第二形態
進化……見た目からすると第二形態って呼ぶのが丁度いい感じだな。
……やめてよ?
第三形態で全て削ぎ落としてつるんとシンプルな魔王様に変身とか……フラグ?
いえいえ、そんなつもりは……。
「この姿を引き出したこと、褒めてやろう」
「嬉しくねぇな」
マサさんが苦々しく吐き捨てる。
第一形態みたいに簡単にはいかないって、全身が物語っているな……でも、とりあえず試してみるか。
「ユルファ! フィング! 『光』の魔法陣で最大級の攻撃を‼︎」
「「おう‼︎」」
ドォォォォォォンッ‼︎
二人が馬鹿でかい光線を放つ‼︎
『魔』に対抗するには『光』を……って安直すぎ?
スパァーーンッ‼︎
「くっ! 防御魔法陣か⁉︎」
魔王を丸く覆うように張られている。
魔法は効かない……物理攻撃でタコ殴りも難しいだろうな……さて、じゃあ何の攻撃が届くというんだ⁉︎
「くそっ! 現実と、同じで汚ねえ野郎だな! 会社もろとも潰れちまえばいいのに……」
グサッ!
「うぐっ‼︎」
………………
……えっ? 何? 今の?
まさか……刺さったの?
ダメージ喰らっているの⁇
『攻撃』ならぬ『口撃』なら届くって、そんなバカな⁉︎
ま、まぁ、マサさんの記憶から生み出された魔王様だからね。
弱点……ってことなんだろうか?
……パワハラ上司、実は意外と小心者⁉︎
半信半疑で『どうぐ なべ』から『拡声器』の魔法陣を錬成。
マサさんの目の前に展開!
「……正論は魔王にとって、聖なる悪口攻撃となるでしょう」
「ええーーっ? マジ?」
マサさんも疑いの目を俺に向けつつも、声を張る!
「おたくの会社SNSで炎上してたよーー?」
「残業代払えーー!」
「お客様からクレームです! いかが致しましょうーー⁉︎」
マサさんの思いつく、社長が言われたら嫌がる言葉を手当たり次第に放つ!
「や、やめろぉ、うぐあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
断末魔の叫びと共に、黒い巨体の内側から、四方へ光が溢れ出る!
……えっ? 第二形態、倒したの?
これでいいの異世界? ふざけてる? ねぇ、大丈夫?
しゅぅぅぅぅぅっっ……
光が徐々に収束し、砂埃が舞い落ちた中央……そこには、第三形態へと姿を変えた魔王が現れた。




