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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー7 

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同期

 そこに静かに立っていたのはスーツ姿の男性。

ただ、俺が知っている、CMで見た顔よりも皺の少ない……若い頃のセキュリティソフト会社社長……の姿をした魔王。


 ……あぁ、自分で立てたフラグを回収しちまった。

つるんとシンプル。

だけどこれ、一番強いんだろ?

……まぁ、第二形態の強さはイマイチよくわからんかったがな。


 スーツ姿の社長を見て、隣の勇者マサさんが今度はガタガタと震え出した。

現実に近い敵の姿はトラウマを引き出したか?

一番精神的なダメージがでかそうだ。


「大丈夫ですか?」

「あぁ、だ、大丈夫だ。……実は……同期入社だったんだよ、俺達……。俺は技術部、アイツは営業部。あれよあれよと出世していって……今じゃアイツは社長だ」


 マサさんの脳内、色々な思い出が駆け巡っているのか、(うつむ)きながらも目が泳いでいる。


 ぎゅぅっと手に『倒魔の剣』を握り締めているが……まずいな。


 人間の姿の魔王。

いくら憎んでいるとはいえ、人間を斬り殺すという行為は、善良な市民にとって抵抗感が非常に強い。


 殺しづらい姿で第三形態か……。

しかも若い頃の姿……ってことは、まだパワハラ発動してない頃、同期として仲良かった時期なんじゃないのか?


 マサさん……あんた、剣でこの男を斬り殺せるのか?


「マサ」


 魔王が静かに口を開いて、勇者の名を呼ぶ。


「……ユースケ」


 勇者もまた魔王の名を呼び返す。


「いつもお前には助けられてばっかだな」

「……」


 マサさんの記憶を再上映しているのだろう。


 はにかみながら笑う男、世渡りはこの頃からすでに上手かったのかもしれない。

昇進するに従い、少しずつ大切な何かを失って、部下を駒として扱う魔物(モンスター)社長へと変貌していったのだろう。


 魔王社長ユースケさん vs 社畜勇者マサさん


「大丈夫。お前は俺の言う通りにしてたら、絶対間違いないってーー」

「⁉︎」


 笑いながらそう言う魔王の言葉を聞き、マサさんは、ぎりっと歯を食いしばる!


 若い頃の友人の台詞……素直に聞いていた己を恥じるように、彼は剣を目の前に構えた。


「俺を殺す気かい?」


 そう魔王は首を傾げて問いかけた。

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