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砂の城  作者: F
42/60

相性

毎回、検査結果を聞きにくるのは緊張する。


診察室に入り椅子に座ると、瑛人の時からお世話になっている担当医が、結果を見ながら頷いた。


「秀人くんは、この薬と相性いいよ」

「本当ですか?」


「一生薬は飲み続けなくちゃいけないけど、前回と今回の結果をみる限り、数値は安定してる」

ホッと胸を撫で下ろす。


「瑛人くんの事もあって、不安になるよな」

秀人が頷く。


「でも、今は自分の体と医学の進歩を信じて欲しい」

「はい」


「この前、念の為、と妹さんの検査もしたけど異常なかったよ。

ご両親にも症状が出てないから、目に見える結果だけで言えば、〝発症リスク〟は高いかもしれないけど、〝確実に発症する〟とはいえない状況だな」

「そうですか…」


「瑛人くんが発症してからお酒も甘いものも止めてるんだって?」

「願掛けも兼ねて…」


「秀人くんに任せるけど、適度になら全然大丈夫だから。

そんなに自分を縛り付けなくていいし、秀人くんはもっと自由に生きていいんだよ」

「…はい」


泣きそうになる。

長年の呪縛が解けていくようだ。




病院の駐車場まで、うららかな春の日差しの中を歩く。

この検査結果を聞いて、真っ先に誰に知らせたかったのか、誰に一番喜んでもらいたかったのか…


(オレは本当にバカだな)


早足になり、携帯を取り出す。

少し緊張する。

もしかしたら、もう着信拒否されているかもしれない。

そうしたら、川島先輩に頼み込んで…


つがらない時に備えて、色々考えを巡らす。

呼び出し音が鳴る。


(サヤさん、お願いだから電話に出て!)


「もしもし…」

「サヤさん?」


無言のままだ。


「もう一度話がしたいんだ。今から迎えに行くからどうしても会って欲しい」


「…私はもう話すことはないよ。もう連絡してこないで…」



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