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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー7 

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姫?

 ここは綾瀬(仮)さんが創造主の異世界だ。


 最初から、なんだか違和感はあった。

某動物スローライフなほのぼの世界(ワールド)を彼が望んでいたのなら、俺が『冒険初心者』である必要はない。

ただの新人の『村人』でいいのだ。

この世界全部を『獣族の村』拡大版として、穏やかに暮らせば良いだけの話。


 だから、違う。

この世界は……舞台(ステージ)だ。


 彼が生きてきた現実で叶わなかった願いをこの世界で叶える……その為には、同じ状況を作り出す必要があった。


 もちろん、本人が意図してやったわけじゃ無い、無意識……魂のエネルギーによる構築。

それがたまたま、ゲームのRPGの世界観に類似しただけ。


 舞台は整い、そして、待った。


 だが、魔王城で待てども待てども……誰も助けには来なかった……。


 皆が幸せそうに暮らしてるのに……どうして自分だけ……救われない?


 それは死ぬ前の現実世界と何ら変わらない、苦しみの世界。

……そして、時は流れた。



「……ずっと……あんたは誰かに、助けて欲しかったんだよな?」


 檻の外から、中へと呼びかける。

涙で顔がぐしゃぐしゃになったおっさん……綾瀬(仮)さんは、こくんと頷いた。


 転生者と同じで言葉は話せないのか?

……それとも240年泣き声を上げるのみで、言葉を忘れたか。


 ガチャリ……


 右手で掴んでいた『女王様の鍵』は、見事に荊の檻の錠前を開けた。


 ひゅるん、すたっ!


 『粘着』をしまい、一足先に広間へ降り立つ俺。


 その後から眩い光と共に、おっさん姫様がふわりと地面に舞い降りる。


 暫くぶりの立位はふらつくのか? 

運動不足だな。


「魔王が言った通りなら『冒険者』の俺に、アイツは倒せねぇ……」

「⁉︎」


「だから……ほらよっ‼︎」


 左脇に抱えていた氷竜さんから摘出した『倒魔の剣』……その鞘を握り、思い切り近距離でぶん投げた‼︎


 がつんっ‼︎


「あ、すんません」

「⁉︎」


 おっさん姫の顔面ナイスキャッチ‼︎

顔の中央に赤い痕が付く。


「俺はただの『冒険者』……この世界の『勇者』はあんただろ? 姫様」

「‼︎」


 登場人物が足りなかったが、今、ここで揃ったのだ。

『勇者姫』が自らの手で魔王を倒さなければ、この異世界に決着がつかない。


「戦え。そして勝ち取れよ。あんたの魂はあんた自身の手で救うんだよ」


 知りもしない誰かに命運を(ゆだ)ねるのではない、確実に己のエンディングを見るために……。

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