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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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親友

 広大な氷の海が広がるが、連なるかき氷山が邪魔をして、水平線はここからじゃあまりよく見えない。


 どうやってこれだけ異世界を大きくしたんだ?

ウルエさんがまだ若いからか?

……ん? 

けして、この前のマサさんが若くないって言ってるわけじゃないよ? うん。


 ただ、異世界だってエネルギーは無限じゃない。

循環型だとしても、補給しなければいずれ底をつく。


「ウルエさん……この世界って、いきなりこんなスケールでっかかったんですか?」


 素朴な疑問を投げかけた。

彼女の魂のエネルギーが創り上げた異世界。


 氷山に手を添えたまま、彼女はこちらを振り返る。


「全然、違うよ? 最初は本当にごくふっつーーなお部屋。友達を招いてお喋りするって感じ?」


……ウルエの部屋⁉︎

ルールル ルルル ルールル……ってか?

そして……友達……。


 俺はちらりと、氷山のソラさんを見る。


「でも、この世界のお茶菓子は出せないでしょ?」

黄泉竈食(よもつへぐい)……か」


 マサさんの異世界から戻ってきて、『事故物件』『異世界』ってネットで検索かけていたら、ネットサーフィンの波に乗って偶然、『古事記』の一節を目にした。


 ……まぁ、予想通り。

異世界の食べ物は、決して食べてはいけない……現実世界に戻って来れなくなるから……。


 カチャッ……


 ふいに俺の額でゴーグルが揺れた。


 あぁ……なんでマスクが出てくるのか、理解した。

お菓子弾や撃破した対象の破片が、間違って口に入ってしまわない為のウルエさんの気遣い……本当に優しい。


「だからいつも、ソラがこっち遊び来る時、お菓子とかジュース持ってきてくれてさ。新商品が出たりすると二人で一緒に食べて、くだらないこと話したりして……」


 お菓子……ジュース……。

異世界持ち込みオッケーって、カラオケかよ!?


 ………………


 えーーっと……つまり、現実の美味しい物達が、この異世界拡張のエネルギー源か?


 ……そのせいで、敵があんなに強くなってんのかよ⁉︎

俺の可哀想な脇腹よ……う〜ん。

なんとも複雑な気持ちだ。


「とりあえず、装備を……ドームテントに移動しよっ」

「は、はいっ!」


 後ろ髪引かれる様に氷山を見遣りながら、ウルエさんは俺を促した。



◇◇◇◇



 案内されたのは氷海上のドームテント……もちろんアイスクリームで出来ている……たぶん。

……俺には、アイスクリームもアイスミルクもラクトアイスも氷菓も……違いの説明は出来かねる!

ちょっと、誰か解説して!


 ぐぐっ……カキンッ! 


 凍った棺のような箱……シャーベット製かな? 

凍りついたカチコチの蓋を力技で開けるウルエさん。


「ソラを助け出して……向こうに帰すんだ……もう、私に関わらないように……あの子は昔から無茶するから……」

「……元々知り合いだったんですね?」


 ピタッ!


 武器箱の中の一点を見つめるように、彼女が動きを止めた。


「うん……そうだよ。私達は……中学からの……親友だよ」


 6年前、俺と同じ19歳で亡くなった……生きていれば、25歳だったウルエさん……ソラさんも同い年。


「ソラは……あの部屋に……私を探しに、引っ越して来たんだよ」

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