疑いながら進もう。
「あぁ……鍵四本集めたんだ。……ふぅん、良かったじゃないか」
自分の鍵を取られたからか、もう、何もかんもどうでもいい感がだだ漏れの女王様。
せっかくの美人が不貞腐れながら、足でぐりぐりと雪をほじくっている。
「妾、もう……帰るわ」
ぽんっと、女王様は可愛いらしい雪兎の姿へと戻り、やる気を無くした雪兎軍団は、とぼとぼと雪山へと帰っていった。
……青兎さん一匹だけを残して。
全知全能ではない人間の記憶から作り出された異世界は、群衆と主要が自由に動き回っている、かのように見える。
だが、無秩序的かと思いきや、法則的な部分も見え隠れ。
何かの意図が働いているのか?
それは……どこへ向かいたいのだろうか?
疑いながら、進もう。
手の内の四本の鍵をぐっと握りしめ、剣と共に『どうぐ』へ、そっと仕舞った。
「ハル!」
振り返ると、JJが意を決したように立っている。
「断る」
「おぉぉぉぉぉぉぉい‼︎ まだ何も言ってねぇーーよーー‼︎」
俺の即答で雪だるまが号泣。
中身が泣いてるせいで、顔がちょっと溶け崩れてる。
「……どうせ『自分も連れてけ!』って言うんだろ?」
全くしょうがねぇな……。
「おい、どうするーー?」
チャル達を振り返る。
三人の顔はJJを受け入れ態勢万全だ。
魔王を倒す剣と魔王城の鍵四本。
冒険者と武闘家と魔法使い x2 と賢者とメーさんのパーティ。
見ると、青兎さんは氷竜さんの隣にそっと佇んでいる。
……それがいい。
たとえ言葉は発せなくても、理解者がいてくれる、ただそれだけで何より……あと、少しだけどうか待っていて下さい。
黒雲渦巻く魔王城の方角を見上げる。
……あ、向かう前にJJの保冷剤作んなきゃな。
何時間分のドライアイスだ?




