常務の娘 3
遡ること半年前。
常務の娘である、千賀子と初めて会ったのは 司法書士事務所だった
そのころは立夫は融資担当をしていて 一般客向けの住宅ローンを組む業務がメインだったローンを組めば当然、銀行の担保権が設定されるので その手続きを依頼していたのが 其の事務所だ・・
司法書士は40過ぎの水田という男で 腰が低く代書屋というより保険などのセールスマンに近い愛想のいい男だ・・ 担保設定の登記の数は結構多く 住友銀行からの仕事だけで食ってるようなものだから 融資担当の立夫は軽視できない存在だった
立夫は最初こそ昼飯をたかりに行く程度だったが‥繁華街になじみの女がいるんだというと 水田はそのあたりの経費も全部出してくれたのである
「持ちつ持たれずだぜ・・水田さん 俺がいるかぎり仕事回しは任せろよ」
なにしろ同業の事務所は他二つあり・・裁量一つで仕事は回され干されてしまうのだ
本当のところは立夫の権限はなく 本部で依頼先を決めているものだったが 立夫は大見えを切っていたわけだ
そのへんの内情を知らない 水田が立夫に取り入り熱心になるのも無理はない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんな中で 水田の事務所に新しい事務員が入ってきた 立夫は一目見て 自分のタイプだと思った メガネをかけてはいるものの 顔はどストライクだし なによりも量感のあるムッチリ尻をした女だった。
立夫だけに限らずこういう女は男の羨望の的だろう。
(イイ女だなあ・・あのエロ尻を思い切りしばきたい)
横顔がAV女優に似ているのも 嗜虐心がいやがうえにも掻き立てられる女なのである
水田は 耳打ちした
「あの子は あんたの銀行の常務の娘だよ 手を出さない方がいいよ 火傷しても知らんよ」
立夫の気持ちを見抜いてのそんな忠告だ
「なんだって?!それは本当か?」
名札をみたら 海堂とあった・・
「ほう 海堂の娘か」 東京本部では次期専務と目される威張った存在であることは知っていた
銀行内の会報では おなじみの顔だ それを知った立夫は一発で心がときめいた 願ってもない好機が訪れたと思った
(よおし・・この女を口説いてやろう)
と、心に期したのである
無論、失敗すれば 免職は確実だ
だが、このまま銀行にしがみついていたところでなんの見込みがあるというのか・・
相手にとって不足はない モノにすればどれだけの見返りがあるのか容易に想像がつく。
立夫は瞬時に一か八かの勝負に出ようと決意したのだ
とは言え 千賀子のことでわかっていることは27歳で独身であるということだけ・・
敵を知り己を知れば・・なんていう諺があるが 悠長に構える気にはならなかった
東京に住まいしていた千賀子が一体なんで姫路に?
という疑問も当然あったが そんなもの詮索したところでなんになろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日にはその事務所に出向き 名刺を添えて千賀子にラブレターを渡した
「君に一目ぼれしたんだ・・会ってくれないかと書き スマホの番号も記した」
千賀子にすれば じっと見つめる立夫の視線を何度か感じて意識していた
獲物を狙う鋭い視線だ・・怖いというより、本能的な牝の官能を少なからず揺さぶった
それはある意味迫って来る牡の鋭鋒は心地よいものだからだ・・
千賀子は何度か断りの返事を入れたが それはアドレスを教えることになり、メール攻めに遭うことを承知したようなものだ
案の定、立夫からのメールの波状攻撃だ
立夫にしたら女は押しの一手しかない・・引くなんていうのは性に合わないのだ
180㎝近い体格に横幅もある イケメン顔という自信もある
押しまくっていたら 女は生理的に濡れて来るという 勝手読みだが
その方法でこれまで何人か口説き落としたという経験則もあった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
銀行の人事課の村木は立夫と同期で大学も一緒ということで 気脈が通じている
昼飯の時に 千賀子のことをそれとなく話すと
「ほう、水田の事務所に常務の娘が?」
「おう、俺もびっくりしてさ」
「前嶋よ 悪いことは言わん やめとけ、海堂常務って平行員からたたき上げた傑物だ
ヤクザとのつながりもあるという猛者だぜ・・万に一つもうまくいく道理がないよ・・
殿様と三下の家来ぐらいの差だ 鎧袖一触で袖にされるか 下手すりゃ 素巻きにされて姫路港行きだぜ」(笑)
「あはは わかった 忠告として聞いておくよ」
立夫はそれを聞いて臆するどころか闘志が燃え上がった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
立夫は仕事にはおおざっぱだが女には至ってマメだ・・
ましてや常務の娘とわかった以上 他の女のように気楽に口説くなんてもんじゃない。
立夫にしたら一世一代の真剣勝負で 失敗したら 銀行を追われもう終わりだ・・
蛇のように食い下がり執拗に迫るのみだ
が、甘くはない
20日が過ぎ一か月経っても進展がない。あの手この手と手を尽くすというかメールを何度となく送り続けたがまったく箸にも棒にもかからないのだ むろん事務所に何度も足を運び 話しかけもしたが 無視された
「前島さん、彼女が嫌がっているし周りの目もありますから やめてくれませんか」と水田から注意を受けたほどだ
(こいつは 思ったより手強い・・)
40日を過ぎさすがの立夫も焦った。 が このまま引き下がってたまるか・・
立夫は思い切った行動に出た
自分のそそり立つペニスの画像と そのペニスを突っ込んだ ハメ撮り動画を千賀子の携帯に送ったのである
数分にまとめあげた編集動画にし 君が好きだからという文も添えた・・
鬼と出るか蛇と出るか・・と、云うより 下手したら猥褻物陳列とかの罪で警察行だ
だが 立夫は 女が拒否したらしたで 最後手段で力づくで犯そうと思ったのである・・
フツウの神経なら うまくいく道理がないと 考えるもんだが
立夫はその点フツウではないってことだ・・