裏ボス
「今日、全てが終わる。お前ら覚悟はいいか⁉︎」
気合いを入れた雪だるまが、偉そうに砂浜でふんぞり返って宣っている。
威張ってるけど、『冷凍庫』の魔法陣無きゃ、お前とっくにトロトロだぞ?
結局、全員が魔王城リプレイについて来ることになったのだ。
折角、故郷に帰してやろうと思ったのに、誰も俺の言うことを聞かない。……何故⁉︎
……まぁ、どいつがこの異世界の何をどこまで把握していようが、いまいが、もういまさらどうでもいい。
考えるのも面倒くさい。
魔王を倒して、さっさと終わりにしよう。
俺はコマンドを開き『どうぐ ちず』から『魔王城』を選択した。
ひゅーーん!
白砂の海岸から、見覚えのある閉塞した広間へと移動。
勇者があの日、大暴れした『謁見の間』へ降り立った……瞬間、漆黒の光線が走り、JJの首が吹っ飛んだ。
ごとんっ
ゴロゴロと頭はボロい赤絨毯の上を転がり、すぐに溶け始める。
………………
「は?」
一瞬、何が起きたか分からなかった。
「ハル君!」
「はっ、JJーー‼︎」
マサさんの呼び声で我に帰り、俺は残された胴体に向かって叫ぶ‼︎
無意味……もう遅いのに……。
もぞもぞっ……ぴょこん!
………………
「ん? 動いた?」
よく見ると、雪だるまの胴体の上に少年の顔が乗っている……いや、あの雪だるま頭はやはり被り物だったらしい。
「うおっ、今のはヤバかった!」
亀の様に本体の首を引っ込めたのか?
……やっぱり中身あるじゃねぇか! あぁ良かった‼︎
安堵と同時に即、『盾』の魔法陣を最大級に展開‼︎
ドドドドドドドドドドッ‼︎‼︎
降り注ぐ雨のような光線の攻撃‼︎
かろうじて防ぐので精一杯‼︎
「くそっ、どうなってんだ⁉︎」
「ハル様! 荊の檻が‼︎」
チャルの声で見上げると、檻は半壊し、中身は空っぽ。
閉じ込めていたはずの魔王はすっかり元通り……いや、それ以上にパワーアップして、俺達の前に立ちはだかってきたのだ‼︎
黒い巨体、サイズは前回の二倍はあるだろうか?
気持ちの悪い羽が背中に追加され、頭の角も雄々しく空へと伸びている。
「うわーー、大誤算……」
やっちまった……。
RPGでクリアした後、二周目突入すると、敵が急にむちゃくちゃ強くなっている、アレか⁉︎
バカンスを選択したことで、魔王様は裏ボス魔王様(超強い)に進化しちまったみたいだな。




