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エクストリーム・ドラマ


 第三高校へ入学して数週間、5月になる頃には

 クラスにいる人々は変身しだします。


 遥か昔に偉大なる ロックンローラー だった

 親がスターとして崇めていた人と同じ髪型 リーゼント


 人気のある ソウルマン だった人と同じ髪型

 アフロヘア や パンチパーマ


 過激な パンクロッカー だった人と同じ髪型

 ツンツン にたてた髪型


 髪も色んな色に染めてきます

 ブロンド、赤毛、栗毛、緑に紫

 各自がカッコイイと思う色にしてきます


 全く同じ髪型の同じ髪色の同志が現れました。

 歩兵科の大杉さんです。


 刺激の強い言葉は伝わるよね 方式な会話手法も似ていて

 色んな感覚も同じだったので

 共通の会話が可能で交流するようになりました。


・・・


 大杉さんは結構、良識的な心というものがある人でした


  世間一般の人から見て常識的な人でいたい


 という考えが、歩兵科に在籍していて残っていたのです。

 珍しい事でもあり、それは、とても目立ちました。


 アフォが寄ってきて面白半分に壊そうとします


  なんだよ、このやろう、俺等と同じ馬鹿のクセに

  気取りやがって、イイ子ぶりやがって、気にくわねえなぁ!

  コレを壊すと、どうなるのかな、ゲーヘヘヘ


 そんな、しょうもない思い付きを

 門馬という名のアフォが実行にうつしました。


 ほぼ毎日、全ての休憩時間、昼休み、放課後

 門馬が寸劇を脳内で作って大杉さんを相手に実演します


  マフィア と 一般市民


 という感じのタイトルのような

 しょうもない過激なドツキ漫才コントで

 マフィア役は門馬で、一般市民役が大杉さんです


 4月の間、毎日、ドツキ漫才コントをしていて


 5月になって大杉さんの頭の中で何かが壊れました


  限界だ、なんとかしないと

  こういう人間が二度と自分の周りに出現しないように

  見せしめに徹底的に壊して晒し者にしないと駄目だ


 という考えにスイッチしたのでしょう。


・・・


 門馬というのは、何故こんな奴なのか?


 生まれて初めて見るような酷さの

 しょうもない人間だったので


 同じ中学だった人間から

 ご家庭の事情などを聴きだしました


 マフィアの息子である事が公表されていた後白河と

 ことあるごとに対抗する門馬


 後白河と門馬は、父親が同じ異母兄弟だったのです


 母親が後白河の母親が本妻さんで、マフィア幹部


 門馬の母親は愛人で、マフィア経営の店で働く情婦


 組織の中で王様と乞食くらいに身分が違いました


 ことあるごとに知っている人は後白河と門馬を比べます

 母親違いの兄弟・・・しかも同じ年齢の同級生

 よく父親が同じ高校に入学する事を許したものです


 片方は何の不自由も無く贅沢し放題に生活し

 もう片方は貧乏のドン底


 同じ父親なのに・・なんで俺ばかり・・・

 そんな感情やら、憎悪やら、悪意やら、嫉妬やらで

 醜い暗黒面感情が服を着て歩いているような人間に

 門馬は育ってゆきました。


 門馬という苗字は当然ながら母親の苗字です

 妾の子が後白河と名乗る事を

 父親も本妻も許さなかったようです


 できの悪い方、”デキンホ” とか呼んで

 親自体が差別して虐待していたとも

 噂されていたそうです


 そんな門馬の事情を、中学が同じだった人間が

 悪意を込めた言い方で話してくれました

 よっぽど嫌われていたのでしょう

 親しみの感情とかは欠片も抱えていないようでした。


・・・


 策謀術という授業がありました


 ターゲットを申請して、申請ターゲットを

 思惑通りの常態に出来るかどうか?

 ターゲットは同じクラスの人間から選ぶ


 という授業内容で指導教官である教師だけが

 経過や結果を記録します


 大杉さんは、この授業で門馬を

 ターゲットとして申請して


 父親が所属するマフィアのメンツのために

 マフィアにいる父親や本妻により

 門馬が見せしめとして消されるように仕向ける


 という目論見を申請した事を

 放課後の雑談で話してくれました。



 細かい経緯は良く知らないのですが


 結果だけを言うと

 少なくとも学校から門馬は消えました


 この世に存在しなかった事に

 後白河の一族がしてくれたのでしょうか?


 それは見事に存在していた痕跡すら残さずに


 少なくとも大杉さんには、そういう計略というか

 謀略の才能があったようです


 教師は授業中の事故として同窓会会長でもある

 警察署長と、その署長とズブズブな仲間でもある

 マフィアのボスに一応は確認をとって

 全てを授業中の事故として処理したようでした


 とにかく、門馬の存在が大迷惑だった大杉さんにとっては

 とても喜ばしい事だったのでしょう。


 メデタシ、めでたし。



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