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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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ディーラー

 クラシック音楽『白鳥の湖』に乗って、優雅にスケートを滑るバニラアイス製のラスボス。

……ん? これはもしや反撃チャンスか⁉︎


「これでもくらいやがれっ!」


 バッ!


 氷山の陰から素早く飛び出し、横を向いている白鳥に照準を絞り、引き金をひく!


 ズドォォンッ! 


 ロケットランチャーをぶっ放す!

発射の衝撃で後方へと強く振られ、俺のスパイクが氷上に食い込む。

ぐっ、踏ん張れ‼︎


 だが、そう簡単に討ち取らせてはもらえない。


 ぶわさっ! カキーーンッ!


 大きな翼を広げて……一振り!

冷気の風を巻き起こし、弾丸は一瞬で凍りつく!

そのまま素直に重力に従い、地面に落下。


 ゴトン……


「くそっ!」 


 すぐに、近くの氷山の陰に身を潜める。


 ざっと見渡すと……なるほど、飛んできた氷の羽根が積もり凍ってこの氷山は出来ているのか。

中心から円を描くような等間隔、規則正しい配置で氷山が出来ている印象だ。


 しかし、あいつの氷の羽根……攻撃範囲が広域すぎるだろ⁉︎

どうしても距離を取らざるを得ない状況下での反撃は隙を与えて、避けられてしまう。


 ドヤ顔しながらスイスイ〜ッと滑るスケート姿のもっちり白鳥……なんか腹立つ!

どうせ俺は滑れないですよ‼︎


 ちらりと上空に目を遣ると、カラフルな風船を足に掴んだカモメが優雅に飛行している。

ゴーグル画面上の数字は1だから、敵ではない……モブ?

……もしかして、あの風船……割れたらかき氷シロップが降り注ぐんかな?

あ、あっちのカモメが重そうに運んでいる粒餡(つぶあん)団子みたいなやつが、宇治金時の小豆?


 しかし……どうする?


 曲がクラシック調の時はあのスピン攻撃はこないが、こちらの攻撃は防がれてしまう。

ロック調の時は、防御で精一杯だ。


 後方のウルエさんに視線を送る。

……ソラさんを凍らせられたから、てっきりウルエさん創造主チート、氷属性! ……とかって、発動できるかと思ったのにな。

ちっ、残念。


 ソラさんを止めたいと願い、彼女の自殺行為を妨害する『敵』になった瞬間、ウルエさんはプレイヤー側ではなく、この世界の提供、ディーラー側へと立場を変えた。

……だからその時は、氷山に彼女を閉じ込めることが出来たんだそう。

今はまた、プレイヤーとして最終ステージに参加しているから、あの時のような能力は無いのだと。


 白鳥に勝つには……ソラさんが無事救出されて、三対一の構図にならないと厳しそうだな。


 スイスイ〜ッと、うっとりと滑るナルシスト白鳥……おっと!

こちらに背を向けた一瞬の隙に、俺は全力で走る‼︎


 ダダダダダッ! つるん! ズサーーッ‼︎


 氷上スライディングし、ささっと隠れる。

けして、転んだわけじゃない。断じて、ない。

……ははっ、脇腹が痛いぜ!


 敵の目を盗み盗み、ソラさんの氷山から真逆の方向へと氷山一つ分ずつ、移動し、着々と距離を取る。


 音楽がロックに変調するタイミングで、ウルエさんのチェーンソーが唸り出すはず。


 ソラさんを救うのに、あと何ターンかかる?

持ち堪えろよ……俺。

ぎゅっと武器を強く抱き締めた。


 ジャーーン‼︎


 そして、また曲調が変わり出した!

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