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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー7 

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おくる言葉

 真っ二つに割れた雪だるまの中から、(まばゆ)い光がぱあーーっと溢れ出す!


 魔王の身体は光の粒子(ドット)へと変わり、キラキラと空へと向かう。


「全て終わりましたね……マサさん」

「あぁ……」


 剣を地面に突き立て、魔王城の高い天井を仰ぐおっさん勇者。


 しゅぅぅぅぅっ……


 光が収束していき、そして、消えた。


 しーーん。


 ………………


「ん?」

「な、何も……起きないね?」


 ………………


「はぁぁぁぁ? 嘘だろぉぉぉ⁉︎」


 魔王倒したのに? 異世界消えないじゃん⁉︎

どおすんだよぉぉぉぉぉ⁉︎

大見栄切って、各方面で格好つけてきちゃったよ⁉︎

この世界を終わらせます、ってさ! 

えっ、恥ずっ‼︎


 あああああああーーっ!


「ハル様……?」


 頭を抱える俺をチャルが不安そうな顔で見上げてくる。


 ……動揺を悟られてはならない。

うん、話を切り替えよう。


 くるりと振り返り、マサさんに頭を下げる。


「な、何?」

「とりあえず、魔王退治……お疲れ様でした。素晴らしい斬撃、いいお仕事されましたね」

「えっ? あ……ありがとう」


 思いがけない俺の言葉に、マサさんの声が裏返る。


 ぱちぱちぱちぱちっ……


 俺達を囲うように、子供達が小さな手で拍手を始めた。


「マサさん、お疲れ様!」

「ラストのアレ、かっこよかったぜ!」

「魔王倒すなんて、マジすげえ!」

「俺の雪だるまバディのお陰だな」

「ぷるんぷーー‼︎」


「み、皆……うっうっくっうっ……うぉぉぉぉっん」


 声を上げて、マサさんがボロボロと漢泣き!

鼻水流れ出ちゃってるけど、もう心から泣いてスッキリしちゃって下さい。

泣き終わったら、次の対策を立てましょう、早急に!


「くっふっふぅっ……ぐすっ……」


「ん、おい、ハル?」

「ぶつぶつぶつ……な、なんだ、フィング?」

「あれ……」


 フィングの指差す方を見ると、マサさんの身体が……黄金色に光り輝き始めている⁉︎


「えっと……これって、つまり?」

「たぶん……えっと……あ! 成仏?」


 細かい粒子へと彼の身体が徐々に変化していく。


 マサさんの魂が本当に望んでいたのは……復讐じゃなくって……ただ、誰かに認めて欲しかった……のかな? 

これが……魂の解放?


 子供の時はご飯を全部平らげただけで偉いね、と褒められるのに、大人になればなるほど、叱責の方が増えていく。

 

 何でも、出来て当たり前。

誰も褒めてなんかくれやしない。

頑張って仕事を仕上げても、小言を言われて、次の仕事を押し付けられる。

そんな毎日の繰り返し。


 『囚われた荊の檻からどうか姫様をお救いください。』

……そう『がいど』は言っていた。


 最期は、子供達の純粋な声が彼の魂を救ったのか……。


「チャル、ユルファ、フィング、JJ、メーさん!」


 皆を順番に思いっきり撫でてから、全員で深々と頭を下げる。


「せーの!」

「「「「「お疲れ様でした‼︎」」」」」

「皆……本当にありがとう!」


 そう言って、創造主マサさんは泣きながら、静かに空間へと光り消えた……。




 ………………




 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ‼︎


 突如、轟音と共に異世界の壁がボロボロと崩壊し始める!


「始まったか……」


 振り向くと、子供らの身体が眩く光る!


「なっ⁉︎」


 予想はしてたけど、ちょっと急展開過ぎるだろ⁉︎

別れの挨拶もさせてくれないのかよ‼︎

くそっ! 残酷すぎる‼︎


『『『『ひめさまをすくってくれてほんとうにありがとうございました。どうかもとのせかいへおもどりください……』』』』


 『がいど』の口調で話す子供達。

……そこにはさっきまで明るく話していた皆の感情など、一欠片も篭ってはいない。


 作り物の笑顔を浮かべた後、深々と頭を下げた姿勢のまま、少しずつ粒子となり……順に消えていく。


「……何だよ、それ? 終了プログラムか? ……笑って消えてくんじゃねぇよ‼︎ くっそーーっ‼︎」


 勝手にボロボロと溢れ出てきた涙はそのままに、キョロキョロ辺りを見回すと、玉座の裏に微かに光るものを見つけ、俺は必死に階段を駆け上る‼︎


「あった! 鏡だっ‼︎」


 パーカーのポケットに手を突っ込み、俺の鏡を取り出す!


 カチャンッ!


「……はぁ?」


 メイド事務員ちゃんにもらった鏡は、鏡面が見事なまでに粉々に砕けていた……。


 あっ! 

魔王の一撃で吹っ飛ばされた時に割れたのか⁉︎


 ………………


「マジかよ、おいっ‼︎ 帰れねぇぞーー‼︎」

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