黒歴史
森から雪山脈までの道のり、巣作りの枝木を集めるグリフォンや昼寝中のミノタウロスがいたが、少し考えたいことがあったので、ちょっと惜しいが捕獲せず。
四人……いや一人と三匹か? は、今こうして歩いている……いや、歩いていた、さっきまで。
「ハル様、今日はいつも以上に考え中だね」
掌を前に突き出し『盾』の魔法陣を展開する俺の上から、チャルが声を掛けてくる。
「ん? 危ねぇから首引っ込めとけ」
俺に肩車されたチャルが縮こまる……待て待て、首絞まるから手の置き場所変えろ。
っつうか……俺が黙って考え事してる間に、勝手によじ登って肩に着席するとか……冒険者、乗り物じゃねぇからな?
ドンドンッと、時々、流れ弾ならぬ流れ魔法が飛んでくる。
目の前では、相変わらず壮絶な兄弟喧嘩が繰り広げられているのだから……。
……どうせ、足踏んだとか、俺の方が先歩くとか、くだらねぇ理由だろ?
懲りないお子ちゃま達め。
ぼんやりと二人の魔法対戦を眺めながら、頭は違う事を考える。
もし仮説が正しいなら、俺のLV.99はチートじゃないってこと。
異世界創世の時から、決まっていた役割。
いけてるんじゃねぇ? と思ってたのは、この異世界のちょっと軽い重力とちょっと良い運動神経の相乗効果だったのか……思い込み……プラシーボ⁉︎
………………
は、恥ずかしい‼︎ 黒歴史パート2だ‼︎
うわーーーーっ‼︎‼︎
チート無双とか言っちゃってたよ‼︎ はずっ!
「ハル様……何か顔赤くない?」
「き、気のせいだ!」
図星を刺されて、声が裏返っちまった。
気を取り直し尋ねる。
「チャル……姫様の話、もう少し詳しく教えてくれるか?」
三人の冒険者の命を飲み込んだ世界はいったいどんな言い伝えを作り出したのだろうか……?




