釣ったどーー!
ぼごぼごぼごぼごっ!
水中から大きな気泡が大量に上がってきている。
異常な強い引き! これは大物の予感‼︎
双子が慌てて、固定していた釣り竿に飛び付く。
口の端からは食べかけなタコの足がちょろりと出てても気にするな!
「やべぇ! 持ってかれてたまるか‼︎」
「うぉぉぉっ! させるかよぉぉぉ‼︎」
二人が踏ん張っても、圧倒的に劣勢。
そりゃそうだよ、腕力は子供な魔法使い。
……だからこういう時こそ魔法使えよぉぉっ‼︎
「皆! 手伝え!」
「オッケー‼︎」
「ふははは、我が力をとくと見るがいい!」
チャルとJJが加わっても、まだまだ全然甘いな。
俺は援護で魔法陣を展開‼︎
あくまで最小の『雷』を限定的に落とす!
魔物を殺してしまっては、釣る意味がない。
ガラガラドーーンッッ!
見事、感電した魔物は気を失い、巨大な水柱を上げ、砂浜へ釣り上げられた。
……うおぉ、でけぇっ‼︎
ザッバーーーーンッ‼︎
「いやぁぁぁぁ! 海水がぁぁぁぁ‼︎」
チャルが全身を振り、ブルブルと水を弾き飛ばす。濡れ猫……水嫌いなんだな。
その飛んできた水滴のせいで、JJの胴体には無数の凹み……水玉柄の雪だるま?
ユルファとフィングは……あ、また喧嘩勃発。
お決まりの展開、どちらの手柄かで揉め始めた。
はいはい、二人とも偉い偉い。
目を回して気絶する巨大な魔物へ近づき、見上げる。
氷竜さんほどでは無いが中々の巨体。
「ザラタンだ!」
「ザラタン?」
「大海亀の魔物だよ。」
チャルがぱぱっと教えてくれる。
賢者JJは自分が教えたかったみたいで、後ろで地団駄を踏んでいる。
よくよく見ると……なるほど、確かに亀だな。
後ろに大きな甲羅を背負っているよう。
デカ過ぎると俯瞰で見れないから何の魔物かが分かりづらいな。
硬そうな口が僅かに開いていて、その中へと釣り糸が続く。
釣り針はまだ口の中か、取ってやるかな。
両手と足を引っかけ、ザラタンの口をゆっくりこじ開けると……ん?
「メーさぁぁぁぁぁん⁉︎⁉︎」
ぷすぷすと煙を上げ、気を失ったメタリックな魔物がザラタンの口の中に‼︎
気絶してるのか? 雷撃ごめんね……。
そうか……メーさんを餌にして、双子が大物を釣り上げたのか……ちょっと我が子を甘やかしすぎだよ、親父さん。
エルフ兄弟があれだけ自由なの、なんとなく分かってきた気がするな……。
………………
「ま、いっか」
魔物達が目を覚ますまで、俺らはしばし釣り大会からのバーベキュー大会を楽しむのであった。




