異世界二周目!
ガチャン!
「しばらく大人しくしてて下さい」
虫の息な魔王様を荊の檻の中へぶち込み、しっかりと頑丈な新しい『鍵』……の魔法陣を仕掛けた。
錬成したて、ほやほや。
おっさん勇者から『倒魔の剣』を預かり、コマンド内に一度戻す。
「……た、倒さないのか?」
「ん〜、一、二、三、……五日後に倒す予定でいきましょうか?」
「⁇⁇」
俺が指折り数えるのを、不思議そうに眺める。
「さて」
子どもらの『安眠』の魔法陣を解除。
「ふわぁぁぁ。あ! ハル様、おはよう」
「……おい、ハル。どうなってんだ?」
「姫様(?)は解放できた……みたいだけど、魔王は?」
「俺の顔が……」
「ぷるんぷー?」
目覚めると同時にそれぞれが勝手に話し出す……あっ、JJの顔を直すの忘れてた!
ごめん、後でやるわ。
「お前ら……と・り・あ・え・ず……異世界二周目を遊ぶぞーー‼︎」
「「「「「⁇⁇」」」」」
全員の頭上に綺麗にハテナマークが浮かんだと同時に右肩を叩いてコマンド『どうぐ ちず』から、『獣族の村』を選択!
ひゅーーん!
一瞬で、俺達はどろどろ空気の悪い『魔王城』から、のんびりほんわか『獣族の村』へと瞬間移動!
あぁ〜、空気が澄んでて気持ちいい‼︎
「えっと……ハル君……かな? これはいったいどういう……?」
「ろくに取れてなかっただろう、人生最期の有給消化……って感じでしょうか?」
「⁇」
まだ、俺の意図することは分かっていないようだ。
「そういえば、貴方のことはなんて呼べばいいですか?」
心の中で、綾瀬(仮)さんとか、おっさん姫とか結構色々、失礼なあだ名で呼びました、俺。
「あっ、えっと……じゃあマサって呼んで下さい」
ぺこりと丁寧なお辞儀に、俺もつられて返す。
「マサさん、就職してからお休みの日に遊ぶことってなかなか、なかったんじゃないですか? せっかくだから……満喫してから、逝きませんか?」
そう、俺は提案したのだった。




