お別れ
翌朝、薄灰色の雪空が遠くまで広がっている。
「よっしゃーー‼︎ お前ら魔王退治に行くぞーー‼︎」
JJには昨晩錬成した『冷凍庫』の魔法陣をぺたりと貼り付けた。
悩んだ末、ど直球。
ドライアイスより長時間フルパワー、常にキンキンにしておくぞ。
「仕切ってんじゃねぇぞ、ったく。ふぁ〜〜っ……」
大きい欠伸、くそ、少し眠いな……。
腹はまだ減らないけど、疲労感は溜まっていくのだろう、脳味噌が俺を眠らせにかかってくる……この異世界に少しずつ身体が慣れ始めているのか? それは困る。
昨日あの後、氷竜さんと青兎さんの二人の名前を聞き出すのにジェスチャー超カルトクイズとなり、結局、夜遅くなっちまった……。
びゅおおおおおおおおっ‼︎
「ぴぎゃぁぁぁぁ‼︎」
「うおぉ、早えぇーー!」
「すげぇ、早えぇーー!」
「ふははは、これが神の視点かーー‼︎」
「ぷるぅん!」
チャル以外はめっちゃ大喜びで氷竜さん、いやトモユキさんの背中で雪原の果てへと運ばれていく。
高速ジェットだ!
おぉっ、雪が後方へ流れていく‼︎
あっ、青兎さん……ハヤトさんが超びびって震えているなぁ。
端っこすぎて落ちないでよ?
雪の大地から一歩踏み出せば、さらさらの砂の道が広がる。
「ありがとうございます」
ここで最期のお別れ。
深々とお互いに頭を下げる。
先輩方、お会いできて良かったです。
「行ってきまーーす‼︎」
お二人に別れを告げ、俺達は雪山脈を後にした。
向かうは魔王城……そして、すぐ目の前に広がる光景に俺は茫然と立ち尽くすのだった。




