⑬ 浄水器の製作
ダグの家庭を訪れた翌日、工事監督をダグに任せて浄水器の主要な材料の活性炭を製造する手配の為、工房を訪れてライルに炭焼き窯の製作に付いて依頼することにした。
郊外の製材所の近くに炭焼き窯を設置することで、材料の木材の補給を簡単にできると考えたからで、製材の際に枝打ちで発生する小枝を炭に加工する窯を造ることにした。
先ずは半円等の窯をレンガなどの石材を使って組み上げ、奥には金属の煙突を設けて通気を行い、床面にはタールを排出するパイプを取り付け窯の外に受ける。
窯の内部奥に炭にする木材を敷詰め、火室内との間に遮蔽を設けて火の粉が直接窯内部に入らず、熱風だけが窯を通過するよう加工した窯の入口で火をたいて窯全体に熱風がまんべんに行き渡る構造で奥行き3m、幅2m、高さ2mの窯を傾斜面に作成し、炭を作成する窯を工房に依頼して今日の作業の打合せは完了し、浄水器の製作状況を確認すると試作品が出来たようなので見に行くと、図面で敢えて指示していない金属の厚みが予想したより厚くて重量が嵩張ることが判明した。
しかしながら耐久性や強度的には私の予想よりも上回っていたので承認することにした。これでろ材や活性炭などを充填すると50kg以上は確実で、架台の強度をそれに合った物にする必要があるとライルに伝え、工房を出て宮殿に寄ってミーシャに工事で必要な炭焼き窯の製作と浄水器の試作品の出来具合について報告をした後、宿に帰宅することにした。
帰宅途中の道でマリーさんが辺りを探すように歩いているので「マリーさん、どうされたんですか?」と声を掛けると、「実は、おばあ様がまた行方不明になったので探しているところです」と言うので「それじゃあ私も一緒にエルザさんを探してみます」と答えると「有難うございます。それではあちらの通路を探していただけますか?」と言うので筋違いの通路を探すと道端に座り込んでいる老女の姿が微かに見えたので、近付いて「エルザさんどうしたんですか?」と声をかけてみると「どちらさんですか?」と言い、私のことはすっかり忘れているようなので、「マリーさんが貴方を探しているのでお宅までお送りします。」と言ってエルザさんを背中におぶって来た道を戻ると、マリーさんが慌てて駆け寄ってきて「風間さま、本当に有難うございます。」と言ってきたので「困ったときはお互い様ですから、気にしないでください」と告げて5番街に向けて歩き、クレール商会の前でエルザさんを降ろし、マリーさんに別れを告げて帰宅することにした。
翌日の朝、クレール商会の使いの者が宿を訪れて手紙を預けに来たらしく、受け取ったカールが手紙を渡してくれたので内容を確認すると、マリーさんからクレール商会の扱う商品で良ければお礼がしたいので、お時間があるときに訪れて下さいという内容であった。
カールにクレール商会の扱う商品について聞いてみると、高級衣料や装飾品などを扱う商会で、この街で有名な商会だと言っていた。
そういえば地球から持ってきた下着や靴が連日の洗濯で傷んでいたので、丁度着替えが欲しいと思っていたが、手近かな店では扱っていないので困っていたところなので、もしクレール商会で探していた品質の品々があれば手持ちのお金で購入するつもりで考えてみてもいいかとその時は軽く考えていた。




