エルフの森のミーフィ
エルフの女性が深々とお辞儀したまま話を続ける……この話し方、『がいど』だ。
『このもりはまほうのもり、ぼうけんしゃさまにはこのちでまほうのちからをさずけましょう。』
チュートリアルが終われば、コマンドの『まほう』が解放されるのか、なるほど。
『……どうか、ひめさまをおすくいください。』
また、姫か……魔王倒せば終わりって短略的に考えてたけど、果たしてそんな都合よくいくのか? ……なんか不安になってくる。
倒した後、異世界にどんな変化が起こるのか……やってみないことにはわからんな。
チュートリアルが終わり、『がいど』のエルフが静かに顔を上げた。
な、なんと……。
俺ははっと、息を呑む。
陶器のような色白の肌、大きなエメラルドグリーンの瞳、長い睫毛も金色に輝く。
そして……豊満な……そう全体的に……豊満。
女性に対して外見的なこと言うのは本当にむちゃくちゃ大変失礼なんだけど……ハッキリ言うと、どすこい系な体躯。
「初めまして、新しい冒険者様。エルフのミーフィと申します」
「⁉︎」
「「母ちゃん‼︎ な、何でここに⁉︎」」
エルフの双子がミーフィさんに声をかける。
母ちゃん⁇
えっと……ちょ、ちょっと待って!
会社員さんが一目惚れしたエルフの美女がこのどすこい、じゃなくてふくよかなミーフィさん……で、二人の間に産まれた子供……達が、この喧嘩兄弟……⁉︎
えっ……マジか……⁉︎
微笑みを浮かべたミーフィさんが、くるーーりと子供達の方を向く。
瞬間、双子の顔がピキッと凍りついた。
俺からは見えないが、恐らく般若の様な形相なのだろう……背中から怒りのオーラがメラメラッと湧き上がって見える。
「お前達ーー‼︎ 何やっとんじゃーー‼︎」
どすこいエルフ母ちゃん、ミーフィの怒声が森に響き渡り、木で休んでいた鳥の魔物達が一斉に空へと逃げ出したのだった……。
あ、どすこいって言っちゃった。
……母ちゃん、マジ、怖ぇぇぇぇっ‼︎‼︎




