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リメイク  作者: 春木
第三章 自由の国編
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17話 仙術魔法

 アズマは止めるように仙人 ガロウを睨む。


「ダメっすよ……。もう、ほとんど歩けない……。ヤマトには悪いけど、仙人様に無理はさせたくねぇ……」


 僕たちは、何も言えずに立ち尽くしてしまう。

 すると、アズマは続けた。


「さっき、ヤマトが操られてた時、俺、素手でヤマトの炎の剣とか、水魔法とか受け止めてただろ? アレ、俺の水魔法なんだけど、()()()()()()()()()()んだ」


 その言葉にピクッとアゲルが言葉を返す。


「アレが防御魔法じゃなかったらなんなんですか!? ヤマトの神の加護魔法級の防御魔法じゃないですか!!」


 確かに、普通の防御魔法ですら、物理攻撃を弾くことは出来ても、僕の【水魔法・アクアガン】を消滅までさせるのは、『魔法を消滅させる魔法』としか思えない。


「最初にも言ったが、俺は戦闘は出来ない。ああやって少し壁にはなれるけどな。俺の魔法は治癒魔法(ちゆまほう)なんだ」

「治癒魔法……?」

「ああ、俺は()()()()()()()()()()。だから俺の魔法には名前がない。()()()()()()()()()なんだ。ただ、その代わり他の人とは違う扱い方を仙人様から教えてもらった」


 すると、アズマは立ち上がって手を広げた。


「俺の身体を見て欲しいんだが、隅々まで水の薄い魔力に覆われてるんだ。最初はこの状態を維持させるのは難しかったが、今は自動的にこの状態になってる」

「な、なんですか、ソレ……」


 確かに、アズマの身体には、目を凝らしてよく見ると、薄い水色の膜のようなもので覆われていた。


「普通は武器や装備を介さないと魔法は発動でき……」


 アゲルが細目で分析していると、アズマは割って訂正に入る。


「ああ、だから魔法は発動してない。これは、単純に()()()()()()()()()()()なんだ。この状態なら、小さな攻撃や怪我も直ぐに治癒されるんだ」

「凄い! 無敵じゃないですか!」


 興奮して反応すると、アズマは困り顔を浮かべる。


「いやぁ、こんなもん日常生活が少し安全になるだけで、魔法攻撃はこの膜を一部に集中させて厚くしないと、ヤマトの攻撃魔法も防げなかったよ」

「それなら尚更、治癒で消滅が分からないです」


 アゲルは初めて見る魔法の扱い方に興味津々だった。


「ああ、それは、俺の『治癒の仕方』なんだ。身体の膜が薄い理由も同じ理屈なんだが、俺の治癒の仕方は、()()()()()()()()()()()()ことになるんだ」

「消滅させたのではなく、()()()()()()()()()()()()()()……。つまりは、発動したこと自体をなかったことにさせた、と言う解釈で合ってますか……?」

「ああ、天使さんの言う通りだ」


 アゲルは改めて口元に手を持って感慨深く見つめる。


「えっと、その治癒で仙人さんのご病気? は治せないんですかね……?」


 僕は少し手を挙げて恐る恐る訊ねる。そんなことが叶うならとっくにしているだろうことは、考えられなくなっていた。


「仙人様は病気じゃない。『呪い』なんだ」

「呪い……?」

「そう。龍に掛けられた呪い。呪術魔法(じゅじゅつまほう)だな」


 その言葉で、様々な合点が行った。

 仙人 ガロウは龍に会ったことがあり、呪いを受けた。その説明をアズマにしているから、アズマも龍や龍族の存在を聞かされている。そして、僕に協力的なのも、龍との因縁なのか……。

 恐れ知らずのアゲルは表情を変えずに話す。


「アズマさんの治癒が『元に戻す』ものだとしたら、『呪いに掛けられる以前に戻す』ことが出来るのでは?」


 すると、アズマは俯く。


「ふっふっ、長生きもしてみるものだ。こんなに人間や天使族に私の心配をされるとはな……」


 そう言うと、仙人 ガロウは包帯を剥がし肩を見せた。そこには、黒く禍々しい印が浮かび上がり、包帯を剥がした途端にドロドロと血が溢れ出した。


「印……?」

「印が刻まれているのは、人体の奥なんだ。俺は、触れられないものは治癒させられない……」


 そんな重い空気の中、僕は一人キョトンとしてしまう。


「えっ、と……呪術魔法ってことは、それって結局は魔法なんですよね……?」

「そうだ。魔力が込められているからな」


 そして、徐に僕はアゲルの元に近寄る。


「アゲル、光剣、貰える?」


 僕の言葉に、アゲルはニコッと微笑む。

 

「そうか! その手がありましたね!」


 アゲルは早速、光剣を僕に手渡した。


「な、なんだ!? 剣で刺したりなんかしたら、大量出血で取り返しが……!」

「大丈夫ですよ。この剣は光魔法で僕が作った光の剣。光なので、物体を切ることが出来ないんです。ただ……」


 -炎神魔法・ラグマゴア-


「魔力を込めたら、最強の剣です」


 僕は、光剣でガロウさんの肩の印を突き刺した。その瞬間、灰のように印は消えていった。


「す……すげえ……」


 アズマさんは露骨に呆然としている。


「アゲルの説明の通り、光剣は『光』だから人体を刺すことは出来ない。そこに僕の【炎神魔法・ラグマゴア】を付与させれば、身体の内部に光が届いて、魔法を蒸発させられると思ったんです。よかった、成功して……」


 仙人 ガロウは一筋の涙を溢す。

 そして、


「ンッハハ……ガッハッハッハ!! 大したもんだ! 君なら本当に龍族に勝てるかも知れないな!!」


 そう言いながら、立ち上がり、腕を回した。


「こりゃあ尚更、仙術魔法を、なんとしてでも彼に譲渡させなければならないな!」


 そう言うと、ガロウさんは僕に向き直した。

 仙人がこの世界で編み出した、アゲルですら知らなかった仙術魔法……。


「よろしく……お願いします……!」


 受けない手はない。


「早速始めよう。そこに楽にして座ってくれ」

「は、はい。普通に座ればいいんですかね……?」


 僕が座った対面にガロウさんは座ると、掌を合わせて目を閉じた。やがて、真っ白な蒸気のようなものが、ガロウさんの身体から溢れ出し始めた。

 ゆっくりと目を開き、僕と目を合わせる。


「あれ……?」


 ガロウさんと目が合った途端、僕の視界には立っている僕とガロウさんが、上も下も左右のどこを見ても真っ青な空間にいた。


「やはり、異郷の君ならここまで来れたか」

「ここは……なんなんですか……?」

「ここは()()()()()だ。目を閉じ、他に感じたことのない魔力をしっかりと肌身に感じてみてくれ」


 僕は言われた通り、目を閉じる。初めて感じる感覚……意識が途切れそうだ……。


「君は今、どこへ行きたい?」


 暗闇の中で、ガロウさんの声が響く。

 行きたい場所……? そうだな、最初にアゲルに召喚された草むら。あそこから見える自然が綺麗で……。


「想像はできたか?」

「はい……。すごく、綺麗だったんです」

「私の後に続けて、魔法を唱えるぞ」

「え? あ、はい」


『 仙術魔法・神威(かむい)


 -仙術魔法・神威-


 肌で分かる。さっきの空間にはもういない。小さく風が吹いている。ここは外だ。

 僕は恐る恐る目を開ける。


「え……?」


 僕は、初めてアゲルに起こされた場所、自然の国の手前にある森林にいた。


「幻影……じゃない。洗脳……でもない……」


 実感として伝わる。樹にも触れられた。

 もしかしてこれは、()()()()()()()()()……? ガロウさんの姿がない。そうか、別に同じ想像をしたわけじゃないから……。

 優しい風が、僕の身体を包む。

 分かった――――。同じ手段で、自力で帰って来いってことだな……!

 僕は再び目を閉じ、先程の空間で感じた魔力を自分の底から探り出す。

 これは……炎……風……水……。この、不思議なエネルギー……きっとこれだ……。そして、想像……。自由の国の洞窟で、中には灯りがあって、布団が二組と机があったんだ……。


「よし……やってやる……」


 -仙術魔法・神威-


「うわっ!!」


 すると、みんなの驚く声が僕の耳に飛び込んだ。僕もゆっくりと目を開ける。


「無事、戻って来られたようだな。習得完了だ」


 微笑むガロウさんと、目を丸くしているみんな。


「ガロウさんの言っていた通り、本当に突然姿が消えたかと思ったら、再び現れた……」


 アゲルが真剣な表情で考え込む中、僕はアゲルにピースサインを向ける。


「また一つ、強くなったぞ!」


 ニシッ、と笑い掛けると、アゲルは一瞬目を細め、クスッと笑みを零した。

 この世界で繁栄している七国には、それぞれを統治する七人の神がおり、特別な力を宿す。

 世界を治めるのは世界の唯一神。七国の神と契約し、神々に力をもたらした人物。


ヤマト(主人公):光剣/左手にグローブ型の盾

 ◇風魔法 フラッシュ:暴風を放出

 ◇風神魔法 ウィングストーム:目線の場所に高速移動

 ◇炎魔法 ラグマ:武器に炎を付与

 ◇炎神魔法 ラグマゴア:全ての魔法を蒸発させる

 ◇水魔法 アクアガン:水の遠距離魔法を放つ

 ◇水神魔法 アクアランズ:水の遠距離魔法を空中上で操作する

 ◇仙術魔法 神威:想像した場所へ空間移動をする

アゲル(大天使ミカエル):光属性

 ◇光魔法 オーバー:対象を三秒間停止させる

カナン:炎属性+爆破/弓

 ◇炎魔法×爆破

セーカ:雷属性/拳

 ◇雷魔法 ビライト:拳から多量の雷を放出。それによる跳躍、高速移動も可能


〇自由の国

 孤島の中で、外部との一切を遮断した、神の存在がない、国王が統治する唯一の国。争いもなければ、祭りなどの祭典で別国からの観光者も受け入れておらず、居住区が土地のほぼ全てを占める。

 発明が盛んで、科学者や発明家が多く、戦いの為の魔法、というよりも、生活を向上させる為の魔法技術として研究が成され、外の国に売り込んで国が成り立っている。


ラーチ(自由の国の神)

ロロ(守護神/アイドル)

キング(自由の国の国王)

ドレイク(博士長/龍族の一味):雷属性

ララ/リリ/ルル/レレ(アイドル)

アズマ:水属性・手に触れた魔法を消滅させる

ガロウ(仙人):仙術魔法・風・炎・水

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