クレーム受付中
俯くJJ……ははぁ、何か言いたそうだな?
「じゃあ、お前の言う『こんなんじゃない冒険者のやり方』ってのはどんなだ?」
いいぜ、不満、聞いてやろうじゃないか。
きっ! と顔を上げたけど、雪だるま顔だからなぁ……それは怒ってる顔なのか?
「前の冒険者は、巨大な火炎魔法で氷竜の身体を溶かして、中心に封印されていた剣を取り出したんだ!」
「うんうん」
「格好だって、ちゃんと鎧で武装していた!」
「……冒険者コスプレ?」
ちらりとリュックの上を見ると、赤くなっているメーさん。
あぁ、照れてるね。
「ハルの格好って、ちょっとそこまで出掛ける感じ……なんか……冒険者を怠けてる!」
「ふんふん……で?」
「で? って……」
俺の返しで、逆にJJが言葉に詰まる。
「なんだ? もう終わりか? もっと他にも俺に対して色々クレームあったんじゃないか? ん?」
「……」
なるほど……厨二病雪だるまは、テンプレ冒険者様をご所望か……残念だったな、ご希望に沿えなくて。
「はぁぁぁぁぁ……」
俺は大きく溜息を吐いてから、続ける。
「……あのなぁ……だいたい、同一条件下で対象を比較しないと、いまいちエビデンスとしては弱いんだよ」
「え、えびでんす?」
「つまりは……他所は他所、うちはうち、そんでもって、俺は俺だ」
「⁇⁇」
「お前の理想を俺に押し付けたところで、どうしょうもねぇ!……ってことだ」
……そういや、俺もよくばあちゃんにも言ってたな『他所は他所、うちはうち、俺は俺』……懐かしい。
いつも俺に『ごめんね』って言ってきたけど、別にばあちゃんに謝ってほしいわけじゃなかった。
……あれは俺の為じゃなく、ばあちゃん自身の為の言霊だ。
ばあちゃんの育て方が悪かったとしても、俺を捨てたそいつの行動責任はそいつ自身にある。
他所ん家みたいには両親が揃ってない、だから何だ?
うちはうちだ、無いものは無い。
そもそも比べる必要性を感じない。
冒険者だって、俺とショータさんでの条件は異なっているので、比べるのは無意味。
ショータさんの時は、氷竜の中心部に剣が封印されていた。
大きな身体を溶かさなきゃ取り出せないだろうから、火炎魔法の判断は最良だろう。
……前冒険者の時と状況が何で違う?
バグか? それとも……。
そしてまた一つ、疑問が浮かんでしまった。
……何故、『勇者』ではないのだろうか?
『冒険者』様……。




