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常務の娘

日本を代表するメガバンクの住友銀行。

姫路城が真正面に見える、駅前のそのメガバンクの姫路支店


50過ぎの支店長席の内線が鳴った。 総務部長からだった

「支店長!東京から海堂常務がまもなく姫路駅に到着するそうです」

「なんだって?常務が!・・きみ、迎えに行ってくれ いや、僕が行く・・えっと何時到着なんだ?」

50過ぎの金井支店長は 泡食った 融資業績の悪さでは関西でワースト上位に入っており、監査役の海堂常務が来るのはそのことしかないと思ったからだ・・


銀行を飛び出し総務部長と駅に向かったが

(しかし待てよ・・そんなことぐらいで常務がわざわざ来るなんておかしいな?)

海堂は銀行内では主流派で次期専務と目され、将来は頭取にもという雲の上のような存在である


どう考えても解せなかったが・・

いずれにせよ 金井は気は動転し スーツの背筋をピーンと張りつめながら待っていたら海堂が改札を出てきた 社内報でおなじみの顔だが向こうは支店長など知るワケがない・・


恰幅のいい図体の大きいその男が海堂なのだ、秘書だろうか、若い美女を連れ添っていた。

金井と総務部長が駆け寄りベコンと挨拶すると 


その秘書が 会釈した

「前島 立夫さんという行員に急遽面会したくて参りました いらっしゃいますよね?」

(前島は平行員だ しかも勤怠の札付きの行員だ そんな男に何の用事なんだ?)


金井はワケが判らずにいると

常務はニコリともせず 銀行に案内しろとの不機嫌な顔つきを金井に向けた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前島 立夫 32歳は其の日、銀行を欠勤していた。 昨晩、その海堂から何度も電話があり

さんざん脅されたのである・・むしゃくしゃして付き合っている彼女を呼び出してラブホ泊りだった

そこに支店長から電話だ

「前島さん、至急、銀行に来てくれないか、東京から君を名指して海堂常務が見えてるんだ・・」

海堂が昨晩、(そちらに行き話をつけたい)と言ってたが本当に姫路に来たのだ!


時計を見たら10時少し回っていた。

朝一番に飛行機か新幹線に乗ったと直感した

「支店長さん、俺は休んでるんだよ 頭痛いし、出ていけないよ 海堂? 常務?知らんがどういうことだよ」

立夫はわざととぼけてやった 

日ごろの金井の 自分をバカにした仕打ちに腹立っていたからだ

「た、頼む そんなこと言わずに 来てくれませんか、」

電話の向こうは必死の様子で 口調まで変えていた

何度も哀願され、

そこまで言うのならと もったいをつけて言ってやった 

「車回して来てくれ タクシー代もないんだ 給料安いしな・・」


すると10分もたたないうちに なんとラブホの前に迎えに来たのだ(^^)

立夫はほくそ笑みを浮かべつつ気を引き締めた

海堂の用件は十分承知だったからだ



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