表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂の城  作者: F
35/60

白紙

「サヤ、今日は予定通りに終われそう?」

通りかかった奈緒に声をかけられた。


「うん、大丈夫だよ」

「じゃ、予定通りお店に集合で」



仕事に集中している時は、秀人の事を考えずに済む。

早目に仕事が終われば、最近入会したスポーツジム

に行き身体がクタクタになるまで、運動する。

インストラクターに、「会社で嫌なことがあるの?」と聞かれる位だ。

シャワーまで浴びて帰れば、何も考えずに寝るだけでもう次の日になっている。


今日は、奈緒と涼子と女子会の日だ。


2人と会話に集中して、上手く会社の話題をすり抜けられれば、きっと秀人の事を想い出す時間は減らせる、きっと…。




「奈緒?お前こんな時間に珍しいな」

川島先輩が電話しながら用紙を片手に席を外す。


コピーをしながら、何か話している。

時計を見て、時間を合わせている。

「…飲めないくせに何やってんだよ」と笑いながら戻ってきた。


「片付けたら迎え行く」

〝はいよ、はいはい〟とあとは簡単な返事をして電話を切った。


「奈緒さんを迎え行くんですか?」

さりげなく聞いてみる。


「奈緒と涼子はザルだから全く心配いらない。

サヤだよ、サヤ。飲めないくせに調子に乗ったらしい」


バタバタと後片付けを始める。


秀人が気にしてるのを分かって、聞く。

「奈緒がオレに連絡してくるってことは、サヤとお前何かあったんだろ?」


秀人がパソコンを打つ手を止め、悟を見た。

「男同士の協定は白紙だな」


〝おつかれ〜〟と挨拶しながら出ていく背中を目で追う。


至急の資料作りなのに、手が止まる。


 



気持ちが悪い…頭が痛い…

毎日の検品作業がなかなか進まない。

最近、誰よりも早く出社して仕事を始めるから、まだ材料倉庫には誰も居ない。


気を抜くと、うずくまりたくなる。

胃の辺りを抑えて、撫でていると向かってくる足音が聞こえた。

姿を確認して、また作業に戻る。


「飲みすぎたんだって?」


横から材料を動かす手を貸す。

「デスクにオレンジジュース置いといたよ」


サヤはまだ無言で黙々と作業を続ける。

紙包みを開いて材料を見て、止まる。


秀人もその材料に気づく。

「あの時にもう一度戻りたいね」


坂本課長と一緒に加工した、いつもはなかなか入ってこない材料なのに…

「こんな未来が待ってるなら私は戻りたくない」


サヤは、材料をまた紙包みに戻し納品書にチェックをする。

ペンを持つ右手をいきなり掴まれる。

「最近痩せすぎだよ、ちゃんと食べてるの?」


目をそらさずにこっちを見るから、サヤがそらすしかない。


「そろそろ他の人が出社してくるから、行って」


掴んだ手を離し、秀人が倉庫を出ていく。

サヤはまた胃の辺りを撫でた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ