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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
1ー3 

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イレギュラー

 俺達は言葉を交わさず、煉瓦の家に戻った。


 家の中では、ちびっ子達が起きていて、肩を組み、何やら作戦会議の真っ最中。


「なぁチャル! 俺達も一緒に魔王城行きたいんだけど、お前はどうやってハルについてきたんだ?」

「ふふっ、私が可愛くお願いしたら、ハル様、あっさりオッケーしてくれたんだよーー!」


「何、捏造(ねつぞう)してんだ、おい。置いてくぞ、こら」


 俺にしつこくしがみついて、ぐしゃぐしゃに崩れた顔で泣いて懇願したくせに……。


「ぶにゃ! お、お、おはようハル様。い、いつ帰ってきてたの?」


 背後から声をかけられビビったのか、面白いぐらいに全身の毛が逆立ってプルプルしてる。


 チラッと見遣ると、エルフ兄弟がざっと腰を落とし、片膝立ち……忠誠のポーズを取る。


「「どうか俺達も連れて行ってください‼︎」」


 予想通り……か。


 ミーフィさんは……こくんと、首を縦に振る。


 はいはい。貴方達がそれを望むのなら……。


「お前らが朝ご飯食べたら……出発するぞ」


 パァーッと明るい表情の兄弟。

……ん? おい、なんでチャルはドヤ顔? 

お前何もして無いじゃん。



◇◇◇◇



 エルフの森の外、雪山脈(ホワイトエリア)へと続く道で最期のお別れ。


「ハル様これを持ってって!」


 なんだかいろいろガチャゴチャ持たされる! 

この押しの強さ、流石はお母ちゃん!


「ユルファ、フィング行ってらっしゃい。母ちゃんはあんた達が大好きだよ」

「母ちゃん……く、苦しいよ」

「ギ、ギブ……」


 力込め過ぎて、それ、チョークスリーパー。

落ちるって……。


「「行ってきまーーす!」」


 笑顔で手を振る兄弟……だんだんと遠くなり、小さくなるミーフィさん。


 気丈に振る舞うお母ちゃんは、きっと一人泣くのだろう……。


 会社員ショータさんのスマホの中に、雪山脈の写真もあった。

彼は魔王城の門前まで侵攻(クリア)していたのだ。


 そして気づいたから、その先へは進まなかった。

魔王を倒し、姫を救う……そしたらこの異世界は消滅するのだろう。


 愛する家族が暮らす穏やかな世界。

魔王城も魔物もこちらから仕掛けなければ、無害。

だとしたら……どちらを選ぶかは明白。


 そして彼はこの世界の登場人物へと変わったのだった。

この世界の食物(エネルギー)を摂取して……。


 出された食事に手を付けなかった俺を見て、彼女は何を思ったのだろう。


 彼女のコマンド。


『ミーフィ

 LV.99 魔女』


 昨日、煉瓦の家へ向かう途中、出会ったエルフ達も皆、LV.99だった。

ユルファとフィングはLV.60 の、まだ子供。


 あくまで俺の仮説だが……

LV.は強さのレベルを表してるのではなく、この世界に生まれてからの経過を表すのではないか、と。


 綾瀬(仮)さんが亡くなったのは約四年前、現実の一年はこの世界では約60年経過するので、この異世界は創世から単純計算で約240年。


 エルフの彼女と冒険初心者は創世からの役割(ポジション)なのでLV.240ぐらいだろうか、99以上は数値化をしていないだけ……そう考えると合点がいく。


 チャルは獣族だから寿命があり、代替わり……おそらく今、3代目の『がいど』ってところか?


 この世界で240年……いつまで経っても誰も姫を助けに来ない……異世界にテコ入れがあったのかは知らない。


 ただ、チャルとユルファとフィング……子供達がイレギュラーなのは確かだ。

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