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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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バニラ

 急激なスピンで、再び冷気の風がひゅぅっと(つむじ)を巻く! 


 俺を殲滅対象としてロックオンした為か、先程より敵との距離が近い!

(おとり)としての仕事は上出来でしょう?

だけど……。


 ………………


 あぁ、ウルエさん……あとどれくらい⁉︎

俺、超不安なんだけど‼︎


 ソラさんを削り出している面が、こちらからは完全に死角で見えない!


 キュィィィィィィン……


 耳を澄ますと、なんとか砕氷のチェーンソー音が聞こえ、俺の心が少しだけ上向く。


 キュルキュルキュル……ヒュルヒュルヒュルッ……‼︎


 今度は回転している巨体の旋回音が一段階、高音になる! 

スピードがさらに上がったか⁉︎

こちらからは回る残像しか見えない!


 ……ん? あれ? 

こいつよく見ると白くないな……オフホワイトに近いベージュ色……だったら白鳥じゃなくて、バニラ鳥だ……って今はそんなこと、どうだっていい!


 氷山の陰に身体を縮込めて潜み、氷の裏側から対象をじいっと注視する。

さっきの(いち)ターン目の攻撃力は凄まじかった。

だが、この厚さの氷山を貫通させることは出来ないはず……。

 

 ヒュルヒュルヒュルヒュゥッ……


 来るっ‼︎‼︎


 ドドドドドドドドドドドドドドッ‼︎


 音が……違う⁉︎


 俺は思わず、背中のロケットランチャーに手をかけ、銃口を真下に向け、放つ!


 ドォォォォォンッ‼︎


 激しい爆発音と共に、氷の破片が周囲へと散らばった‼︎



◇◇◇◇



 ターーンタラララーーン……


 またも、曲調が変わる。

飛び散った氷の粒と水蒸気で視界は(もや)っているが、冷静に俺は真上を見上げる。


 パラパラッ……パラッ……


 俺が直前まで隠れていた氷山は、一部の残骸のみになり、ほぼ大破していた。


 ………………


 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 死ぬって‼︎ 

マジで‼︎ 木っ端微塵な0.5秒前だよ‼︎


 俺は咄嗟に氷海を掘り下げ、海抜地点へ隠れたのだ。

ギリギリギリセーフ!

本当、危なかったぁぁぁっ……。


 ぽたっ……


 俺が隠れてた氷山……もはや山と呼べないそれから、とろりとした雫が垂れてきた。

周囲を見るとバニラ色の液体があちこちに付着している。


 ⁇⁇


 あ! 

……あいつ、氷の羽根じゃなくて、バニラアイスの羽根を飛ばしてきたんだな。

しかもめっちゃ怒ってたから、体温上昇してたんだろう……高温のバニラアイス弾となって撒き散らしやがったのか!

氷山があちこち溶けている……。


 はっ! 二人は⁉︎


 ばっ、と後方を振り返る!

バニラ鳥は俺狙いだったから、ソラさんの氷山まで攻撃は届いていないようだ。

良かったぁ……。


 そういえば、世の中にはアイスの天麩羅(てんぷら)があるって聞いたことあるけど……あれって熱いの? 冷たいの⁇

社長なら知ってそうだな……と、本当にどうでもいいことが頭に浮かんだ。

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