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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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未攻略エリア

 ジャーーンッ‼︎


「んんっ⁉︎」


 なんだ⁉︎

いきなり曲調がクラシック調からロック調に変わる!

速度も急激にハイスピード……創造主メルヘン好きなウルエさん、実は意外と激しめな音楽もお好きなの⁉︎


 ひゅうぅぅぅっ……


 今度は何処からか急に冷たい風が吹いてきた。


 ざわっと身体の中心が……なにやら(うごめ)く?

……あぁ、胸騒ぎってよく言うけど、これのこと? 

 よく見ると俺の視界ギリギリ、まだ少し遠くにいるぽっちゃり白鳥がスケート靴でくるくる回転を始めていた。


 曲に合わせるかのごとく、どんどん回転数を上げ……


 ひゅん!


 風切り音と共に、何かが俺を(かす)めて後方へ飛び去る!

右の(ひたい)を液体がつーっと伝う感触。

そっと触ると、グローブに何かのシミ? 黒い布地だから色が分からなかったが……視線を掌からずらして、真下の地面を見ると……歪な赤い水玉模様で氷が染まっている⁉︎


 血か⁉︎ 俺の⁇

額が切れたか? 一体、何が起きた⁉︎

……はっ! ライフポイントは⁉︎


 ゴーグル内の画面、ハートマーク3つは健在。

今の傷はノーカウントのようだ。


 無意識に、俺は真横の氷山の陰へと飛び込み、出来るだけ小さくなった……コンマ数秒後……


 ガガガガガガガガガガガガガガガッ‼︎‼︎


 けたたましい音と共に、背面の氷山がガンガン削れていく‼︎

下手くそなマシンガンの乱れ撃ち⁉︎

いや、あいつは何も持っていなかったぞ⁉︎

回転の遠心力で……何かを飛ばしてきてるのか‼︎


 俺とは反対側の氷山の陰には、同じようにウルエさんが小さくなって息を潜めている。

俺に向かって、両手を合わせて『ごめんね』のポーズ……。


 ………………


 いやいやいや、そんな可愛いらしいごめんじゃすまないレベルの敵ですよ!

このラスボスやばいでしょ⁉︎ 猟奇的なスワン⁇

……そりゃ、ウルエさんが前回、瞬殺されたってのも頷ける。


 この最終ステージ『冬の海』は、二人ともまだ攻略してないNEWステージだったらしい。

だから、前情報が全然無かったのだ。


 ソラさんを凍らせた直後、ウルエさんが何者かわからない敵の攻撃を受け、気づけば死亡(ゲームオーバー)していた……と。

まさか白鳥だったとは……。

彼女は創造主だけど、この異世界の増築は生成AIに指示するような形をとるのかもしれない。


 ……しかし……現実世界で既に亡くなっているウルエさんだから、こうして何食わぬ顔でけろっと復活しているけど……生身の俺とソラさんがもし喰らったら……異世界へようこそ、と迎えられてしまう! ウエルカム反対!


「ハルちゃん! あいつは……恐らく曲に合わせて氷の羽根を飛ばしてきてるはず!」

「氷の……羽根⁉︎」


 思わず大きな声で聞き返す!


 やつの攻撃が、道路工事並みの騒音でウルエさんの言葉が聞き取りにくい!


 っつうか羽根って⁉︎ 

もっとひらひらとか、ふわふわとか……柔らか系オノマトペの代名詞でしょ⁉︎


 はっ!


 頭上の氷山を振り返ると、中腹がだいぶ削れてしまっている。

そのてっぺん、巨大な氷塊がやじろべえ状態でぐらついているのが目に入った……やばいっ‼︎


 だっ!  


 慌てて、白鳥から死角になる別な氷山の陰に逃げ込む!


 次の瞬間、予想通り、上から氷ブロックが落下‼︎


 ずどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん‼︎


 今しがた俺がしゃがんでた位置に、狙ったように落ち、砕け散った……。


 ………………


 ふっと氷山に映った俺の顔……ブルーハワイ並みに真っ青!


 いつの間にか、BGMはゆったりとした最初の優雅なクラシック調へと戻っていた……。

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