雪遊び
「くたばりやがれぇぇぇぇぇ‼︎」
「てめぇがなぁぁぁぁぁーー‼︎」
今日も安定のユルファとフィングの兄弟喧嘩、雪遊びバージョン。
雪合戦が白熱しすぎて、流れ弾に被弾し撃沈してるチャルとJJ……。
……マジで魔法使いの戦い方じゃねぇな。
「あ〜あ、親の顔が見てみたい」
ちらりとメーさんを見ると、ぷるんと身体を捻って視線を逸らす……目玉ないけどね。
『どうぐ なべ』は出したものの、さて何を錬成しようか、と考えあぐねている状態。
ぼーっと『なべ』を見つめながら、質問する。
「ショー……メーさんが雪山脈攻略の時も、鍵と剣でしたか?」
「ぷる」
そこは変わらないのか。
「で、魔王城の鍵は開けてないんですね?」
「ぷる」
「そうですか」
口元が下を向いているので、たぶん項垂れている……かな?
「別に責めているわけじゃないんですよ? ただ、この世界は絶えず変化を起こしているようなので、いろいろと確認です」
「ぷるるぅ」
「俺も……ちょっと……不安なんですよ?」
「ぷる?」
驚いたようにぷるんと跳ねて、隣に座るメーさん。
「なんか勢いのまま、ここまで来て……食いしん坊とお馬鹿と天邪鬼なお子様達とのパーティって……果たして大丈夫なんだろうかと……」
自分で言っててなんだか情けなくなる……これ、絶対駄目なやつだ。
しかも下手したら厨二病のしもお……じゃなくて、雪だるまも連れてってくれ、とジタバタ駄々を捏ねそうだ。
引率者の責任として、自分が子供達を護らないと……。
たとえ消えてしまう存在だとしても、今こうして楽しそうに動き回るあいつらを傷つけたいわけではない。
「強くならないといけない、な」
そう呟いて、鍋に最大限の『火』の魔法陣を焚べたのだった。
「ハルー! おーい!」
錬成に集中しすぎたか、背後からフィングの呼ぶ声がする。
そろそろ雪合戦も飽きた頃合いか、と雪原を振り返ると、目の前には見上げる程のデカい雪山が出来ていた。
………………
「でかっ‼︎」
思わず声が漏れ出てしまった。
「は? 雪合戦でどうやってこんなもんが出来上がるんだ⁉︎」
よくよく目を凝らす……と……。
「はぁ?」
それは雪山ではなかった。
白銀の鱗を持つ竜。
美しい巨大生物が、犬のお座りの姿勢を取っていたのだ!
そして、竜の尻尾を滑り台にして遊ぶ子供達……。
「えっ? 何がどうしてそうなった?」
と、とりあえず……。
「知らないものと遊んじゃ駄目でしょうがーー!」
そう保護者ワードを繰り出したのだった。




