クリスマスのこと
来年の今頃は、秀人と一緒に来たいな、と思いながら輝くイルミネーションの中を歩く。
恋人達は写真を撮り、小さな子供達は走りながらはしゃいでいる。
駅まで続く通りの広場に、毎年飾られる巨大なクリスマスツリーがある。
しばらくその前で立ち止まって、眺めていた。
子供の頃は、朝起きると、枕元にプレゼントが置かれていて妹とはしゃぎながら開けた。
希望通りのオモチャが貰えると、母親に自慢し、妹と交換したり、取り合いもしながら正月休みを過ごした。
冷たい風が吹き抜け、そろそろかと携帯を見ると、ちょうど連絡が入る。
「駅着いたよ」
半年ぶりに会う大学生の真由は、化粧が少し上手くなったみたい。
「こんな時期に帰ってくるなんて、とうとう別れたの?」
「うるさい!」
図星らしい。
「自分が幸せだからって、妹をイジメるな!」
どうやら母から何か聞いてるらしい。
「お姉ちゃんこそ、こんな日に会ってないんだからおかしいんじゃない?」
「私の事はいいの。それよりケーキ買ってこ」
2人でデパ地下へと急ぐ。
美味しそうなデザートに、テンションが上がり、予定外の物まで買って家路に着く。
秀人から連絡が入った時、お風呂上がりで真由オススメのパックをしていた。
「サヤさん、30分だけドライブ行けない?」
「いいけど…すっぴんだよ」
「オレ、サヤさんって気付く?」
「そこまで変わらないと思うけど…」
自信がなくなって声が小さくなる。
「うそうそ、そのままでいいよ」
秀人が笑って言う。
せっかく自宅まで迎えに来てくれたので、真由を紹介する。
秀人は、みんなを魅了するから真由ともいい雰囲気で対面出来たと思う。
「少しだけお姉さん借りるね」
「いってらっしぁ〜い」と元気に見送られる。
車を運転する、秀人の横顔が好きだ。
笑ってる顔も好きだけど、運転中は真面目な横顔が見られるから。
サヤに見られている事に気付くと、「どうした?」と優しく笑いながら聞く所も。
さすがに今日はいつもより、真面目な顔の時間が多いかもしれない。
おそるおそる、運転している腕を触ってしまう。
(大丈夫?)と聞くように。
そんなサヤの気持に気付いたのか、サヤの手を握り赤信号で停まった。
サヤの顔を見る。
「すっぴんでも変わらないよ」
急に恥ずかしくなる。
「下地だけはしてきたけど、そんなに見ないでよ」
わざと顔を背ける。
「顔見に来たんだから、見せてよ」
手を軽く引っ張られる。
「信号!」
青信号に変わった信号を指差す。
「分かってるよ。でも後ろに車いないから、早く」
ハンドルにもたれながら、サヤを見ている。
そっと秀人を見る。
優しく見つめる秀人が居る。
手を離し、サヤの頬をそっと触ると、前を向いてアクセルをゆっくり踏んだ。
「明日から出勤するよ、でもすぐお休みに入っちゃうけど」
明後日から年末年始のお休みに入る。
「まだあんまり派手に出掛けられないけど、散歩したり近くをドライブしてくれる?」
「うん」
「沢山話したいから電話もするよ。これからの事も話そう」
未来の話は少し緊張する。
「そうだね」
「来年のクリスマスは、一緒に過ごせるといいな」
そう言うと、秀人はまたサヤと手を繋いだ。




