ、改めてよろしく頼むよ! セーカ!」


 僕らが熱い握手を交わす中、アゲルは怯えた顔で僕をまじまじと見つめていた。


「ヤマト……。セーカに……異郷者のこととか……僕が天使だってこととか……話したんですか……?」


 動揺を露わに、声を震わせている。


「え、だ、ダメだったか……?」


 まさか、この世界の人間が知ってしまうといけないこととか、セーカがどうにかなっちゃうとか……。

 やっぱり、先にアゲルの確認を取るべきだったか――――。


「いえ、全然大丈夫です。と言うか、ダメなら洞窟内での会話中も聞かれちゃまずいですよね」


 そう言うと、ベロを出して笑った。

 コイツ……今の演技はわざとやったな……。


「ただ、公言はしすぎないでください。何かあるわけではないですよ。ヤマトが信頼できると思った相手であれば、話して頂いて構いません」

「なんだよ……不安にさせんなよ……」


 キョトンとするセーカは、更に付け足した。


「そう言えば、ホテルにいた時に急にカナンちゃんが『緊急要請ー!』って叫んだのよね……。で、カナンちゃんの案内で着いて行ったら、なんか危険な状況で……」

「そうだ! カナンにはセーカと留守番するように言ってあったのに、なんで来ちゃったんだよ!」

「だって()()()()()『きんきゅーよーせー』って言われたから……」


 カナンは珍しくしょぼんとした顔を見せた。


「ヤマト、事情も聞かずに責めてはいけませんよ。それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんです」

「どう言うことだ? そんな遠隔で通信する魔法とか機械とか、そんなの持ってないよな……?」

「以前、自然の国で『魔法に制限を掛けられている』と言う話をしたのを覚えていますか? ヤマトが力を得る度に、()()()()()()()()()()()()()()()のです」

「と言うことは、()()()()()()()ってことか……?」

「はい。【光魔法・スルース】と言い、()()()()()()()()をすることが可能です。ただ、これには一つ使い辛い条件があるんです」

「便利そうだけど、やっぱりまだ条件付きか……」

「まだまだ制限が多いもので。その条件ですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことです」

「ん? つまりどう言うことだ……?」

「そうですね。例えば今回、カナンちゃんとの交信が成功したのは何故かお話します。僕は出発前にカナンちゃんに一言だけ、伝えておいたんです。『僕たちが危険な際には、カナン隊員に出動要請が入ります。"きんきゅうようせい" と言う言葉を常に考えていてください』と」

「なるほど。だから、お互いが『緊急要請』と念じることで、交信が成功したってことか」

「はい。一度交信が成功すれば、的確な僕の位置も分かるんです。今回は本当に助かりましたね」

「カナン……いきなり怒ってごめんな。実際、カナンが来てくれなかったらヤバかったな……」

「カナン、えらい?」

「ああ、めちゃくちゃ偉い! ありがとな!」

「それでは、僕らも話がまとまりましたし、そろそろ五分経過する頃です。向かってみてください」

「よぅし……。ちょっと怒ってるラーチ怖いけど、行ってくる……」


 そして、僕は再びラーチの元へ戻った。


「あ、ヤマトくんおかえり!」


 ラーチは、普段見せる明るいラーチに戻っていた。そして、その後ろには例の守護神 ロロさんもいた。


「あれ? なんでロロさんも……?」

「うん。話は帰ってからするよ。ちょっと大変だけど、ヤマトくん二人分行き来して貰ってもいいかな?」

「わ、分かった……」


 僕は言われた通り、二人分の行き来をした。そして、ロロさんを送り届けた瞬間に、僕の意識は薄らと消えて行き、地面に伏した。


   *

 

 目覚めると、アズマさんが僕を治癒してくれていた。


「あれ……? 僕……なんで気絶を……」

()()()使()()()()です。ただでさえ戦闘で沢山の攻撃魔法を使用したのに、その上で未だ未知な仙術魔法を何度も使ったからです。聞くところによると、慣れない仙術魔法は、本来の属性魔法よりも大幅に魔力消費が激しいとか。多用は禁物ですね」


 そして、ラーチは「ごめんね」と舌を出した。まあ、ラーチが元気になったならよかった。

 アズマさんの治癒魔法は凄い。どんどん回復して行き、直ぐに歩けるようになった。


「ふう……。治癒があるからと言っても、あまり頼り切りにならないでくれよ。俺の治癒も仙人様の指導で手に入れた扱い方だから、相当の負担なんだ……」

「アズマさん、ご迷惑おかけしました……」


 そしてラーチは、「少し急ぎたい」と言うと、自由の国へと戻りながら事情説明を始めた。


   *


「本当だ……」


 僕らが門兵に話を聞くと、博士長の名前はドレイクではなく、『ナーザ』と言う()()()()()()に変わっていた。


「これが、龍の加護を用いた『幻影魔法』……。こんな……()()()()()()()()なんて……」


 七神は自分の守護神の居場所が分かる。自由の国にはドレイクの他にも、龍族の一味が潜んでいたのだ。

 それも、守護神 ロロに成り代わって――――。


「僕が遊び歩いてないでもっと早くに気付いていてあげられたら……怖い目に遭わせずに済んだのに……」


 ラーチは、徐に苦い顔を浮かべていた。きっと、ドレイクが逃げる際、仲間にも伝え、全ての幻影を解いたのだろう。

 掛けられていた幻影の内容は二つ。『ドレイクが博士長である』こと、神を含む全国民が認知していると言うこと。そして、『水の神 ラーチに、連れ去られた守護神 ロロの居場所が分からないようにする』と言うこと。国民全員を騙し、神の目すらをも欺く、これはもう龍の加護の力なくしては到底叶うはずがない。

 せめてどんな奴が幻影魔法を用いたのか、顔だけでも拝みたかったが、既に逃げられた後のようだった。国王 キングへ悪鬼討伐任務の話に行ったが、悪鬼の任務があったことさえもが、消え去っていた。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(主人公):光剣/左手にグローブ型の盾

 ◇風魔法 フラッシュ:暴風を放出

 ◇風神魔法 ウィングストーム:目線の場所に高速移動

 ◇炎魔法 ラグマ:武器に炎を付与

 ◇炎神魔法 ラグマゴア:全ての魔法を蒸発させる

 ◇水魔法 アクアガン:水の遠距離魔法を放つ

 ◇水神魔法 アクアランズ:水の遠距離魔法を空中上で操作する

 ◇仙術魔法 神威:想像した場所へ空間移動をする

アゲル(大天使ミカエル):光属性

 ◇光魔法 オーバー:対象を三秒間停止させる

 ◇光魔法 スルース:互いに同じことを念じると遠距離で交信ができる

カナン:炎属性+爆破/弓

 ◇炎魔法×爆破

セーカ:雷属性/拳

 ◇雷魔法 ビライト:拳から多量の雷を放出。それによる跳躍、高速移動も可能


〇自由の国

 孤島の中で、外部との一切を遮断した、神の存在がない、国王が統治する唯一の国。争いもなければ、祭りなどの祭典で別国からの観光者も受け入れておらず、居住区が土地のほぼ全てを占める。

 発明が盛んで、科学者や発明家が多く、戦いの為の魔法、というよりも、生活を向上させる為の魔法技術として研究が成され、外の国に売り込んで国が成り立っている。


ラーチ(自由の国の神)

ロロ(守護神/アイドル)

キング(自由の国の国王)

ドレイク(博士長/龍族の一味):雷属性

ララ/リリ/ルル/レレ(アイドル)

アズマ:水属性・手に触れた魔法を消滅させる

ガロウ(仙人):仙術魔法・風・炎・水

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