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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー4 

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見えない壁

 双子が弾き返されたそれは、前触れもなく、そこにいた。

周りの風景に同化しているように見えるが、異質なそれは確実に道を封鎖する形で広がっている……空間?


 大きさでいえば、横8m X 高さ4m程度だろうか?

奥行きは不明。


 雪山脈へと通じる道の、左右に林立する木々の間に渡した、透明な壁のような……でも透明ではない。


 ここから先に俺達を行かせたくないのか? 罠?

まだ、魔王城からは遠い……いったい何なんだ?


「やぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 掛け声と共にチャルが蹴りかかる!


 そういえば武闘家だったな……忘れてた。

マスコットか何かかと思って……っつうか、馬鹿!

いきなり物理攻撃しかけるなよ‼︎


 チャルの渾身の右足は、見えない壁に当たった瞬間、ぐにゃりと景色を……空間を歪める。


「うわぁ!」


 瞬間、弾き返され、チャルは真後ろに吹っ飛ぶ‼︎

俺はドッジボールの要領でナイスキャッチ‼︎


「ハ、ハル様! ありがとーー!」

「ったく、無策で突っ込むなよ。もう少し考えてから……」


 そうチャルに言っている途中で……


「だぁぁぁぁぁぁぁ!」

「たぁぁぁぁぁぁぁ!」


 えーーい! この単細胞双子め!

だから何でお前らはすぐ特攻するんだよ⁉︎

魔法使いだろ⁉︎ 近距離攻撃選ぶなよ‼︎


「あーーもう! マジ勘弁してくれよ、お子様達ーー‼︎」


 思わず声を張り上げる‼︎


 どぷんっ!


 チャルの二の舞かと思ったが、ユルファとフィングが今度は弾き返されることなく、謎の壁にめり込んだ‼︎


「⁉︎⁉︎」


 ゆっくりと身体が粘性の高い液体に沈み込むよう、飲み込まれていくような……ずぶずぶと……。


 もしや……喰われている⁉︎


「ひっ!」

「た、助け……!」


「げっ! まずい‼︎」


 俺は咄嗟(とっさ)に乳白色の魔法陣を展開!

前方へ右掌を突き出し、放つ‼︎


 びょーーん……べとっ‼︎


「なっ⁉︎」

「うわっ⁉︎」


 魔法陣から飛び出した触手の先端が、二人にぺとりと絡みつく!


 ぐっと手を握り込めると、バンジージャンプのゴムロープの様に手元へと触手が引き戻る!

どぅるりと、奇妙な壁から二人を引き()り出すことに成功!


「はぁはぁ……」

「び、びびった……」

「……それはこっちの台詞(セリフ)だよ、全く!」


 冷や汗を(ぬぐ)う。


 ちなみにこれ、『椅子から一歩も動くことなく物を取るにはどうしたらいいか?』という、超めんどくさがり思想から錬成した、おふざけ『粘着』の魔法陣。

……使い(みち)次第で役に立つもんだな、うん。


 カエルが餌の虫を捕食するイメージ。

粘弾性のある触手と、目標を捕捉する非ニュートン性流体の組成。

目標物に接触したら、瞬間的に粘着性のある液体に変化……形態が変わる……ん?


 ……形が変わる……景色と同化……錯覚?


 俺は謎の壁に近づく。


「ハル様! 考えもなく近づいちゃ駄目だ‼︎」


 チャル……お前、どの口が言っているんだ?


 謎の壁を固定しているであろう、木の外側から後ろをひょいっと覗き見る。


 ………………


 やっぱり。

それは、大した厚みもなく、後方にはただ普通の道が遠くまで伸びていた。


「なぁんだ……」


 仕掛けが分かればなんてことはない、拍子抜け。


 攻撃型ではないな……こいつ、何が目的?

謎の物体の身体を支えている木に、そっと触れ……着火‼︎


 『火』の基礎魔法は魔法陣を展開しなくても出せるまで、徹底的に錬り上げてある。


 謎の壁は、びくんと大きく揺れて、ひゅんっと木から身体の一部を引っ込めた‼︎

間違いなく、生きている……魔物だ。


 そこから、するすると原型に戻っていき……丸くなる。


 スライム? ……しかも……銀の……メタリック⁉︎


「ぷるーー!」


 ま、まさか⁉︎ その可愛い鳴き声は……⁉︎

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