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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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凍結粉砕

 キィィィィィィィィンッ‼︎

 

 氷の精製音が合図となり、周りの光景がまるでスローモーションのように流れてゆく感覚。


「ウ、ウルエさ……ん……」

「ハルちゃん……大丈夫?」


 両掌を前方へと突き出した姿勢の彼女を、尻餅をついた俺が……呆然と、見上げる形になった。


「こ……こんな状況でまで、俺のことを気にかけてくるなっ‼︎ 人の心配してる場合じゃないでしょうがーーっ‼︎」

「あ、あははは……うっ……」


 俺の怒声に苦笑いし、苦痛の声を上げるが……表情はゴーグルとマスクで隠れていて、まるで読み取れない。


 『あ、終わった……』と思った瞬間、彼女がバニラ鳥と俺との間に素早く入り込み、渾身の力で俺を後方へと突き飛ばしてくれたのだ。

お陰で、武器と右のグローブを生け贄にして俺の手はすっぽ抜けた……そして……。


「ウルエさん……」

「そんな情けない顔しないで……ね、ハルちゃん」


 彼女は困り顔で俺に話しかけてくるが……その胸から腹にかけて、無数の氷のクラスターが容赦無く身体を貫いていた。


 血が一滴も垂れていないのは、血液をも凍らせる冷気だからか、それとも、彼女に血が通っていないのか……どちらかはわからなかった。


 貫通部から氷が身体の侵食を始め、他の部位もピキピキッと順に凍ってきている。


「あぁ、やっちゃった……ソラに怒られそ……」


 言葉の途中で、ウルエさんが両膝からガクンと崩れ落ち、前方へと倒れ込んだ!


 パキィィィィィン!


 転倒した衝撃で、彼女の凍りついた下半身は見るも無惨に砕け散った!


 ………………


 俺のせいだ……俺が油断したせいだ……。


 この氷山と氷山の隙間は、あのバニラ鳥のデカ尻では通れない狭さ……かろうじて縦向きの翼か(くちばし)が突っ込める幅だった……そう、背を向けた所に突っ込まれた……くそっ!


 今更、遅い。

何かに気付くのは、いつだって大切なものを失った後だ。


「えっ? ここは……?」


 その時、背後で知らない声がした。


「ソラ⁉︎ ……おはよう……ごめんね。えっと……私は……大丈夫だから……」

「え?」

 

 ピキピキピキ……パキーーーーンッ‼︎


 上半身も一気に凍りつき……透き通る高音が響き渡って……ウルエさんは粉々に砕け……消えた……。


 ………………


(そら)ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

「⁉︎」


 小柄な彼女が起き上がり、絶叫する‼︎


「あたしの空に何してくれてんのよぉーーっ⁉︎ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


 悲痛な叫びと共に、彼女は素早い動きで、ウルエさんの武器を拾い上げ、構え、撃つ‼︎

速いっ‼︎


 ズドォォォォンッ‼︎


 バスンッ‼︎‼︎


 ロケットランチャーから放たれた弾丸は、的確にバニラ鳥の片翼を吹き飛ばした‼︎

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