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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー5 

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氷竜

 少し考えてから、俺は『エアコン』の魔法陣をさらに錬成……ちーーん、と完成したのは、掌サイズ朱色の魔法陣。

パーカーの背中に護符のように貼り付け、上空の魔法陣は解除した。


 『エアコン』の魔法陣を展開したまま接近すれば、またJJがでろんでろんに(とろ)けてしまう……それは色々と、非常に面倒くさい。


 単体ごとに温められるよう、『貼るカイロ』の魔法陣に進化させたのだ。

頭から足先までぽっかぽか〜。

メーさんは地肌に直接貼ると火傷の原因になるので、俺から離れないようにしてもらおう。


 あらためて、見上げる。


 雪山のように(そび)えるのは、美しい白銀の竜。

身体に粉雪を(まと)って白く見えたが、鱗は氷で出来ているのか、所々、きらきらと透き通っている。


「マジ、でけぇ……。氷竜(アイスドラゴン)?」


 襲ってくる気配はなく、静かに子供達の相手をしてくれている……されるがままの優しい大型犬のようだ。


 頭の上の角から徐々に視線を少しずつ下げていき、ある一点に視点が留まる。

何よりの違和感……透き通った体躯の中、左脚の爪に、一本の剣が閉じ込められている。


 そうだった……この異世界はこういう世界。

冒険者チートもサクサク進みすぎのイージーモードじゃ、ただのクソゲーだ。


 お目当ての方から近寄ってきてくれるのはありがたい……が、同時に得体の知れない気持ち悪さも湧き上がる。


 姫を救わせて世界を壊したがるプログラムと冒険者の(エネルギー)を静かに取り込み世界を発展させたがるプログラム。


 美しい世界の中に相反する思惑を感じる不気味さ。

……一つの側面で分類(カテゴライズ)することほど愚かなことはない。


「多角的に見る必要がある、か。ぐほぁ!」


 独り言を溢した瞬間に、雪玉がクリティカルヒット。


「ふははははっ! 見たか! 俺の真の実力を‼︎」


 JJがドヤ顔……と(おぼ)しき雪だるま顔でこちらを見ている……っつうか一人雪合戦してんじゃねえよ! 他の奴とも遊べよ!


 厨二病が……てめえの背中に熱々の魔法陣展開して、本体を(さら)してやってもいいんだぞ⁉︎

あぁ?


 はぁはぁ、いかん……落ち着け、俺は大人。


 ふうーーっと溜息を吐いて、心を整える。

苛立ちはぐぐっと、その場で飲み込む……くそ、後で覚えていろよ。


 ……あっ、抑えきれてねぇや。

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