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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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最終ステージ用装備

 すぽっ! とんとん……


 雲上用ふわふわムートンブーツから、氷上用スノーブーツへと履き替えた。

ブーツも用途が違えば履き心地が全然違う。

……と言っても元々、一足のスニーカーをボロボロになるまで履き潰すから、ブーツを履く習慣が俺にはまるでない。


 これ、意外と足が疲れるんだよな……明日、絶対に筋肉痛……いやまぁ、足だけじゃなく、全身か。

今回結構、体張ってるからな。

筋肉だけじゃなく、骨もイカれてるはず。

……よろっよろの身体で病院通うのか……嫌だな。


「はぁ……」


 思わず溜息が漏れた。


 ドームテントから一歩、外へと足を踏み出す。

靴裏のアイススパイクが、ツルツルの氷面をしっかりと捉える。


 ジャリッ!


 スパイク部分は硬めのチョコチップかな? 


 ……いよいよ最終ステージ『冬の海』の始まりで……このウルエさんの異世界の……終わりが近い。

終わらせなければ、鏡には辿り着けないし、俺は帰れない。

……俺は現実に戻るんだ、ソラさんを連れて……。


「ねぇ、ハルちゃん、歩き心地はどう?」


 スイーーッ! キュッ!


 滑らかな動きで彼女はドームテントから出てくる……あら、氷上の妖精さん⁉︎

フィギュアスケートの選手の様に華麗でエレガント!


……でも最終ステージ開始したら、スピードスケーターさながらの猛烈スタートダッシュをかますんでしょ?


「ハルちゃんもスケート出来たら良かったのに……」

「すんません、俺はこっちの靴で頑張ります」


 ウルエさんからは機動性が高いスケート靴の方を勧められたが断った。

俺は生まれてこのかた、スケートをやったことが無い! 未経験だ。


 博打(ばくち)で履いてみて、もしも氷上プルプル産まれたてな子鹿ちゃんになっちまったら、撃ち取られて即ゲームオーバーだ。

……そんな不確実な選択、俺には出来ない。


「ここの敵は1体。それが……まあ、強いんだよね〜〜。ハルちゃん……私がソラを氷から出すまでの間、どうか持ち堪えて欲しい。お願いします」


 ウルエさんが深々と頭を下げた。


「やりますよ。でも……強いって……ちなみにどんな感じで?」


 自信はないが、やるしかない。


 ウルエさんは、少し考えて答える。


「とりあえず……相手の攻撃が当たちゃったら、即、死亡(ゲームオーバー)……かな?」


 ………………


「な、なんでそんな恐ろしいもん創ったんですかーーーー⁉︎」


 かーー、かーー、かーー……


 俺の叫びが、虚しくかき氷山連峰にこだましたのだった。

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